前売完売 LIKE! いま熊本のアイドルシーンは熱いのか? | 君が好き

君が好き

アイドルの話でもしようず。

いま熊本のアイドルシーンは熱いのか?
1月14日のPOTIONのデビューイベントが前売りチケット完売。
そして昨日のLIKE!も前売りでチケットが完売していた。

 


コロナ禍の入場者規制時は別にして、入場者制限がなくなった昨年に、ぼくも熊本の現場には何度も通ったが、昨年はこのような前売り完売ということがほとんどなかったように記憶している。
それが今年は1月ですでに二件も完売が発生。
この結果だけを見るとまさに「いま熊本のアイドルシーンは熱い」と言わざるを得ないだろう。

ここまで読んで熊本の現場を知っているヲタさんでも「そんな実感はないなあ」と思われた方もいるかもしれない。
申し訳ないが、これを書いているぼくでもそう思うので、それが普通です。
だが数字は人格、売上は正義だ。
いま熊本のアイドルシーンは熱いのだ。

要因はなんだろうと考えて、何年も熊本現場に通っているぼくが感じるのは、ぼく自身もそうなのだが、ここ一年で熊本県外の人が増えたという印象だ。
炭坑ガールズやRe:fiveの熱心なファンが必ずしも熊本県民ではなくなっているのだ。
つまり地元のアイドルだからとご当地アイドルを応援する人ばかりではなく、熊本のアイドルを見たいからとわざわざ熊本に通う人が増えている。

2010年前後から各地で巻き起こったローカルアイドルブームは、2013年にはNHKの朝の連続テレビ小説に取り上げられるほどの一大ブームとなった。
ローカルアイドルには、いわゆるメジャーアイドルにはないサブカルチャー的な面白さがあった。ローカルアイドルは、クリエイターが集中している東京で生まれたものが日本全体のトレンドとなるのが普通だったこれまでの概念とは違う文化を生み出していたのだ。
まだ2010年当時は、インターネットはあったものの現在ほど動画投稿や各種SNSが発達していなくて、流行や文化が、サブカルチャーも含めてテレビやラジオ、新聞や雑誌の東京で作られたマスメディアからしか生まれていなかった。そんなときに、もともとは東京から仕掛けられたブームに乗った形ではあるが、地方で新たな文化が生まれ、場合によってはそれが全国に注目されるということが起こっていたからこそ、このブームは面白かった。
ぼくの周りでも、たとえば、LinQは東京にはないコンテンツを提供し、九州どころか関西や東京からも、劇場のエントランスに旅行カートが並ぶほど、他県の人を集めていた。
もっと身近な例をあげれば、ピンキースカイも、アイドル離れした歌唱力を武器に、佐賀に県外の人を集めていた。
ローカルアイドルが他県から人を集める理由は、東京やそれ以外の県にはないものが、そこにあるのが前提である。そしてLinQもピンキースカイもそれを持っていたのだと思う。
ピンキースカイが絶頂期の頃、東京のネット配信番組に出演したときに「いつかは東京で勝負したいですか?」とインタビュアーに質問され、ピンキースカイは「わたしたちは佐賀が大好きなので佐賀を拠点にしたいです」と答えていた。
そのとき、インタビュアーは不思議な顔をしたように見えたが、ぼくは感心したものだ。
みんなが東京を目指しているのとは違うベクトルに力を入れることが、結果的にローカルアイドルの強みになるからだ。

ローカルアイドルの目標が東京アイドルフェスティバルになって久しい。いまでも夏が近づくと東京アイドルフェスティバルを目標にしたアイドルを目にする。どうしても文化や芸能の中心が東京だからそれは当たり前のことだとは思う。東京で作られたローカルアイドルブームは2013年をピークに先細りになり、終焉を迎えたのだ。2010年当時と比較しネット配信は進化したものの、その配信は既定のアイドルやタレントという枠組みにさえとらえられない新しいスタイルの人たちが人気を集め、アイドルにとってはそこまで恩恵はなかった。
ただ、そんなななか、熊本のアイドルシーンはある意味時代に取り残されていたのかもしれないが、もともと福岡の影響力が弱い土地柄もあって、独自に進化を進めていたように思う。
POTIONのデビューイベントのときに、長崎の老舗アイドル・ミルクセーキの運営さんとお話をする機会があったが、その方は「久しぶりに聞いたコールもあった。熊本の空気はやはり特殊」と言われていた。
ただ、そのように特殊な空気の中で独自に進化をしていたからこそ、いま熊本のアイドルは県外の人を集めて、熱くなっているようにぼくは感じている。

そんなことを考えて昨日は今年初めての「LIKE!」に行ってきた。
ジュニアアイドルの炭坑キューティーズから幕を開け、熊本アイドル界の最長芸歴ながら本当に17歳のIaraさん、トーク主体のまったりステージで空気を和ませた私世界、オレンジのペンライトで強烈に盛り上がった今西ゆうたさん、全国展開アイドルなのにらしさをしっかり持っている熊本Flavor、先週お披露目で30人集め現在の熊本アイドルシーンの話題の中心chem LiLy、少人数ながら大分の洗練された空気と沸き曲を持ってきたSPATIO、ステージのレスポンスを回収しステージに昇華するMonster Factory、ストイックなダンスをキャッチーな楽曲に乗せ実力を披露したMeeL、もともとコスプレだった白衣装で「St…you」「朝までカツカレー」「ダンデライオン」「なんてんまんてん」でこれまでの熊本アイドルシーンを牽引してきた力を見せたRe:fiveがトリを務め、あっという間にたくさんのアイドルを堪能させてもらった。
計10組。天海の異様ともいえるステージとフロアの距離の近さ、一部で沸きながらも全体的にまったりした空気、昨日もそんな県外の人をも虜にする熊本の特殊な空気を堪能できた。その中で素敵なアイドルさんや推しの笑顔を十分に楽しめた。
来月、2月18日のLIKE!は出演アイドルが6組なので、今回のようにチケットが完売することはないかもしれない。
ステージの近さやまったりした空気で、逆に本当に「いま熊本のアイドルシーンは熱い」のか? と思ってしまうようなゆるさがあるかもしれない。
しかし、東京が生み出したステレオタイプの盛り上がりではない、熊本で独自に進化してきたアイドルシーンが確実にここにはある。