8月18日(土) 後編 「その瞬間をとらえろ」
油井の池を立ち、向かう先は福浦トンネル・・・のはずが工事中(?)か何かで遠くから見るだけに。
聞くところによると、明治時代に手彫りで掘られたトンネルらしいが、あまりトンネルにロマンを感じないのでまぁこれは良しとする。
そしてこの日のメインイベント、ローソク島へ。
高さ20mのローソク岩に夕陽が重なる時、まさに文字通りローソクのように見える。
貴大丸という何とも頼もしい名前の遊覧船に乗って現場へ向かう。
船の前進こそが時間を進めている。
そんな錯覚さえ起こしてしまうぐらいに船が近づくにつれて陽が沈んでいく。
そしてその瞬間はやってきた。
見事、綺麗な光景。
観光名所とは、そこへ行けばいつでもあるというのが一般的な定義といってもいいぐらいだが、ここは違う。
その一瞬を逃すとただの岩。一日で一瞬だけ化ける瞬間がある。
もちろん、天候が悪くてもダメ。まさに自然のなすがままに完成される名所。
(岩自体も商業的に作られたわけではなく、噴火による火山岩でできている)
オレンジだけ色をつけるモードで撮った一枚も。
とにかく夕陽が綺麗。
京都の街でふと見上げた空に広がる夕陽も好きだが、水平線に沈んでく夕陽には叶わない。
自然に酔いしれながら陸へ帰ってくる。
通ってきた海路を振り返るとこれまた島の一部が良いアクセントになって良い絵に。
タクシーで宿泊先まで送ってくれるまでがこの“隠岐ジオパーク、デビューの旅”なるツアーである。
なかなか着かないことを思うと随分と遠くまで行ってたんだなーと。
民宿へ着くと夜も遅かった。
そういや、せっかく民宿のお母さんに勧めてもらった店に行けていない。
昼に探して見つからなかったものを見つけるには島の人に聞いてみるしかない。
夜8時頃だったが、外は真っ暗。道行く人はほぼいない。
“どの人に聞こう”ではなく、“あの人に聞くしかない”というこの状況こそが今回の旅のシンボル。
どーにかこーにかしてたどり着いた。
「味の蔵」での隠岐そば定食(1050円)。
素っ気ないぐらいにシンプルな食事だが、隠岐そばがうまい。
そば粉100%で作られているので一本一本が短い(繋ぎがない)。
それゆえに少し食べにくいのだが、これが蕎麦本来の味を堪能できる。
目的も達成でき、民宿へ帰る頃には本当に人がいない。
たまーにすれ違う人には、
“お前誰だよ”
的な顔をされるわけだが、
“いや、お前こそ誰だよ”
みたいな顔をして何とかやりすごすしかなかった。
島の夜は早い。
部屋で明日の計画を、と思っていたが知らぬ間に眠りに就いていた。
早くも島の環境に馴染んでいた私であった。
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