サイケ色の濃いヘビィ・サウンドを特長とするG奏者によるソロ・アルバム /ランディ・ホールデン | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

このRANDY HOLDENはサイケを経て今に至るVo及びG奏者で、このアルバムは70年にリリースされたもの。ランディは経歴としてあのブルー・チアーに在籍した事でその名が知られる様になったが、このアルバムはDs奏者である元カクのクリス・ロッキードとたった二人だけで制作したもので、ランディはVoもBsも担当している。本来のアナログ盤では6曲のクレジットしかされていないが、その数十年後におけるCD化によって自身が購入したものは、96年にソロとして復活した際の8曲も加えた、合計14曲入りの超お買い得なCDとなっており、当時からのファンにとっては堪らないものとなっている。

自ずと新録となる復活盤との26年の差が録音技術によってどこまで埋まるのか気になっていたが、G音が多少洗練された事と、Ds音の抜けが良くなりメリハリ感が増した程度で、全曲通して聴いても一つのアルバムとして違和感なく聴けた事、あるいは復活盤における楽曲もほぼ前作を踏襲したサウンドといった事で、それも危惧しただけに終わった。

この圧倒的重量感に富んだ重心の低いサウンドは、各楽曲における根幹となる部分で、ファズ音に近い歪んだ引き摺る様な連続音を特長とするGや重いBs音、それに加えてDsサウンドにおける重いバスドラ音がそうさせていると思われるが、ダーク且つ気怠くヘビィで独自性のあるもの。もちろんアップテンポの曲もある事から、全ての楽曲がそういう訳ではないが、二人にしか出せない類まれなサウンドある事だけは確か。しかもこの手のヘビィ・サウンドとしては意外に歌メロがキャッチーで、それは僅かではあるがB・サバスのO・オズボーンにも通じるもの。惜しむらくはギター・オリエンテッドなるが故に、歌メロが少々犠牲になっている事で、その評価は好みとして分かれるところ。ただしアルバムとしての完成度は非常に高いもの。

                   70年 

ヘビィ・サウンドという事ではB・サバスが比較対象となるやもしれませんが、このアルバムにおけるDsスタイルは、ジャズ・テイストを含んだグルーヴ感のあるB・ワードとは全く異なる事から、現在のストナー・ロックに通じる重さを前面に出した全く別のサウンドと捉えた方が良いと思います。アルバム自体はアナログ盤が復活した事によって、CDも簡単に手に入り易くなったものと思われますが、ハードロック・ファンやヘビィ・サイケ・ファンの方々にとっても、是非お薦め出来る一枚である事は確かです。