炭坑大運動会 まさに「炭坑ガールズの荒尾での主催イベントは行った方がいい」 | 君が好き

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アイドルの話でもしようず。

7月26日にパリ五輪が開幕し、早速、日本選手団のメダルラッシュで盛り上がっている。

そんな7月28日、日本代表に選ばれなかった男たちは、代わりに汗を流すべく熊本県荒尾市の万田炭鉱館に集った。

おれたちのパリ五輪こと「炭坑大運動会」に参加するためだ。

名前からもわかるように「炭坑大運動会」は、荒尾市のアイドル・炭坑ガールズの主催イベントである。

 

「炭坑ガールズの荒尾での主催イベントは行った方がいい」

 

熊本でヲタ活しているとたまに耳にする言葉である。

たとえば、ぼくは行ったことがないのだが、炭坑ガールズにはセッション撮影会というものがあるらしい。これは事前にメンバーの枠を取ってその時間だけメンバーを撮影できる一般的な撮影会と違い、カメラを持ったファンの前にずらりとメンバーが並ぶ。んで、時間内は、他のファンとの譲り合いは必要だけど、声をかけての撮影はし放題という仕組みらしい。このような仕組みがあることをぼくは炭坑ガールズで初めて知った。

このように一般的なアイドルとは違うイベントが用意されていて、楽しめることが多いというのだ。

炭坑ガールズは、もともとはMJKというご当地アイドルからスタートしたグループだったが、MJKから炭坑ガールズへと進化する過程で、万田坑を中心とした荒尾を盛り上げようというエキスが非常に強くなっていったようだ。そのため炭坑ガールズにとって、主催イベントにやってくるファンというのは、一般的なアイドルとファンとの関係だけではなく、炭坑ガールズと一緒に荒尾を盛り上げてくれるゲストのような迎えられかたをしている印象を受けるのだ。

実際、ぼくが唯一これまで参加したことのある炭坑ガールズ主催イベントでは、人が多すぎて実現はしなかったものの、アンコール後に出演アイドルだけでなく、会場のファンも一緒にステージに上がって「KURO★DAIYA」を歌いませんかというアナウンスがあったほどだった。

そんな炭坑ガールズが主催する大運動会。

これは楽しいに決まっている。

競技に参加するかしないかも申し込み時点で選べたのだが、楽しいに決まっているという強い期待から、せっかくならば参加することにぼくはした。

 

会場の万田炭鉱館のホールは、真夏のイベントとはいえ冷房が行き届いていて快適だった。

競技参加者は開場の15分前にそのホールに集合が掛かっていた。

中に入るとすでに赤や黄色のハチマキを巻いた炭坑ガールズ、Re:five、熊本Flavorがいた。

どうやら各アイドルをシャッフルして二組に分け、それが赤団、黄団となり、ぼくらファンは炭坑ガールズの保護者さんとともに炭団というチームになるらしい。

そのチームの中で誰がどの種目に出るのかの話し合いがあった。

種目は午前の部が「お尻歩き競走」「パン喰い競走」「借り物競走」、午後からは「綱引き」「五人六脚」「リレー」となっていた。

不肖たきびははじめてで、なんでも経験したかったこともあり、午前中の「お尻歩き競走」と午後の三つの競技に参加させていただいた。

こういう運動会的なオフ会は別のグループで何度か参加したことがあったが、体力勝負のモネリンピックと比べ、誰がやってもそこそこの結果になる種目が多いため、アイドルにハンデがなくても男性と戦えるのがいいなと感じた。また、勝敗度外視で和気あいあいと楽しもうというくると運動会よりも、アイドル自身が赤団、黄団と分けられているために勝敗についてはアイドルの本気度が高いように感じた。

それぞれのイベントにそれぞれの良さがあり、そもそもアイドルと運動会という企画自体が神イベなので、他のイベントももちろん楽しかったが、アイドルとファンが同じ土俵でハンデなく戦い、その中でアイドルさんたちが勝敗に本気になっているというバランスが炭坑大運動会は本当に優れているように感じた。

 

最初の種目は「お尻歩き競走」だった。ぼくの炭坑大運動会デビュー戦。周りはすべてアイドルを含め女性だったので、このメンバーなら余裕だろうとスタートラインに並んだ。三人先には推しの東雲ういさんもいた。実は知り合いの方から、ぼくが東雲推しだから、「(東雲)ういちゃんが優勝めざすぞーとXでポストしてますよ」と言われ、それに対しぼくは「東雲は口だけだから大丈夫」と答えて余裕をかましていた。しかし、完走がやっとの最下位という結果に沈んだ。東雲さんにも負けるという有様だった。東雲さん、なめて申し訳ありませんでした。そんななか、まるで日本記録ではないかという速さで炭坑ガールズのリーダー・ゆいさんが他を圧倒していた。ホームの力を見せつけていた。

パン喰い競走では同時にゴールしたように見えたアイドル数名を、ゲストのRe:fiveと熊本Flavorの運営さんが携帯で撮影していたVAR(ビデオアシスタントレフリー)で着順が決まるというファインプレーもあった。

「借り物競走」ではハズレのお題もあり、笑わせていただいた。

競技中の写真撮影は自由ということで、カメラを持ったファンの方が会場を熱心に見守り、アイドルはチームごとに分かれて座り、みんなでひとつの競技が行われているのを見守り楽しんでいるのがすごくよかった。

借り物競争が終わったものの、時間が予定よりも巻いたため、ここで突如面白企画が誕生。

まずは炭坑ガールズの保護者と炭坑ガールズとの綱引き、そのあと司会をされていた代表の炭坑レッドさんにファンのほうからリクエストして、こだまだいきくんひとりと炭坑キッズ10人との綱引きも見せていただいた。さすがのこだまくんも10人には敵わず、負けていたがおもしろかった。

 

以上で午前の競技が終わり、昼食。

会場内でパンや片手で食べられるのり弁、アイスコーヒーなどが販売され、それぞれが購入して会場内でお昼休み。まず、うれしかったのが飲食類の価格が「野球場ならこの倍は取られるな」というほどリーズナブル、というか普通の価格だったこと。そしてぼくは炭坑レッドさんのおすすめという「白身魚の挟まったパン」と「メロンパン」をいただいたが、本格的なパン屋さんのパンで、パンの焼いている匂いが生地からあふれていて美味だった。

「お尻歩き競走」の疲労を癒しながらそのパンを食べていたが、ある意味戸惑ったのは、各アイドルも同じ空間で昼食を取っていたことだ。

雰囲気的には本当に運動会の昼休み、といった懐かしい感じの空気が流れ、特にアイドルさんにがっつくヲタクもいなく、と言いながらも距離があるわけでもなく、途中で炭坑ガールズからみたらし団子までいただいて、まったりしながらもそこにアイドルがいるというぜいたくな時間を過ごさせていただいた。

 

知り合いのフォロワーの筑紫大弐さんはこの日の「炭坑大運動会」を「一回で三回おいしいイベント」と評していたが、昼休みが終了すると、運動会以外の二回も三回もおいしいイベントが始まる。

さっきまで競技していたホールの真ん中にシートが敷かれステージが設営されてのライブステージ。各グループ20分間も持ち時間のある、普通の対バンイベントと変わらない時間のステージが見られた。

しかも衣装ではなく、さっきまで大運動会に参加していた服装というレアなステージ。

ステージのトップバッターはRe:five。

まだ生誕祭を行ったことのないひなさんは私服だったものの、他の三人のメンバーは生誕祭のときに製作されたなぬきはなのさんイラストの生誕Tシャツを着ていた。いきなり「なんてんまんてん」で会場の熱気を最高潮に上げてくれた。MCで柊わかばさんが「はなちゃんお誕生日おめでとう」と誕生祭である雰囲気を盛り上げてた。それからはラストの「朝からカツカレー」まで、ジャージと体育館シューズという動きやすい服装で激しいダンスを魅せてくれた。

熊本Flavorは先週のKMFのラストで披露された合同ユニットのさしよりカレーTシャツで揃えていた。こちらも最近ライブの一曲目に定着しつつある「OMG」から会場を盛り上げていた。ラストは、Xなどでイヤホンチャレンジが話題の「コイマチ」。この日はいつもと違う荷物が多く、イヤホンをちゃんと持ってきたファンはふたりと、熊本Flavor運営のみゆ先生はご立腹だったが、怒られたファンたちは「エアーで」と口々に言い訳しながら、指先だけでイヤホンチャレンジする絵もなかなか楽しかった。

オフィシャルのTシャツで揃えた炭坑ガールズは「GATA☆GO TRAIN」からスタート。何度見ても間奏のときに後方に下がるゆいさんのバック転が圧巻。先週のKMFでもこの「GATA☆GO TRAIN」と「KURO★DAIYA」でバック転を見せるたびに、初見と思われる人からどよめきが起こっていたが、ゆるい空気でオフ会やMCをこなしながらも、ステージでは他のアイドルがあまりやらないアクロバットを見せつける。さすがの世界だった。ラストは荒尾のイベントでしかあまりやらないらしい「ラララDANCE」。炭坑レッドさんが「この曲はファンの方もカメラを置いて肩を組みましょう」と言われ、ステージのメンバーと同じようにフロア全体も肩を組んで一体となった。ファンはもちろん、炭坑ガールズの保護者の方やゲストグループのアイドル、運営までも肩を組み、ステージの炭坑ガールズと同じように身体を左右に揺らし、手を振る。その一体感はまさにアットホームな荒尾市を盛り上げようとしている炭坑ガールズの世界感があり、非常に良かった。

炭坑ガールズのステージの後は、メンバーのはなさんの誕生会。「HAPPY BIRTHDAY」と書かれた風船を中心に飾り付けられたステージをバックに、弱冠八歳のはなさんがソロ曲を歌われていた。このような年齢の幅の広さもこのグループの奥の深さだと感じた。

 

午後の競技は綱引きからだった。

さすがに綱引きは、ファンを中心に結成された炭団とアイドルとはハンデが必要で、炭団の男性三人対赤団のアイドル六人だった。しかし、人数を半分にしても、大人げないおじさんたちのパワーで炭団の圧勝だった。さすがにこれでは盛り上がらないと司会をされている炭坑レッドさんが「次の(炭団と黄団の対決は)炭団は二人で行きましょうか?」と提案するも、すでに炭団三人に敗北している赤団から「それはフェアじゃない」と猛抗議が起こり、結局おじさん三人がアイドル六人に勝ってしまうという誰も得しない展開になっていて面白かった。

そのあとは五人六脚。二人三脚まではやることがあっても、なかなかここまでの足の数はやることはない。それでもなんとかぼくは形になって出れたつもりだったが、このあとにこの日MVPのゆいさんの物販に行ったら「パパの横のたきびさん、足引っ張ってた」と言われてしまった。

更にリレーも走るのは二人で他にはジャンプやハイハイ、目隠しと一筋縄ではいかない方法が考えられていた。リレーはぼくは目隠しで出場したが、ただただ怖かった。なかなか大人になって目隠しすることないのもあってビビったし、なんだか懐かしかった。

「お尻歩き競走」でも異次元の速さを見せたゆいさんが、超絶速いスピードのハイハイで周りを唖然とさせ、赤団の優勝の原動力になっていた。

 

綱引きの炭団の人数の赤団の抗議でもわかるように、物見遊山で参加するだけでもしあわせなぼくのようなファンと違い、アイドルさんは本気で勝ちたがっていたからこそ、すごくスリリングなイベントだった。

また何度も言っているように、荒尾に来てくれたのだから、ファンに対して運営さんやメンバーの「一緒に荒尾を盛り上げてくれるゲスト」という態度が終始あらわれていたから、居心地もよかった。

イベント終了後、炭坑メンバーは会場の片づけを行っていて、そういえば荒尾シティーモールでもそうだったなと、その姿も印象的だった。

当たり前だけど、そんな炭坑ガールズでも、市外や主催じゃないアイドルイベントでは、一般的なアイドルとファンの関係だ。

だが、ホーム荒尾でファンを迎えたとき、「一緒に荒尾を盛り上げてくれるゲスト」として心からのおもてなしをしてくれる。

それこそが「炭坑ガールズの荒尾での主催イベントは行った方がいい」と言われる所以であり、その主催イベントの運動会だから、強烈に楽しかった。

オリンピックは四年に一回だが、炭坑大運動会は毎年やっているらしい。

ぜひ来年も参加したい。