ヘビィ・ブルースといった言葉で代表されるかの如きサウンド /アシュカン | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

ASHKANはG奏者であるボブ・ウェストンが英国においてブラック・キャット・ボーンズを経た後結成したバンドで、彼は解散後はフリートウッド・マックに加入。他のメンバーVo、Bs、Dsの三人にビッグネームとなった人物はいないが、70年にリリースされたこのアルバムが唯一残されたアルバム。

 

70年代初頭といえばゼップがデビューした後といった事になるが、ここで聴かされるGはジミー・ペイジに触発されたかの如き音で、ブルースに根差されたGフレーズなどを始めとして非常によく似たアプローチ。よってアルバム中においてもGソロ同様弾き倒したものとなっているが、もちろんそのサウンドは明らかにゼップを意識したもの。異なる部分はゼップ・デビュー作で見受けられた様な、スタンダード・ブルースのカバー曲がほとんど見受けられない事で、キャッチーな曲と印象に残る強烈なリフさえあれば、もっとビッグになれた筈。Voは少しがなり立てるタイプで、スマートさには欠けるもののそれは間違いなく個性、ただ残念ながらリーフ・ハウンドのVo同様、この手のVoスタイルがスターになった試しはない。ここがゼップやパープル、あるいはGFRのVoとは全く異なる部分。

楽曲はバラエティに富んでいるものの、アップテンポの曲や疾走感を伴う曲はなく、重量感を伴うミドル・テンポの楽曲でほぼ占められており、当時としてみれば今聴くほど泥臭くは感じられないサウンドで、G音もファズ音ではなく現代に通じる高音にツヤのあるモダンなディストーション音、ヘビィ・ブルース好きの方にはそのGサウンド同様、今でも間違いなく楽しめる作品。

                        

このアルバムは国内盤CDがかつてリリースされていた事から、今でも新中古盤や輸入盤を問わないのであれば通販で充分購入可能と思えます。全体的にブルー色でまとめられた美しいジャケット・デザインは秀逸で、泥臭く感じられるVoがそうさせる中身とは余りマッチはしないのですが、本来ならアナログ盤として飾っておきたいアルバムの一つかと思えます。