女性Voヤニタの個性がそのまま反映されたアルバム /ベイブ・ルース | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

BABE RUTHは中心メンバーとなるVoのヤニタ・ハーン(=ジェニー・ハーン)とG奏者のアラン・シャックロックにBs、Ds、Kbが加わった、イギリス出身者で結成された五人編成のバンド。ただ奏者におけるメンバー交代は激しく、最終的に中心人物であるA・シャックロックはバーニー・マースデンに交替した。アルバムは72年のデビュー作を皮切りに76年までに合計五枚のアルバムを残しているが、今回紹介するのは自身がその中でも快作と位置付けた1stアルバム。

ただここで気になるのは他のアルバムの出来栄えで、自身は最初所持していたアナログ盤(1stと3rd)は手放し、期待を込めて一気に五枚共CDで揃えたが、最終的にファンキー化し、それに加えてパワーポップと化したサウンドは全く期待外れに終わった。もちろんこれは好みの問題もあるのでアルバムに優劣は付け難いが、ここでは単純に自身が一番気に入ったのが72年1stアルバムといった事になろうか。

このアルバムにおける聴きどころは、表現力豊かなVo/ヤニタにおけるシャウトするパワフルなヴォーカル、そして切れ味鋭いアランのGという事になるが、Gは意外にブルース・テイストを感じさせないのが特長で、ジャズ・テイストを感じさせる速弾きソロは特に眼を引く。楽曲の中には映画「夕陽のガンマン」をそのまま引用した曲もあるが、このアレンジは特に秀逸。サウンド自体はホーン・セクションが加わる事によって独自性を持たせたもので、Gによるオーバーダビングも含めて派手な上に重厚。

演奏力もアレンジも70年初頭とすれば全て水準以上で素晴らしいが、ただ残念な部分があるとすれば趣味に走った部分(明らかな捨て曲)も含めた、一貫性に欠けるカオス的とも思える楽曲構成で、アレンジによるサウンドの新鮮さは感じられるものの、これは1stアルバムであるが故に許された部分。

 

   72年1st   75年3rd

 

2ndアルバムは個人的にはハードロックの醍醐味に触れる事は出来ないとして紹介するまでには至りませんでしたが、3rdアルバムは再び1st寄りの聴き応えのあるサウンドになりました。ここでは再び趣味に走ったと想像の付く、映画「荒野の用心棒」から引用した楽曲も挿入されており、最終的にアランは予想通りバンド離脱といった形になったのですが、Gの技量もアレンジセンスも一流でありながら、結果的には作曲センスに少し欠けるのが災いとなったのかもしれません。4thアルバムからG奏者が交替した事によって、残念ですが本来のバンドにおける個性は失われた様に感じられます。上に挙げた事を踏まえれば、自身が間違いなくお薦め出来るのは1stアルバムという事になりそうです。