最強でした! 本気の宇城ありさ | 君が好き

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アイドルの話でもしようず。

1月17日に行われた、くまフェス x @JAMの出場権を賭けた予選会。

出演者の名前に「宇城ありさ」を見つけたとき、ぼくの素人の浅はかな考えでは「なんでソロなんだろう」と疑問があった。

このイベントは出場権を賭けたコンペティションではあったが、その順位を決定する要素に審査員の存在はなく、会場や配信のファンによる投票で決まるものだった。

投票となれば、撃てる弾はあればあるだけいいというのが普通の考え方だ。最終形態クルトで出れば、宇城さんだけでなく花畑りんねさんのファンの人の投票も期待できる。いやむしろ闇鍋で出ればIaraさんのファンの方も動くし、ローズTOのわたくしたきびも重い腰を上げるだろう。

ぼくはそう考えたが、それは本当に投票だけを考えた浅はかな考えだった。

 

ライブ配信開始直後、今月も一緒にクルトのライブを見に行った知り合いのヲタクからLINEが届いた。

 

「え、宇城ちゃんめっちゃかわいい」

 

彼のこのLINEの「え、」という戸惑いこそが、この日ソロで出演することを選んだ、演者・宇城ありさの本気が伝わった結果だと思う。

思い起こせば、ぼくも宇城ありささんの存在感が「楽しいアイドル」から「すごいアイドル」に変わった瞬間は、ソロで宇城ありささんが出演していたイベントだった。

ぼくの場合は二年前の小倉での大長光舞音生誕祭。この日は舞音さんの人脈から十人近いソロアイドルの集まったイベントだった。そのたくさんいたソロアイドルの中で、一番クオリティの高いステージをやったのが宇城ありささんだった。このときは彼の「え、」と同じように、楽しいアイドルのイメージしか宇城さんに抱いていなかった当時のぼくも、その宇城さんのパフォーマンス力の高さに驚いた。

こんなに歌うまかったっけ?

こんなに踊れる人だったっけ?

たとえて言うならば、お笑いタレントとして認識していたそのまんま東が、宮崎県知事になったとたんに優秀な政治家だったことに気づいたような驚きだった。

わかりづらいかな。

もっとわかりづらいたとえかもしれないけど、ぼくは秘かに、星乃ちろるがアイドル界の松岡修造ならば、宇城ありさはアイドル界の柳家喬太郎だと思っている。十年ほど前、いまの笑点の司会をしている春風亭昇太らと話芸集団「SWA」を結成し、古い落語の殻を破ろうとした柳家喬太郎。その結果、十年ぐらい前は新作落語や、古典落語でも枕と呼ばれるフリートークの長さなどのオリジナリティで人気を博していた。しかし、元々は柳家小さん一門でさん喬の一番弟子、喬太郎はSWAの中でも抜群に古典落語もうまかった。いまやその落語は令和の名人となり、全国でもトップクラスにチケットの取りづらい落語家である。

同じように宇城さんもその抜群の企画力とサービス精神で、楽しいことならなんでもやる楽しいアイドルとして認識している人が多いと思う。でも本気で、演者としてステージに立ってしまえば歌もダンスも抜群にうまいのである。

だからこそ、ソロの宇城ありささんはぼくらに「え、」という戸惑いを与えてくれる。この驚きを、クルトに通うような宇城さんをよく知っているヲタクが感じただけでも、この日はソロで出演してよかったなとぼくは思った。

また、これは宇城さんの人望だろうが、いわゆるクルトや闇鍋のメンバーも宇城さんを応援していて、ファンに向かって宇城さんへの応援を呼び掛けていた。ローズTOのわたくしめも宇城さんを応援していました。投票という点で考えれば、これはグループで出てもソロで出ても同じだった気がする。

 

そしてステージが進むにつれて、なぜ宇城さんがソロにこだわったのかの理由が伝わってきた。

一曲目はソロ曲の「コンテニュー」。いつものルーズソックスではなく、派手なピンク色の衣装でもなく、白いパーカーに底の厚いスニーカーのいで立ち。髪もお馴染みのツインテールではなくて、シンプルな髪型で洗練された印象だった。歌声もアニメボイスのようなかわいい感じではなく、透き通ったピッチに要所でファルセットを絡ませる技巧的な歌い方。こりゃ、知り合いも「めっちゃかわいい」というはずだし、そのあとに「普通に歌うまかったんやん」と当たり前のことを再確認するほどの出来だった。

ぼくはそれらの宇城さんのパフォーマンスの良さに感動しつつも、この一曲目のとある歌詞が耳に残って、すげえと震えていた。

宇城ありささんは、この予選会の一曲目でこんな歌詞を唄っていた。

 

多数決採られてもぼくの正解じゃないし

ぼくはぼくらしくしなくちゃ君に会えないし

 

作詞家宇城ありさの才能がこの曲を一曲目に持ってきたことで際立っているとぼくは感じた。

投票で勝つことだけが目的ではなく、つまり4月3日のためだけにこのステージに立ったのではなく、持ち前のサービス精神で、この1月17日の予選会の会場に集まってくれた人、配信を見ている人を楽しませることが大事なんだと宇城さんはわかってる。さすが宇城ありさであるとぼくは感じた。

自己紹介を挟んでの二曲目が最終形態クルトの「グミチョコパイン」、三曲目がおとまむ系ロディの「チャリで来た」だった。

グループの曲だけど、それを宇城さんがソロで歌うというのもなかなか良かった。アレンジもグループの時そのままで、グループで勢いで押していたところもステージをひとりで走り回ってすごかった。

圧巻だったのは、「チャリで来た」が終わった後のMC。

実際、ライブ後のショールーム配信では「ソロ曲だけでセトリを組むのもできたので迷った」と宇城さんは言われていたが、あえてここでグループ曲を持ってきた理由が素晴らしかった。

 

いままでたくさんの人に力を貸してもらいました。

以前に力を貸してくれて、いまは普段は会えない人でも今日は見てくれる。

だからこのステージで、これまで力を貸してくれた人に五年間の感謝を伝えたい。

そこでグループの曲をやりました。

 

この気持ちがあったからこそ、この日はソロだったんだなとぼくは感じた。

そしてこの気持ちを抱いてステージに立っていたから、今日のステージは、いま見ているファンを驚かせるほど素晴らしいんだと思った。

やっぱり宇城ありさ、すげえ。

本気の宇城ありさは半端ない。

ぼくはそのMCを配信で見ながら、大きくうなずき、さすがだ、すごいと何度も感じていた。

言いたいことを言ってすっきりしたのか、このあとのクルトでもおなじみの「navi」とソロ曲の「ハチドリ」は生き生きとステージをしていた。

「navi」では歌っている最中に「楽しいね」とフロアに語り掛け、最後は「みんなの毎日が少しでも明るくなりますように」と、見てくれるファンへ気持ちを伝えてくれた。

もう、さすがとしか言いようがなかった。

最後の曲の「ハチドリ」では、しっかりと歌を聴かせる技巧派宇城ありさを堪能させてくれた。

 

ぼくはアイドルはその人のパーソナリティーが一番重要だと考えている。

結局ヲタクは、歌を聴きに行くのでも、踊りを見に行くのでもなく、アイドルに会いに行っているのだ。

だから、会えてよかったと思わせることがアイドルにとって一番大事なことだとぼくは思うのだ。

そして、普通のアイドルはそれを物販などの接触で具現化する。

もちろんそれもファン思いの素敵なことだと思うけど、ステージ上でも「出会えてよかった」と、しかも配信で見ていても感じさせてくれる宇城ありささんは、本当にすごいアイドルだと改めて思った。やはり宇城ありさは最強なのだ。

ぜひとも@JAMのステージで、この宇城ありさのすごさを発揮してほしい。新しい風を吹かせてほしい!