君が好き

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アイドルの話でもしようず。

2014年に武部政則氏と紫谷星伍氏によって結成されたMONECCO5は熊本県天草市が本拠地のアイドルだった。
当初は「天草の人を楽しませるアイドルだから」と天草の小さなお祭りにも積極的に参加するグループで、むしろ天草以外での活動は少なかったと記憶している。
しかし、オリジナル曲にしっかりしたダンスをするグループということで注目を集め、また天草市内に九州各県のアイドルグループを呼ぶAMAKUSA IDOL FESTAを主催したこともあり、天草外での知名度も向上。基本は県外のヲタクが天草を訪れることが多かったが、九州内はもとより、東京や大阪にも遠征するグループになった。
そのMONECCO5が五年目を迎えた2019年2月、福岡市役所前で初披露された曲が「朝からカツカレー」である。
インパクトのあるタイトルに、ついつい真似したくなる「いただきます」のダンスのこの曲は、またたくまにMONECCO5の代表曲になった。
それまでは「MONECCO5の代表曲は?」とヲタク同士で話しても定番の「なんてんまんてん」やメジャーデビュー曲の「キミを待ってる」、マニアックにレベルが高い「キセキノサキへ」や「Avalon」と、そのヲタクの好き嫌いで意見が別れていたが、この曲が発表されるや、好き嫌いはともかくMONECCO5の代表曲といえば「朝からカツカレー」というふうに認知されるようになった。
そのMONECCO5は2020年12月に解散する。
活動期間は6年半で、そのうち「朝からカツカレー」を歌っていたのは二年弱なのだが、それでも人々の記憶のなかにはMONECCO5=「朝からカツカレー」の印象は強く残っている。
MONECCO5解散後、武部氏、紫谷氏が残ったメンバーと歩みだしたのがRe:fiveである。
Re:fiveのデビュー曲「君とRESTART」には「六年半ありがとう」という歌詞が歌われているが、この二小節でもわかるようにRe:fiveは、拠点を天草市から熊本に移したものの、MONECCO5の後継グループだ。
ちなみにMONECCO5当時はマネージャーという肩書きだった紫谷氏の肩書きがプロデューサーに変わったのもこの頃だったと記憶している。
Re:fiveはコロナ禍の中でも地道に活動を続けていた。
そして、コロナ禍もようやく開けた昨年の11月、紫谷氏がRe:fiveの運営から離れ、熊本で新グループを立ち上げることが発表された。
その新グループがSunny Honeyになる。

4月21日はそんな天草にルーツを持つRe:fiveとSunny Honeyの対バンイベントに行ってきました。
会場はもともとはMONECCO5のために作られた劇場Studio5。
定期的にStudio5でライブをやってるRe:fiveは、柊わかばさん、東雲ういさん、空豆かれんさんと研究生のひなさんの四人のフルメンバーでした。
天草での開催と最年長の責任、そしてやっぱりミクチャ配信の経験もあったんでしょう。柊わかばさんがマスターとして仕切る姿は安定感がありました。
時折、フロアと会話しながらMCを回し、イベントに起承転結のメリハリをつけてた姿はさすがでした。MONECCO5のときはずっと末っ子だったので、控えめなスポーツ少女だったのに、まわりを見ながら、他のメンバーに目配りして、フロアを飽きさせない気配り。複数のアイドルの出るイベントだけじゃなく、こうやって主催ライブで何度も企画も経験してるからこそできる見事さでした。
東雲ういさんは東雲ういさんでした。
Re:fiveがRe:fiveであり続けるのに、いまの東雲さんの自由さは大切なものになってると思います。「St…you」など、メンバー同士でじゃれあう振りも見てる人が楽しくなるほど、めいっぱい楽しんでるように見えて、東雲さんが自由にステージを楽しんでるから見てるフロアも楽しめるいいサイクルが出来上がってるように感じました。
空豆かれんさんは歌唱力がめちゃくちゃ仕上がってて聞き惚れてしまいました。スレンダーな身体に長い手足とモデルさんのようなスタイルでこの歌唱力。同い年ということで東雲さんと比較されることも多く、ヲタク的な印象ではフリーダムな東雲さんと優等生な空豆さんという空気があります。ただ、なぜか最後の曲の「ダンデライオン」で笑い出したりとたまに予想外なことも起こしてくれるそのキャラクターもまた魅力的でした。
研究生のひなさんは、この日は歌割りがなかったのが残念でしたが、デビュー当日からヲタクたちがメロメロになったルックスで輝いてました。

そのRe:fiveに負けじと挑んだSunny Honeyは、ぼくは見たのは二回目だったのですが、一曲目に歌った「Sunny days」からそのダンスの完成度の高さに、一回目の荒尾でも驚いたのですが、更に驚きました。
手慣れたRe:fiveに比べて、初々しいMCも好感が持てました。
そしてうちわを使ってのフリコピと間奏のショルダーシミーが楽しい「太陽的なぼくの彼女」。荒尾のときもこの曲を二回やり、この日も二回やったので、フリコピも含めライブで聴くのに楽しい曲として力を入れてるように感じました。
えくぼと八重歯のかわいいリーダー・花宮かのかさん、おとなしめのルックスなのに歌がめちゃうまの氷織ゆきさん、派手さが目を引くけど仕草のかわいい月城きよかさん、ファッションモデルのようなスタイルのよさなのに幼さの残る笑顔がかわいい星乃きさきさんと、メンバーさんもそれぞれ個性的で、また四人のキャラがまったくかぶってないこともアイドルグループとしての奥の深さを感じさせてくれました。

そしてなんといってもこの日の最大の見せ場は、Re:fiveとSunny Honeyがコラボして「朝からカツカレー」をやるというものでした。
「オリジナル曲がまだ二曲しかなくて、できる曲を増やしたいのでわたしたちも朝からカツカレーをやらせていただきたい」とフロアに語りかけたSunny Honeyの花宮さん。
フロアにはMONECCO5の時代から「朝からカツカレー」を聴いてきている方も何人もいらっしゃったが、みなさんそれぞれ「この子達の朝からカツカレーも聴いてみたい」とうなづかれていました。
歌割りはRe:fiveしかなかったものの、歌いながら自由な東雲さんを先頭に、Sunny Honeyとの共演を楽しむように歌うRe:fiveの姿はなかなか素敵なものがありました。
同じMONECCO5をルーツに持つこのふたつのグループが、切磋琢磨しながら各地で「朝からカツカレー」を歌うようになれば、それは素敵だなとぼくは思いました。
早くSunny Honeyの歌う「朝からカツカレー」も見たいです。

なお、ライブはそれだけでは終わらず、ラスト前に、マイクが壊れるトラブルというドッキリが運営から仕掛けられ、Re:fiveが歌えない代わりに、速度変化する「君とRESTART」を踊るというおもしろ企画もありました。
途中でRe:fiveとSunny Honeyがクイズ対決するMCコーナーもあり、ただでさえ楽しかったRe:fiveのワンマンライブがSunny Honeyのおかげで更に楽しくなってました。
てなわけで、どのくらいの頻度で開催されるかはわからないけど、Re:fiveとSunny Honeyの対バンはおすすめです。


3月4日から始まり24日まで続くTGCランウェイオーディションに参加しているため、現在、毎日、ミクチャの配信で会うことのできる柊わかばさん。毎日の長時間の配信で柊さんの意外な一面を発見することもできる大変楽しい時間なのだが、ぼくは初めの頃から何度か配信に顔を出して、柊さんの意外な一面に驚いたことがある。

それは「あれ? 柊わかば、意外にアイドル好きなんだ」ということだった。

柊さんがミクチャで流すBGMが、ことごとくアイドル曲でぼくは驚いたのだ。時には鼻歌で歌ったり、一度だけカラオケ配信してくださったこともある。

現役アイドルに対して「意外にアイドル好きなんだ」と感想を抱くのは全く失礼な話とは思うが、率直な感想として、そのくらいアイドルとつながらないイメージをぼくは柊さんに抱いていた。

 

2010年代に日本中を席巻したアイドルブーム、これは今思い返せばアイドルダンスのブームだった。

CDで聴くことが主体だったこともあり、それ以前のアイドルは歌を聴くものであった。踊っている姿といえば、広いコンサートホールで豆粒のような小さい姿を肉眼で見るかオーロラビジョンで見るか、もしくはたまに歌番組で見るかということで、それはそれで特別な体験だったが、もっぱら再生芸術として繰り返しファンに愛されたのはアイドルのダンスより歌だった。好きなアイドルが歌番組に出ても、ヲタクが繰り返し聞くのはCD音源なのが普通だった時代だ。いまでは信じられないが。

それが会いに行けるアイドルが生まれてから、劇場に通えば生のダンスがいつでも見られるようになり、ヲタクがダンスに触れる機会が増えた。インターネットの発達で動画サイトも充実し、ヲタクが再生芸術として繰り返し見るのがCDから動画に変わってきたのもこの頃だ。

そして2010年当時だとメジャーアイドルの劇場公演でもリップシンクするのが普通の時代だった。だからこそ、生でアイドルを見れば、歌を聴くことよりダンスを楽しむことが、ライブでの醍醐味だとヲタクが感じるようになってきていた。

2012年に小学校でのダンスの授業が必修になり、日本国民も義務教育レベルからダンスの底上げが始まった。

2014年に結成されたMONECCO5は明らかにこのアイドルダンスのブームの影響を受け、ダンスに重い比重を置いたグループだった。それは2015年に1周年イベントとして開催された「AMAKUSA IDOL FESTA」のトリで登場したときの一曲目に、メンバーが誰も歌わないダンス曲を持ってきたことでも明確だった。

そんなMONECCO5の最後の新メンバーで、ずっと最年少だった柊わかばさんは、本人の恵まれた身体能力の高さを活かして、ひたすらダンスを魅せるアイドルだった。カメコさんたちに「ばっち(柊さんの愛称)をブレずに撮るのはむつかしい」と言わせるほどのダンスは、ストイックでアスリートのような魅力さえあった。

ご本人もバスケットボールやバレーボールの部活で活躍されていることを公言され、運動会オフ会「モネリンピック」でも大活躍と、スポーツ大好き少女のイメージが強かった。

だからこそ、ぼくは柊さんがアイドルが好きなのは意外に感じられたのだ。

 

昨日はその柊わかばさんの18歳の生誕祭だった。

スタジオ5、新熊本アイドルシアター、天海とここ数年、会場が毎年のように変わっていた柊わかば生誕祭が今年は、天草出身の柊わかばさんの原点ともいえるスタジオ5に帰ってきた。

ステージをパッと見て目を引いたのは、かつてのMONECCO5の生誕祭にようにステージにのぼりが張られていたことだ。それに加え、バルーンスタンドとたくさんのバルーン、パンリーフがステージに並べられ、かつてないほどにぎやかに飾り付けされていて、開演前からぼくの胸が高まった。

開場が暗転し、本日の主役、柊わかばさんの影アナからライブはスタート。

Re:fiveの生誕祭は衣装もセットリストもこの日主役のメンバーがチョイスするのが恒例になっている。この日、柊さんが選んだのは、ネクタイブレザーの衣装。ラクガキアクセルのCDジャケットにも使われているこの衣装は、全盛期のMONECCO5を象徴するような衣装であり、久々の天草での生誕祭への意気込みを、ぼくはその衣装からも強く感じた。

そして、18歳、新成人ということでこの日、柊わかばさんは、初ヘアカラー、初ピアスのお披露目だった。

ピアスは右耳にふたつ、左耳にひとつがライトに反射して光り、大人っぽさを強調していた。

MONECCO5時代はスポーツ少女のイメージもあってか、ショートカットの時代もあったのに、いつのまにか少女が大人になるように長く伸びた髪は、ピンクの可愛さも交じりながらも大人っぽさも感じさせる上品な赤に仕上げられ、すごく似合っていてエレガントだった。

MONECCO5時代の活発なスポーツ少女時代からは、ほんとうにいつのまにかイメージを一新して、Re;fiveの美人枠は柊わかばさんになったなと感じた。

 

生誕の企画コーナーは「柊わかば年表」。

門外不出の子供の頃の写真なども出しながら、柊さんが生まれ、18歳の誕生日を迎えるまでを年表に書くという、これまでの生誕祭ではなかったまったく新しい企画だった。

 

(写真は萌え豚さんにお借りしました)

 

小学校に入学し、9歳でMONECCO5に加入。人生の半分がアイドルという柊さんの18年間の年表を、柊さんが説明し、それに吉川りおさんと一般人Kさんが笑いを交えながら進行する楽しいイベントだった。柊さんのレアな写真や説明も楽しかったが、こういうイベントに吉川りおさんが司会をしてくれるのがRe:fiveの強さだとも感じた。

 

もちろん、現役のRe:fiveも輝いていた。

この日一番の見せ場は、Re:fiveとしては昨年のバレンタインライブ以来とはいえ、そのときは柊わかばさんと橘かえでさんのふたりで演じられたので、現メンバーとしては初の「Avalon」が披露されたことだった。

MONECCO5史上もっともBPMが早く、ダンス難易度が高いといわれていたこの曲を、MONECCO5時代から歌っていた柊わかばさんが、東雲ういさん、空豆かれんさんを従えて歌う姿は、素晴らしかった。

そしてぼくはこれでやっとRe:fiveがMONECCO5を越えることができたと感じた。

MONECCO5の歴史を引き継ぎ、新たに熊本県のアイドルとして再スタートしたRe:fiveにとって、MONECCO5がやっていた曲が技術的な問題で出来ないというのは大きなコンフリクトだったとぼくは感じていた。もちろん、後継グループとはいっても、過去のことをやるのではなく、新しいことを生み出すほうが大事なので、MONECCO5の曲を無理にやる必要はない。ただ、「やらない」と「できない」は大きく違い、もしかしたら真実はできるけどやらなかっただけなのかもしれないけれど、Re:fiveがMONECCO5のやっていた曲で、できない曲があるかもしれないというのは、その曲の難易度が高い曲であればあるほど、それが「Re:five もいいけど、MONECCO5はもっとすごかったんだよ」と言われかねない無言の足かせのようになっている気がしていた。そしてMONECCO5の曲で、もっとも高難易度と思われていた曲が「Avalon」だったからこそ、この柊わかばさんの生誕祭という特別な日に、しかも天草のスタジオ5でこの曲をやってくれたことは、その足かせが吹っ飛んだようにぼくは感じた。

偉大なる先輩であるMONECCO5を、MONECCO5の元メンバーである柊わかばさんが、新しいアイドルグループRe:fiveとして演じ、天草でMONECCO5を越えてくれたのだ。

昨日は柊わかばさんの生誕祭という特別な日であったのだけど、その特別な日についにRe:fiveがMONECCO5を越えたとぼくは実感できたことが最高だった。それが柊わかばさんからの、この日生誕祭に来たファンへの一番のプレゼントだったと思う。

 

デビューしたばかりで熱狂的な人気を生んでいる研修生のひなさんは、はじめてツインテール以外のヘアスタイルを披露し、またもやファンをメロメロにしていた。

柊さんの生誕祭だからこそ見られる、元MONECCO5の吉川りおさんや一般人Kさんとの絡み、個性的なキャラでRe:fiveを盛り上げる東雲ういさんと空豆かれんさん、そこに熱狂的な人気を生んでいるひなさん、をしっかりまとめあげる柊わかばさん。

運動神経が高く、ダンスがすさまじいので、これまではアスリート的なキャラで見られていたところも強かったが、配信でアイドル好きとあらためて気づかせてくれ、ピアスをあけ、髪を染め、気づいたらすごく美人なお姉さまになってた。

そんな柊わかばさんの生誕祭、終わったあと、ぼくはふとつぶやいた。

 

きれいなお姉さんは好きですか?

 

 

ひぜんりささんは、はじめから5erに大きなインパクトを与えていた。

2017年のAMAKUSAアイドルフェスタ、天草市民センター大ホールにつめかけた250人の前にほぼ無名の状態でトップバッターを務めたのがひぜんりささんだった。

福岡からくるーず、長崎からミルクセーキ、佐賀からひぜんさんの先輩であるピンキースカイ、熊本はホストのMONECCO5にAiry SENSE、熊本クリアーズとそうそうたるメンツのライブだった。

たしか直前になってゲスト出演が決まったんだったと思う。

ほぼ無名、名前を知っている人もピンキースカイの事務所の新人だから知っているだけで見たことはない、そのような状態で大ホールのステージにひとりぼっちで立ったひぜんりささんは、パンダのポーチを身に着け、いまのステージの片りんを感じさせるパワフルでキュートなステージを見せ、5erを魅了した。駆け出しだったのでチェキがたしか500円で撮れたこともあったろうが、物販もびっくりするほど混雑したのを覚えている。

当時、ひぜんりささんは弱冠17歳。

 

昨日はそんなひぜんりささんの656広場で行われた生誕祭に行ってきた。

ステージの下には生誕委員さんに飾り付けらたバルーンは「24」の数字だった。

去年「23」の数字を見ていたはずなのに、もうあのAMAKUSAアイドルフェスタから7年も経つのかと、つい冒頭に書いたような昔のことを思い出してしまった。

ぼくは11時過ぎに会場に着いたのだが、その時間にはすでに前物販が始まっていた。

その物販とリハーサルの合間を見ては、ひぜんりささんがマイクを持って、会場周辺を散策されている方を呼び込んだり、出店の紹介をしていた。

主役自らイベントを盛り上げようと、そうやって動いている姿は、イベントスタッフとして仕事をすることもあるサガンプロ所属のタレントらしいなと感じたし、さすがだなと思った。

 

この日のゲストは、福岡から博多ORIHIMEと熊本からRe:five、そして事務所の先輩の園田有由美さんだった。

HR時代から、HRのあの狭い劇場でもステージを降りてフロアを走り回るパフォーマンスを見せていた白石ありささん率いる博多ORIHIMEは、やはり656広場との相性がかなりいい。この日、1部はトップバッターで登場し、会場を暖めた。日が陰りかけた2部ではさらに暖めるように一曲目の「にわか」から全開。優れた楽曲にレベルの高いパフォーマンスはライブハウスで見てももちろん楽しいのだが、656広場のような開放感のある屋外スペースではライブハウスとはまた違う一体感が感じられて素晴らしかった。

Re:fiveは大黒柱の柊わかばさんが欠席で、話題の研究生・ひなちゃんも歌割があるというレアなステージだった。遠征とはいえ、一番多い遠征先である佐賀ということもあって、遠征の緊張感と慣れたステージの安定感の入り混じるステージだった。去年のひぜんりさ生誕祭でもやったように、最後の曲、「朝からカツカレー」のオチサビでは、沸きエリアの最前にカツカレーを持ったひぜんりささんが登場。ひぜんりささんも盛り上げての熱いステージだった。この日Re:five以外の出演者はみなさん二十歳を過ぎている完成度の高い方たちの中だった。だからこそ、中学生三人というアイドル性の高さも見せてくれたと思う。

ルナソレイユがコロナで残念ながら出演がキャンセルになったため、園田有由美さんは1部2ステージ、2部2ステージと計4ステージの出演になった。もともとはルナソレイユの枠だった各部の一枠目は、ひぜんりささんに憧れてアイドルになったひぜんぴざという設定で登場。1部も2部も初期のピンキースカイがカバーしていた曲を一曲目にやって、いつもとちょっぴり違う特別感で楽しませてくれた。ひぜんぴざ、園田有由美さん、両ステージともひぜんりささんをステージに呼び、軽妙なトークと圧倒的な歌唱力で、かつて木むつのような佐賀の盛り上がりをほうふつとさせていた。両部とも「君に届け」をやってくれたし、一部では「一番後ろの君に」、二部では「Only You For me」とピンスカ曲を連発。圧倒的な歌唱力があるので園田さん本人の気持ちのこもったシンガー曲を歌うのも新しい園田さんの魅力とは思うが、ようやく木むつが復活したぐらいで、656広場ではしゃぐのに飢えていた心にはこのような選曲はうれしかった。

 

一部、 二部共に登場したひぜんりささん。

一部でも相変わらずパワフルに魅せ、二部では衣装に羽根を生やし、バルーンスタンドの風船を持つという遊び心の中、シャボン玉も浮かぶステージで、やはりパワフルなステージで、656広場を魅了していた。

7年前のAMAKUSAアイドルフェスタでは、度胸のすごい少女だなという印象を鮮明と覚えているが、いまのひぜんりささんは、7年前にぼくらを驚かせてくれた度胸などもう普通にこなしているので、今更驚くことのない安定感の高いステージだった。

小さい身体をアンヴィヴァレントに大きく動かし、ステージを元気よく走り回る。沸きエリアはもちろん、撮影しているファンが多いエリア、遠巻きに見ている人にも一瞬でコミュニケーションをまなざしで取るレス力。もはやそんな姿をいま見ても「度胸があるなあ」という感想ではなく、「さすがだなあ」と感想が変わるほどの安定感を見せつけてくれた。

そして評価すべきは歌だけでなく、その間のMC。途中で園田さんと一緒に話すところもあったけれど、おひとりでも抜群のトーク力とファン思いの暖かさでステージを飽きさせないのは、さすがサガンプロだなと感じた。これは木むつライブという毎週行われる無銭ライブで鍛えられたキャリアと思うのだが、何度見ても舌を巻くほどのうまさを感じた。

伝説のピンキースカイの後輩でありながら、ピンスカのいい部分を取り入れつつも、ひぜんりさらしさを大切に完全に自分のスタイルを完成させている。

7年前からそんな自分のスタイルを作っていたひぜんりささんだったが、7年も経つとそれがかなりすごみを増したなと感じました。

 

 

 

おかげさまで今週は平日もRe:fiveで楽しませてもらった。

Re:five の柊わかばさんと東雲ういさんが「TGC熊本ランウェイオーディション」に現在参加されている。

そしてこのオーディションが、動画配信サイト「ミクチャ」の応援投票のポイントで競われるとあって、柊わかばさんと東雲ういさんが、ライバーさんに交じって毎日ライブ配信してくれているからだ。

柊わかばさんが卒業式を終えたばかりの高校三年生、東雲ういさんが卒業式を控えた中学三年生と、比較的時間に余裕のある時期のイベント開催とあって、おふたりとも毎日8時間以上配信されている。

さすがに平日に全部それを見ることはできないけれど、仕事の合間などにちょっとスマホを触れば、Re:fiveがライブ配信をしているというのはしあわせな時間で、めちゃくちゃ楽しい。

 

とはいえ、おふたりがここで配信されている理由は、4月13日に行われるTGC熊本のランウェイの出演権をかけたオーディションなのである。

もちろん出場するからには、オーディションには合格してほしいのがファンの気持ちではあるが、正直なところ、ライブアイドルのヲタクはこういう課金イベントにはあまり強くない。

そもそも同じお金を使うにしても、配信より、毎週行われる生で会えるイベントのほうが圧倒的にコスパがいいわけで、やはり限られた財布はそちらに注ぎたいのがライブアイドルのヲタクなのだ。

先週の日曜日のRe:fiveのイベントで何人かのヲタさんと、このオーディションについて話をしたが、ぼくの周りではそういう意見が主流で、出来るだけ応援はするけど課金はむつかしいという空気だった。

 

3月4日の正午よりイベントはスタートした。

Re:fiveは東雲ういさんが正午に、柊わかばさんが0時半より最初の配信を始めた。

口では「無課金」と言いながら課金されたり、時間を使ってボックスのコインを集めていた人がいたのだろう。

そもそもアイドルだからライバーさんよりもファンの数が多いこともあり、この昼間のスタートは順調だった。

最初の一時間は1位が東雲ういさん、2位が柊わかばさんと独占していた。

ただし、配信だけでファンをつくり、配信を見ることがファンのいちばんの推し活であるライバーさんたちは、この浮足立ったアイドルヲタクの力を一蹴した。

東雲さんは中学生だから20時まで、柊さんは高校生だから23時までという事務所の配信のルールも不利に働き、東雲さんは20時近くには「やめたくない」と言いながらも配信を切っていた。

3月5日の朝の時点で、東雲ういさんは4位、柊わかばさんは8位まで順位を落とした。

ポイントも4位の東雲さんが26362ptで、3位の方は50074ptだったので、倍近く引き離されていた。しかも上位三人は、三人とも同じライバー事務所に所属するライバーさんだった。

しょせんぼくらはアイドルヲタクで、ミクチャは推し活のメインの場所ではない。メインの推し活がミクチャのライバーさんには勝てないのか。

初日の結果を見たとき、ぼくはそんな気分になった。

ただ、その時点で一人神がいた。

 

東雲さんの初日四位、この数字はたしかに厳しいものではあったのだが、実はこの四位の順位には、ムービーに10000pt投票した方がいらっしゃったのだ。

そのおかげで、東雲陣営では東雲さんがムービー部門1位であることが確認され、勇気づけられた。

そして二日目の配信。

「ライバーの課金勢は1.3倍の初日と1.5倍の最終日に集中する」と聞いていた通り、ライバーさんのポイントは伸びない。そんな中、柊わかばさん、東雲ういさんは長時間の配信で確実にポイントを伸ばしてきた。

はじめは指定アイテムだからとリトルボックスもやみくもに投げられていたが、時間を指定してその時間に投げると人が集まるといったテクニックも、みんなで覚えてきて伸びていった。

特に東雲さんの配信では、こだまだいきがリトボを投げる→初見さんが集まるといった相乗効果が効いていた。

柊さんはアイドルで鍛えた交流力でファンを増やしていた。

ライバーが伸びない1倍デーであるとはいえ、二日目は、上位が5000pt~7000ptぐらいしか上積みできない中で、東雲さんは17082pt稼ぎ、24000ptあった三位との差を13000ptまで縮めた。柊さんも8324pt積み上げ、順位を8位から6位に上げていた。

この日の東雲さんの配信は、顔見知りのアイドルヲタクばかりでなく、新規さんも増えていた。外国人の方に英語でコメントされ、必死でコメントを返す姿もあったし、明らかに自動翻訳の方からもコメントされていて思わぬ人気を生んでいることに気づかされた。また、普段の活動や他の配信者ではなかなか見られない英語で必死に会話をする東雲さんの姿は、これまで東雲さんを応援していたファンにとって新鮮で楽しかったし、そんな珍しいことをしていることで新規の日本人の方も増えたのだと思う。

 

三日目もその勢いは止まらなかった。

三日目は暫定1位の方は気合が入ったのか、31960pt伸ばしたが、東雲さんも負けずに20806pt増やした。暫定3位の方が9502ptしか伸ばさなかったので、三日目が終わる頃には、初日24000pt差だった東雲さんと3位との差は3000ptまで縮まっていた。

柊さんも順調にポイントを伸ばし、5位との差を縮め、7位との差を広げていた。

そして昨日である四日目、3位の方も配信されていたのだろうが、勢いのある東雲さんのポイントは増え続け、ついに夜には3位に浮上した。

この日の日当たり獲得ポイントは、暫定1位の方はほぼほぼ配信されて29302ptとぶっちぎっているが、暫定2位の方は12795pt、暫定4位(元3位)の方は5498ptだったのに対し、東雲さんは24724pt、柊さんも14216ptと伸ばしていた。これはライバーさんみたいに課金勢は少ないかもしれないが、アイドルであることのファンの多さと、おふたりの配信の楽しさがたくさんの無課金ポイントを集めた結果とぼくは見ている。もちろん、それ以上に応援したくなって課金してくださった人もいるだろう。

だからぼくはまだまだ、柊さんも東雲さんもベスト3を狙えると信じている。

初日には倍近い差があった3位とのポイント差を四日目にしてひっくり返した。

暫定1位は別格にしても暫定2位や暫定3位の方よりも東雲さんも柊さんも毎日ポイントを積み上げているし、その量も伸びているから、配信を続けるうちに、暫定1位の方の日当たりポイントを越えるかもしれない可能性も秘めている。そうなると合計だって超えないとは限らない。

これはまだ配信の経験が少なく、ライバーとしての固定ファンが少ないからこその、伸び代しかない強みだ。

 

また、初日に東雲さんのムービーに10000pt投票した神が、昨日の夜にまた現れ、3位浮上をお祝いするようにムービーのポイントがさらに10000pt増えていた。毎日新しいムービーを投稿していた東雲さんの努力が呼んだ神とも言えるが、東雲陣営にしては大変ありがたいポイントになった。

そのような方が東雲さんにも、そしてムービーを増やしている柊さんにもいつ現れないとも限らない。

 

ただし、ポイント1.3倍の初日で大きく水をあけられたように、ライバーのファンの方は間違いなく1.5倍の最終日にたくさんのポイントを投げてくるだろう。

逆にRe:fiveは日曜日なので本業のアイドル活動があり、しかもこの日は佐賀に遠征と配信にとっては不利な状況。

結果はどうなるかは誰にもわからない。

ただ、ここ半年ぐらい、熊本の各アイドル運営は「パイを増やしたい」と口にされていた。

Re:five運営の武部さんも「お客様のことをパイというのは失礼だと思いますが、やはり運営としてこれからもっとパイを増やしていきたい」と言われていた。

その意味では毎日コンスタントにポイントを稼いでいる柊わかばさん、東雲ういさんには、たとえ無課金でも一定の固定ファン数がいるうえに、新しいファンを獲得していることの証明になったのだから、今回のミクチャオーディション参戦は非常によかったと思う。

ただ、願わくば、ここまで来たなら、おふたりの、そしていまや5erの夢にもなっているTGC熊本のステージに立って欲しい。みんなでグランメッセ熊本に行きたい。

そのためにもしよろしければ、日曜日だけでも、2ポイントからでも、応援をしていただけないでしょうか?

 

2月5日に発表されたRe:fiveのメンバーの卒業は、たとえそのメンバーが年明けてからライブに出演していなくても、大きな衝撃をファンに与えていた。
もちろん、新しいことを始めるのはめでたいことであるし、卒業したいというメンバーの意思は尊重されるべきである。
ただ、これまで会いに行けていたアイドルに会えなくなるのが単にヲタクは寂しい。

そんな寂しい思いが心のどこかでひっかかってるなかで、昨日は待望のRe:fiveの今年最初の主催ワンマンライブ、「Re:five VALENTINE LIVE」に行ってきた。

いつものovertureからメンバーの登場。
衣装は見慣れたはずのピエロ衣装だったのだけどなにか違和感。
色はいつも通り、柊さんと東雲さんがピンクで、空豆さんが紫、ブラウスも柊さんと空豆さんが白で、東雲さんが黒なのに、微妙な違和感があるのだ。
よく見るとダイヤ型のボタンや大きなリボンの飾り付けがされていた。
MCで「吉川りおさんが飾り付けをしてくださった」とメンバーが種明かしをしてくれたように、同じ事務所の先輩タレントが衣装はパワーアップさせてくれていたのだ。

ぼくはそれまでなんとなく胸の奥で引きずっていたメンバーの卒業が、この衣装で吹っ切れた。
卒業したメンバーも新しい夢に向かって変わったけど、Re:fiveも新しく変わろうとしている。
終わったことを悔やんでもしかたない。

二曲終わったところで、この日二回目の異変が起こる。
いつも自己紹介まではMCをすることが多い東雲さんがこの日はなんとフリートークのマスターMCにチャレンジしてたのだ。
東雲さんのいまのスキルだと、それは特段むつかしいことではなく、そつなくこなされていたが、最年少のあの東雲さんがマスターMCをやるってことだけで、そのインパクトがおもしろいのがいいなと感じた。

ライブは、先月に満員のNAVAROや満員のTENKAIでRe:five以外のファンの前でも自信を持っていたパフォーマンスを、天草でも存分に見せてくれた。
長いキャリアに加えて、実は初めてグループ最年長になった柊わかばさんは、かつてMONECCO5の最年長や年長組のリーダー、更にはRe:fiveの橘かえでさんがそうしてきたように、自分を見せるのに加えて、他のメンバーをも気にかけてる姿がさすがだった。いよいよ高校を卒業され、ヴィジュアルも大人っぽくなられているのもあり、グループの柱としてしっかり支えられる覚悟にはリスペクトをぼくは抱いてる。
空豆かれんさんは、もともと歌声がすごくいいなとは感じてたけど、そこに長い手足からの大きなダンスが加わって、見るたびにすごみが増してるように感じた。落ちサビのパートも自信が見えて、安心感が生まれていた。
マスターMCにチャレンジした我らが東雲さん。柊さんがフォローした場面もたしかにあったかもだけど、そこはグループの良さなわけで、普通にそつなくこなしていた。なにげに東雲さんは成長しても、それをいかにも「できました!」と見せるタイプではなく、むしろふわふわしてて周りからできないと思われてることをそつなくこなす印象がある。
そんななかでこの日いちばんの場面も東雲さんだった。
「霖雨のファンタジア」で、これまで先日卒業したメンバーが歌っていた歌割りを歌うとき、ふっと涙ぐまれていたのだ。
卒業されたメンバーは、研究生の頃からほぼほぼ東雲さんの同期でステージでもいちゃいちゃするほど仲がよかった。そのメンバーへの気持ちを、ふとした表情で、しかし全体のパフォーマンスを引きずるほどのものではなく、小さく表現する。
新しくRe:fiveも変わるんだ! と思っていたぼくも、つい卒業されたメンバーに想いを馳せてしまった。

とはいえ、ライブは相変わらずの主催ライブの楽しさもあって、すごくよかった。
特に先月のNAVAROとTENKAIでの経験がすごく生きてると思う。
いつかはあの日のNAVAROやTENKAIのように、またスタジオ5も満員になればいいなあ。