ブルージーで荒削りなサウンドが最大の魅力 /フリジド・ピンク | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

FRIJID PINKはアメリカで結成されたVo、G、Bs、Dsの四人編成のバンド。アルバムは70年にリリースされたデビュー作を含め74年までに4枚のアルバムをリリースしているが、今回特に紹介したいのは中心人物となるVoとGがバンドを去るまで在籍していた70年1stアルバムと71年2ndアルバム

このバンドを有名なものとしたのは、69年当時ビルボード・トップ10までに入った「朝日のあたる家」のシングルヒットで、もちろんその頃学生であった自身も直ぐにシングル盤を買いに走ったが、今でもそのシングル盤だけは思い出として手放さずにラックに閉まっている。

            

まず半端ないカッコよさを誇る「朝日のあたる家」のクレジットされている1stアルバムは、圧倒的熱量を誇るヴォーカリストによる咆哮に近い野性的とも言えるVoスタイルや、それにファズ音を特長とするブルースに根差されたG奏者のアレンジを含めた力量が反映されたもので、まだ荒削りとも言えるサウンドが今聴いても非常に新鮮。全体的には少し泥臭さの感じられるブルージーなサウンドと言えるのかもしれないが、曲自体は泣きの入ったGソロやフレーズも含めて、メロディアスな上に馴染み易く聴き易い。

楽曲もスロウ・バラード調のものから少しアップテンポのものまで幅広く展開されており、捨て曲もほとんどなく飽きを来させず最後まで聴けるのは、似たり寄ったりの曲が多いこの手のブルース・ロック・バンドにしては最大の魅力。ただDsサウンドの悪さ(ナロウ・レンジの録音)が足を引っ張る唯一のネガティヴ材料。

   70年1st  当時のシングル盤 

2ndアルバムは1stと同じメンバーで録音されたもので、ここではKbも導入されており更に洗練されたサウンドへと進化しているが、その中でも特にVoの技量は表現力まで加わり数段アップしている。もちろんバラエティに富んだ楽曲のクォリティも1stと比べても遜色なく秀逸。ただ残念な部分があるとすれば、1stアルバムより更に落ちる録音状態で、パタパタと軽く鳴り響くDsに躍動感は全く感じられないし、ボトムを支えるBs音も音量を上げなければほとんど聞き取れない状態、、、、nnn曲が素晴らしいだけにこれが一番残念な部分で勿体無く感じられる部分。

             71年2nd

ちなみに3rdアルバムは主軸となるメンバーは交替し、ブルース臭さはほとんど感じさせないポップ・テイストを含んだハードロックに進化し、4thアルバムに至っては極普通のロック・アルバムとなりましたが、

これを良しとする否かはリスナーの好み次第といった事になるかと思われます。上に挙げた二枚は今でも充分CDなら入手出来るかと思いますが、個人的にはハードロック黎明期に当たるアルバムとして、二枚共是非お薦め出来る作品です。それを承知の上で聴く分には間違いなく期待に応えてくれる筈です。