オルガンが主導権を握った重厚且つヘビィなサウンド /マーフィ・ブレンド | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

MURPHY BLENDはKb、G、Bs、Dsの四人からなるドイツ出身のバンド。そのサウンドはVoを兼任したKbを主軸とするもので、全編に渡りクラシカルで重厚な教会オルガンの音を思わせるハモンド・オルガンが活躍している。国内盤としては未だリリースまでには至っていないと思われるが、バンドは結果的に71年~72年にリリースされたこの一枚のアルバムを残して解散。

アルバムの内容は比較的Gの活躍する楽曲は少なく、バッキンングとして曲の手助けをする程度で、曲によってはGソロがあるものの、結果的には主旋律を少し奏でる程度に終わっており、弾き倒すといった事がないだけに、ギター小僧にとっては少し物足りない気がしないでもない。ここでのオルガン奏者によるサウンドはクラシカル要素満載といった処ではあるが、曲によってはブルース然としたアレンジもあるので一筋縄では行かないといった処、G奏者と同様ソロも含めて決して弾き倒したりはしないが、レスリーのかかった衰退音のない引き摺る様に感じられる重厚な音にはつい聞き入ってしまう。

Voは歌唱法にビート・ポップ感があって熱唱するタイプでは決してなく、お世辞にも上手くて素晴らしいとは言えないものの、意外に歌メロはキャッチーで聴き易く感じられるもの。リズム隊に特別なものは感じなかったが重量感だけは◎

結果的にこのアルバムは抒情的且つドラマティックに展開される曲、あるいは哀愁を帯びた楽曲も含めて、オルガン・サウンドそのものを楽しむ事を前提として聴く事が肝心という事になるが、捨て曲もなく楽しめる事から窺える様に、アレンジを含めた楽曲そのものの完成度は非常に高く、重厚でダークネスといったジャーマン・ハードロックの醍醐味には間違いなく触れる事が出来るので、ハモンドオルガンのプレイやクラシカルなサウンドが好きといった方には間違いなくお薦め。

 

                        

 

このアルバムは現在でも新中古CDを問わず入手し易い環境にあると思われますが、ここで限りなくマイナーに近いこのバンド名を耳にされた方は、YOUチューブでも音源は充分拾えると思えますので、是非そちらを検索してみて下さい。クラシカル要素といった処では、既に紹介した英国のブラム・ストーカーのサウンドに若干近いものを感じるのですが、オルガンを基軸とするジャーマン・ハードロックが大好きと言った方には、間違いなく期待に応えてくれる一枚と思えます。