危険負担 | 宅建士試験のための改正民法

宅建士試験のための改正民法

宅建士試験に影響する、2020年(令和2年)より施行される改正民法の解説

≫ 2020年(令和2年)宅建士試験より適用

改正民法112.重要度:★★★☆☆

 

当事者双方の責めに帰さない事由で債務を履行することができなくなった場合、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

 

危険負担は、従来は「債権者主義」(=債権者が危険を負担するという考え)が原則とされていました。

売主A、買主Bといて、目的物が不可抗力により滅失した場合、Aの目的物引渡債務は消滅するにも関わらず、Bの代金支払義務は残ったままとなります。Bの「引渡せ」という債権が残っているということです。意味が分かりませんね。不合理です。

 

そこで改正民法では、危険負担は「債務者主義」が原則となりました。

債務者が反対給付を受ける権利を有しなくなるのではなく反対給付の履行を拒むことができるのです。上記AB双方の責任でなく売買契約の履行ができなくなった場合、AがBに代金の支払請求をしても、Bは支払いを拒むことができるということです。

 

危険負担は難しいですね。ここは考え出すとハマりますので、「AがBに代金の支払請求をしても、Bは支払いを拒むことができる」これだけ覚えておけば大丈夫でしょう。宅建士試験で出題されたら難問となる可能性大です。

 

尚、債権者の責任により債務を履行することができなくなった場合、当然のことながら債権者は反対給付の履行を拒むことができませんので少し注意。このとき自己の債務を免れたことで利益を得た債務者は、その利益を債権者に償還することを要します。