君が好き

君が好き

アイドルの話でもしようず。

昨日は天明ホールで開催された熊本Flavorの五周年ライブに行ってきた。
今年は熊本三グループとして、Re:five、SunnyHoneyと一緒に、いまが一番おもしろいと言われた熊本のアイドルシーンを盛り上げた熊本Flavor
秋からは新たにわかなさんとゆりなさんのJuniorFlavor九州を加えて活動、総勢熊本Flavor5人にJuniorFlavor九州の2人を加えた7人で活動されている。
熊本三グループの中でも熊本で一番の美少女集団は熊本Flavorだとぼくは思っているが、それに加えて、このJuniorFlavor九州も加わっての姿を見て、いつ見てもこのグループは伸び盛りだなあという印象を持っている。
個人的にはぼくは熊本Flavorではリーダーの水無月あやかさんが生誕委員に混ぜていただくほどのファンなのだけど、大学受験のため、最近はあまり活動されていない。
ただ、その怪我の功名と言ってはなんだけど、水無月さんがいなければ最年長が中学二年生ということで、それも伸び盛りだと感じることが増えた。

オープニングはまずは熊本Flavorの正規メンバーの日向みさきさんと聖ともかさんのふたりの楽曲からステージが始まった。
紺色チェックのワンピース衣装にふたりとも髪の毛はシンプルに下ろしたままで、そのおとなしめの髪形と衣装が、逆に美少女感をきわだたせていた。
正直、ぼくはそれを見て、こう来たかと目を丸くした。
アイドルはやはり華やかな世界であるから、華やかに表現するのが普通である。
かわいい衣装、かわいい髪型で、かわいい世界を演出する。
それがオープニングでおとなしい色の衣装にシンプルな髪型で登場されたことで、逆に美少女感が爆発していたことがすごいと感じた。さすがは熊本で一番の美少女集団だ。
二曲目以降は研究生ののぞみさんとJuniorFlavor九州も加わってのステージ。
それまで歌声を聴いたことのなかったJuniorFlavor九州やのぞみさんの歌声も聴けて、やはりこれからもどんどん伸びる伸び盛りのグループだなと印象を受けた。
ただ、現場でいつも見られている方はご存じだろうが、先日も福岡の学園祭ライブをひとりで出演して熊本勢のトリを飾った日向みさきさんのスキルは、熊本のアイドルの中でも歌もダンスも最高峰のクオリティである。その日向さんが驕ることなく、いまでも伸び続けているのがこのグループの伸び盛りの末恐ろしさでもあるのだけど、その日向さんに刺激を受けながらも自分らしさを個性的に表現できる聖ともかさんがいて、それに追いつけ追い越せと研究生やJuniorFlavor九州が切磋琢磨する。
それがまさに伸び盛りの熊本Flavorの本質だとぼくは感じている。

オープニングが終わり、ゲストのステージを挟んでからの本編のステージでは、今度は日向みさきさんと聖ともかさんは真っ白なドレス風の衣装で登場。こういう衣装も熊本Flavorは本当にセンスがいいなと感じる。髪型もドレスに合わせて、日向みさきさんは上品に編み込まれ、聖ともかさんは大きなリボンをアクセントのツインテールと、おふたりともかわいく仕上げられてた。
そしてサプライズ。
曲の紹介で「This Summer」と言うとそのざわめきも収まらないうちに、Re:fiveの聴きなれた「This Summer」が流れる。
その次にはSunnyHoneyの「夏☆恋ばけーしょん」もやっていたが、熊本三グループで一緒にツアーも回った戦友のカバーをしたのだ。
これには熊本Flavorを見に来た人だけじゃなく、Re:fiveやSunnyHoneyを見に来た人たちも大喜び。柊わかばさんのXのポストによると、それを見て涙したRe:fiveのメンバーもいたそうだが、素敵なサプライズだった。
サプライズはそれだけで終わらず、残念ながら学業の都合で出席できなかった水無月あやかさんの手紙をみゆ先生が朗読する場面もあり、そして研究生だったのぞみさんが昇格して「星川のぞみ」として正規メンバーとして活動されることも発表された。
まさに伸び盛り、進化を続けているグループの象徴的なサプライズの連続だった。
熊本で一番の美少女集団としてのわかりやすい魅力はあるものの、その中でそれぞれのメンバーが自由に成長して、いつも伸び盛りの印象を与えてくれる熊本Flavor。
その根源には、みんなと同じことをしていてもスターにはなれない。異質だからこそスターになれるという芸能の仕組みを理解している大人たちの知識と、それを素直に力にできるメンバーの努力があるのだろうとぼくは感じている。
だから、常に伸び盛り。現状に満足しないで、「もっとやれる」「もっと愛されたい」と考えることで成長を止めずに進化しているのだ。
去年の天海での四周年の時には想像できない世界が五周年では広がっていた。
来年の六周年もさらに成長して、今の時点では想像できない姿が見られることだろう。


 

MONECCO5は天草で見るのが一番いいと言われていた時代があった。
熊本市内からでも片道二時間の長い道のりはたしかに遠かったが、それだけ遠くても通う価値が天草にあったのだ。福岡や熊本の対バンイベントでファンを増やし、そのファンを最高潮に満足させるのが天草という仕組みになっていた。
その天草のMONECCO5の本拠地だった「Studio5」。
そのStudio5で、昨日は現体制のRe:fiveになってから初めてのワンマンライブが開催された。
新しいファンを増やすためにいろいろなグループが出ている、つまりいろいろなアイドルファンの集まる会場でライブをすることはもちろん大事なことである。
ただRe:fiveのファンであるぼくとしては、現体制で初の、久しぶりのRe:fiveのワンマンライブというのが、ことさらにうれしかった。
単純にワンマンライブは推しグループの出演時間が長い。見たことのないアイドルやほかのグループを見られる楽しさが対バンイベントにあるのも承知しているが、やはりステージの時間すべてがRe:fiveというだけで単純にうれしかった。
そしてライブ終了後、ぼくは物販交流券を販売している運営さんにわざわざ言いに行っていた。
「最高のライブでした。来年も定期的にこのイベントをやってください」
本当にそのイベントが開催されるかはわからないが、素直にまたやってほしいと思うぐらい素晴らしい時間だった。

Re:fiveがMONECCO5の後継グループである以上、かつて天草で開催されていたMONECCO5のワンマンライブを懐かしむような気持がライブの開始前のぼくにはたしかにあった。
一曲目がStudio5どころかその前にMONECCO5が本拠地にしていたスマイルパーク時代から歌われていた「君を待っている」でそのような気持ちになったものの、ライブが進むうちにいまのRe:fiveの等身大の良さが感じられてくると、そんなMONECCO5の幻影など頭から消えて、やっぱりRe:five最高じゃんとしか考えられなくなっていた。
まず、衣装が全員生誕ドレスだった。柊わかばさんが「やりたかったけど対バンでやるとこの人たちの衣装バラバラすぎると思われるからできなかった」と言われていたが、あまりにも予想外でその時点で神イベだとヲタクたちは口々に言っていた。だいたい生誕ドレスというのは、数年前までは、熊本の生誕祭ではソロ曲と一番最後の曲だけ着るのが定番で、最後の曲で歌うときでもドレスを着たメンバーだけドレスなのでダンスが控えめというのが普通だった。
それが昨年のういたんさいから東雲ういさんがゲストとのコラボステージで生誕ドレスでバリバリ踊り、今年の生誕祭ではRe:fiveのパートでも生誕ドレスで出演していたことからその空気が変わりつつあった。そこにきて、この日は全メンバー、全曲生誕ドレスである。ライブ中、ずっとシャッター音がいろんなところから聞こえるほど、写真を撮られる方にもかなりお得なライブだったと思う。
そこにきて、吉川りおさんのサポートメンバー終了からほぼ封印されていた「僕達の唄」が披露された。
りおちのいない「僕達の唄」が逆に新鮮でファンは大喜び。吉川さんを尊敬する四人のメンバーが、吉川さんのアイドル時代の代表曲ともいえるこの曲をリスペクトを抱いて演じていた。
もうぼくはこの時点で大満足だった。
普段は見らられない衣装、楽曲、これだけでも天草に来ただけの価値があったと思えたのだ。
しかし、ここからはこの日のライブのテーマ「MC力強化」のトークライブが始まった。
主に対バンイベントなどでMCをまとめている柊わかばさん以外のMCを強化するというスタイルだったので、柊わかばさんが司会をして質問をし、他の三人のメンバーがその質問に答える形だった。
どうしても対バンイベントだと時間が短いから、リーダーの柊さん以外のフリートークはなかなか聴く時間がないのが実情だ。AKB48みたいに自己紹介に15分も取れるようなグループではないので。
また対バンイベントのMCだと、自分たちのグループの紹介が中心になり、各メンバーの人となり的なものを感じられる場面は少ない。ファンだと物販交流会で話してみてこのアイドルはこんな方なんだと感じることは多いものだが、物販交流会に行かないとわからないものである。
それがこの日は、フリートークだったからこそ、メンバーのそれぞれの一面が垣間見れたし、それに加え、それぞれのメンバー同士の仲の良さがよく伝わったのが良かった。
Re:fiveはメンバー同士が仲が良いというのはよく聞く話だが、物販交流会ではひとりずつとしかファンは話せないため、それを見られる機会は少ないものだ。それが実感できたのが本当にうれしかった。
笑いばかりが起こる楽しいフリートークだったが最後のお題は「目指すアイドル像」。
負けず嫌いでいっぱい練習していると言われていた東雲ういさんは「ツインテールが一番似合うアイドルになりたい」と高い目標を掲げられた。たくさんのフォロワーやファンを集めたい東雲さんらしいなとぼくは感じた。
白鳥ひなさんは「アイドル以外にもまじめに生きるプロ意識の高いアイドルになりたい」と言われていて、個人的にはRe:fiveの良さってMONECCO5時代から続くストイックなまじめさがあるとぼくは常日頃感じていたのだけど、それを最年少で一番新しいメンバーの白鳥さんの口から聞けたことが、まさにこれぞRe:fiveだと嬉しくなった。
そして空豆かれんさんは「生きてる中で歌で救われてきた人間なので、歌で人の心を動かせるようなグループにしたい」、更には「みんなが平等でまとまって仲の良いグループでいたい」と主語がグループですごくいいことを語ってくれて、胸がほかほかした。
そうやっていいことも聞けたトークライブ。更に特筆すべきは、Re:fiveらしいというかMONECCO5を越えたなと感じたが、冒頭に運営さんが趣旨を説明しただけで、そのあとの30分ほどは、運営さんやオタクの声を拾うこともなく、メンバー四人だけでしっかり話してトークライブができたことだった。まさに「MC力強化」のためのトークライブだと感じたし、仲の良いメンバー同士の楽屋トークを覗けたようなうれしさもあった。

トークライブのあとに柊わかばさんが「普段のライブではやっちゃいけないことだけど今日はワンマンの特別感を感じてもらいたい企画を持ってきました」と言われて、空豆かれん生誕でやったメンバーシャッフルの抽選箱が登場する。
白鳥ひなさんが「まじめに見ないで」と言われて抽選が開始し、その抽選箱にくじが一枚しか入っていなくて空豆さんがフリーズするなどドタバタもあって決定したのが、空豆かれん(東雲さん)、白鳥ひな(空豆さん)、柊わかば(白鳥さん)、東雲うい(柊さん)のシャッフルだった。それにあわせてオタクまで混ざるカオスな状態。曲はこの日のために今週のレッスンでやらなくて動画も見ないようにしていたらしいぶっつけ本番状態で臨む「St…you!」。
ところどころのダンスのキレと歌唱力の安定はさすがと思わせるところもあったが、東雲さんの「あれ?」から始まり、結構柊さんが飛んでて「あ、わたしーっ」と慌てたりと、素晴らしくめちゃくちゃだった。70年代の新劇のハプニングのような楽しさあふれる即興芸のような魅力もあって、今日しか見られない付加価値もあり最高だった。

そこからはそれを取り戻すように「ツインテール似合ってる」、そして「オトナと僕の」「This winter」「朝からカツカレー」「ダンデライオン」とこれだけでも普段の対バンライブ以上のボリュームで本気のRe:fiveを見せてくれた。それも生誕ドレスでである。普段の外イベよりも時間も内容もたっぷりRe:fiveを堪能させていただいた。

「おれたちの聖地Studio5」が帰ってきたとぼくは感じた。
トークライブからシャッフルの「St…you」までは笑いだらけの空気だったフロアが熱気に包まれて、それをさらに熱くする四人はやっぱりすごいなと舌を巻く迫力だった。
願わくば今後も対バンイベントでRe:fiveを知った方に、Re:fiveの本気を見せる場として、このようなライブを定期化してほしいなとぼくは感じた。
最高だった。

 

今年、熊本で最も活動的でファンを増やしたグループといえばSunnyHoneyで多くの人は異論がないだろう。
昨年3月デビュー、11月の新メンバー加入から勢いは加速し、今年は念願の東京遠征にキャナルシティ博多でのリリースイベントと活躍が目立った。久々の熊本アイドルの東京遠征にキャナルシティ。この快挙のおかげで熊本のアイドルシーンは活性化し、その直前に行われていた熊本アイドル3グループ合同ツアーもSunnyHoneyの勢いによって盛り上がった。ぼくの推しているRe:fiveもその勢いに便乗でき、他のグループのファンとしても今年のSunnyHoneyの勢いはありがたいと感じたほどだった。

北山修の「戦争を知らない子供たち」(1970)に、当時の若者や男女差別に向けた詩がある。
引用すると

 さきに生まれたから、年上なのです。
 さきに生まれたから、既成と呼ばれ、さきに椅子に坐っているのです。
 その椅子がほしければ、ゆずってくれるように頼まねばなりません。
 堂々と実力で勝負してもいいでしょう。
 大切な椅子を簡単にゆずってくれるわけがない。
 歴史を恨んではいけない。明日がある。

 ウーマン・リヴ。
 女が男の坐っている椅子を要求するのは当然でしょう。
 しかし、彼らも椅子を易々とはゆずらない。椅子の数が少なければ椅子をつくらねばなりません。
 男が蒸気機関をつくったから、汽車の運転手は男なのです。

 椅子をつくって下さい。つくりましょう。
 歴史を恨んではいけない。明日がある。


まあ、このへんの思想的な話は個人的には当時よりも年功序列も男女同権も自由になったような気はするが(何も変わってないという人もいるだろうが、少なくとも世の中をこの方向に持っていかないといけないとは思う)、それはともかく話を戻すと、SunnyHoneyはかつての若者や女性のための椅子を時代が作ったように、熊本のアイドルシーンの中で椅子取りゲームをするのではなく、新しい椅子を作り続けてくれている。アイドルブームが終わり、オタクのパイが小さくなったと言われて久しいが、その小さいパイを取りあうのではなく、パイを、つまり市場をSunnyHoneyは大きくしてくれているのだ。今年は「熊本(のアイドルシーン)はいまが一番面白い」と言われた年だが、それだけシーンが盛り上がったのはやはりSunnyHoneyがファンを増やしてくれたことが大きいのだ。その恩恵にぼくの推してるRe:fiveも預かることができて感謝しかない。

その勢いのあるグループの中でも、新たなファンを開拓しているのを一番に感じるのが綾瀬まいさんだ。
とにかく周りで、綾瀬さんに心を奪われ、ハマる人が多く生まれていた。
昨日はその綾瀬まいさんの生誕祭に行ってきた。
ご本人もTikTokのアカウント名を「ぬま」とされているが、そのハマり方は、一度ハマると抜け出せないほど魅力的なところから「沼」でたとえられることが多いため、この日の生誕Tシャツは「沼」と背中に書かれたものだった。そのTシャツを着られているファンの方も多数。さすがの人気ぶりをうかがわせてくれる。
会場は天明ホールというホールだった。熊本アイドルで生誕祭でホールを使うことは珍しく、SunnyHoneyでは初の生誕祭でのホールコンサート。
「大物を育てるには部屋の天井を高くすると良い」と言われるが、その期待を感じる会場だった。
ホールらしい、ブーという開演を知らせるブザーの音が流れ、客電が落ちると綾瀬まいさんの影アナか流れる。
その間、ステージは緞帳で隠されている。
そのライブハウスとは違うその雰囲気が、特別の日を迎えたファンの気持ちを演出していた。
まもなく「まいちゃんおめでとう」という花宮かのかさんの声と「ありがとう」と答える綾瀬さんの声がマイクを通して会場に流れ、同時に緞帳が上がり、聞き慣れたSEが流れる。
特別な日を迎えた初めての場所に聴き慣れたSEの安心感で、ファンのボルテージが上がる。
ステージには生誕委員が作ったのぼりが3本と、バルーンによる誕生祝いの飾り付けがされていた。
キャナルシティのリリイベで披露された新衣装に綾瀬さんのメンバーカラーのハチマキをワンポイントにつけたSunnyHoneyがステージに並ぶ。
一曲目はそのリリイベで発売されたばかりの2ndシングル曲「ウルトラオレンジ」だった。
2曲目はメンバーがタオルを回すのにあわせてファンも腕を振るのが楽しい「夏恋バケーション」。ただこの日は特別に、オチサビで舞台ツラにメンバーが座る演出があった。四人が客席最前から手の届きそうな舞台ツラに座った姿は楽しそうであり、グループの雰囲気の良さが伝わり、写真にも映えそうな構図で見事だった。その直後のMCで「みんなテンションが高い」と言われていたが、そのテンションの高さを表現しているようないい場面だった。
3曲目は今度はサビでメンバーが振るうちわにあわせてファンもうちわやペンライト、腕を振る「太陽的な僕のカノジョ。」
「夏恋バケーション」「太陽的な僕のカノジョ。」と、フロアを巻き込む振りがあるのが、SunnyHoneyがたくさんのファンを作ってる一因でもあるとぼくは思っている。
腕を振るだけでそれまでは見るだけであったステージに参加できるからだ。
初めは後方や椅子席でおっかなびっくり腕を振って楽しくなり、次はコアゾーンでコアなヲタクと沸きたいと思う人もいるだろう。
そういうファン同士が仲間感覚になれるきっかけもこういう振りは作ってくれるなとステージとフロアの一体感を見ると感心してしまう。
オチサビが「笑っていられるのはまいがいるから♪」と花宮さんが歌い、生誕祭らしい雰囲気を更に盛り上げてくれたのも効いた。
4曲目は、あとのセレモニーで綾瀬さんが言われていたが「この日のためにやりたい」と綾瀬さんがリクエストされた曲で、綾瀬さんが「この人(他のメンバー)たちなら2週間もあれば仕上げられるだろうと、2週間前からレッスンしようと考えていたら、その2週間前にこの人たちは完璧に仕上げていた」とメンバーの綾瀬さんへの愛の伝わるカバー曲だった。
そこからは「くもの向こうで」、そしてラストは「Sunny Days」
まさに全曲を全力でやる圧巻のステージは、主役の綾瀬さんはもちろん、他の3人のメンバーも、大きなホールの雰囲気でふんだんに輝いていた。

その後、ゲストを挟んだライブがあり、本編が終了になり、ステージも緞帳が降りる。

そこから、生誕委員の気持ちのこもったアンコールが会場にこだまし、緞帳が上がると、ライトに照らされたステージにティアラを着けた綾瀬さんがドレス姿で戻ってきていた。

綾瀬さんは口々にファンに向けてこの生誕祭を迎えられたことに感謝を口にされた。
「まいの力だけじゃないできない生誕祭を、生誕委員をはじめ運営さんやゲストさんに用意していただいて特別な日を迎えられて感謝でいっぱい。この感謝を日々のライブで伝えたい」

その感謝の気持ちがファンのお祝いの気持ちを感動的なものに昇華させていた。

そして、
「もっともっと上の景色を一緒に見に行ってほしいのでこれからも、まいたちについてきてほしい」

と力強い抱負をファンに向けて語る。

まだまだがんばるので、みんなも応援してほしい。その素直な気持ちに、これからもついて行こうと思ったファンも多いだろう。
最後に、この場に立っていられるきっかけを作ってくれた運営への感謝の言葉があり、綾瀬さんの各方面への感謝と、これからの意欲も感じられる素敵なセレモニーだった。
ぼくはその空気にのまれながらも、やっぱりパイを広げることのできるアイドルは、上の景色を目指してるんだなと冷静に感心もしていた。
ここじゃないもっと大きな場所へファンと行きたい。
その気持ちが綾瀬さんやSunnyHoneyの活動の力になってるだろうし、ファンもそうやって自分たちが推してるアイドルが新しいファンを増やしていくのが楽しいだろう。
これがいま熊本で一番勢いのあるアイドルの力なんだと感じた。
ラストの曲は、ステージで全曲やっているからなにをやるんだろうと思ったら、やっぱりという感じでデビュー曲の「Sunny Days」のイントロが流れる。

さすが締めはデビュー曲だよなあと思って、ヲタクたちが間奏の準備をしていたらそこで「太陽的な僕のカノジョ。」のイントロが流れ、メドレーだと気づかされるというサプライズがあった。
特別な日だから特別な演出。
それを最後までやってくれた。
そんな仕掛けも凝らされた綾瀬まいさんの生誕祭。

勢いよく登っていくアイドルの勢いを感じさせられ、ファンを増やし続けている綾瀬さんの力も感じられたライブで素晴らしかった。
ただ、このラストのメドレーの間奏で紬ひなたさんが「まいのいちばんになりたいかー!」という煽りを入れていたが、ここもSunnyHoneyの魅力のひとつで、忘れてはいけないなとも感じた。
つまり、「上の景色を見たい」とファンに伝え、実際に熊本のアイドルにしては遠征も多く、地元のファンばかりを見ているのではなく、各地にファンを増やすための活動をしている。
それでも物販やSNSではファンとは友人のような距離感を維持し、熊本アイドルらしい親近感は強い。
この絶妙なバランス感覚がひたすらにお見事なのもこのグループの魅力のひとつなのである。
綾瀬まいさんは去年の11月にSunnyHoneyに加入してようやく1年だそうだ。昨日のライブで100回目のステージだとお祝いされていた。
その100回のステージで、回を重ねるごとに綾瀬さんやSunnyHoneyはどんどんファンを増やした。
2枚のCDを出し、熊本アイドル3グループ合同ツアーを成功させ、東京遠征もやり、キャナルシティでリリイベもやった。それがたった一年で綾瀬さんたちSunnyHoneyがやり遂げたことである。
これからの一年も更に勢いが加速することに期待したいし、これまでの熊本のアイドルが見せたことないようなすごい勢いで一年間をやってこられた自信で、これからもいろいろなことをやられるんだろうなとぼくは感じている。

二年ぶりになった藤崎みくりさんの生誕祭、#みくり26
みくりさん自身が「最後の生誕祭」と言われていたのでやな予感がしていたのだが、最後の曲を涙を拭きながら歌っているのを見てそれは確信に変わった。
そして生誕のセレモニー。
「なんか毎年泣いてるね」と自虐的につぶやいてから、「なんとなく感づいている人もいるかなと思うんですけど、藤崎みくりの活動をいったん終了しようかなと思ってます」と言われた。
アイドルがアイドルを続ける期間は永久ではないのはわかっているけど、やはり寂しいものだ。
とはいえ、「文面で伝えるよりもまずはファンの方にこの場で自分の口から伝えたかった」というみくりさんの気持ちはその場にいた者としてはうれしかったのだが……。

13歳でデビューして今月の12日に26歳になられる藤崎みくりさん。ちょうど人生の半分をアイドル活動に捧げられていたことになる。
彼女の最大の魅力は圧倒的なライブの楽しさである。
みくりさんがデビューした13年前はアイドルというジャンルがレコード大賞を取るほどのブームが起こり、サブカルチャーでもローカルアイドルがブームになっていた。その頃、九州のライブアイドルの沸き文化は宮崎と熊本でガラパコス的に発展していたと思う。
宮崎県出身で、熊本のレジェンドアイドルの大谷菜美さんやEriさんからかわいがられていたみくりさんは、その沸き文化の申し子みたいなステージを見せる子だった。
ぼく自身がみくりさんを初めて見たのも、熊本のヲタクから「最近、V4(注・熊本に当時あったアイドル劇場)で面白いステージを見せてる子が佐賀に来るから見に行って」と言われて見たのがきっかけだった。
これもまたレジェンド的な奇才・西森桃弥さんが手がけた「Sweet Devil」や「デジタルラヴ」、そして当時熊本のAiry☆SENSEもカバーしていた沸き曲を演じるライブは、ライブハウスを眩暈を起こすような非日常的な世界に変える、和服風の衣装もマッチングしてまるでお祭りのようなステージだった。
その後も、特にみくりさんが高校生になった頃は精力的に活動が福岡や熊本で見られるようになった。
カバー曲が中心だったが、誰もが知っているヒット曲を立て続けに演じる「殺人セトリ」と呼ばれるセットリストを武器に、常に会場を熱気であふれさせていた。その殺人セトリの中に、熊本のレジェンドアイドルSENSEの「それな!」も加わっていた。
この頃に、あくまでお遊びだが、くまCanの主催ライブで「ソロシンガー大集合」というイベントがあり、その企画で「アイドル歌うま王決定戦」みたいなのをやっていたことがある。そのイベントでいまやメジャー演歌歌手の堀内春菜さんを下して優勝したこともあった。ちなみにこの日の集計はネット投票と会場投票があって、ネット投票は主催のくまCanに多く入っている印象だったが、会場投票で圧勝していた記憶がある。今確認したら最終結果は、くまCan 46pt 吉田さん 35pt 堀内春菜 47pt 藤崎みくり 61ptと圧勝だった。どれだけ生で見る藤崎みくりさんのステージがすごかったかということだろう。まさに「ライブアイドル」という言葉がぴったりなアイドルだった。
そんな藤崎みくりさんの勢いに圧倒されていたぼくは、その頃、当時運営をされていたひぃかさんに「オリジナル曲を増やすとかCDを出すとかないんですか?」と訊いたことがある。
その時の返答は「いつやめるかわからないからたぶんない」だった。
結局それからでも十年は活動を続けてくれたのだが、ぼくはその割り切りを痛快に感じた。
十代の大事な時期をアイドルに捧げる少女たちは、いまよりも大きいステージを目指すことが普通である。
しかし、藤崎みくり陣営はあえてしなかった。
未来に目を向けるのではなく、会場に足を運んでくれたその日のファンのために常に全力を尽くしてくれたのだ。
ちなみに熊本のとある劇場ではPA機材をだいぶ藤崎みくりさんが持ち込んでいるという話も聞いたことがあった。極端な話、そのリソースをCD制作に注ぐこともできただろう。だけど、あえてそれをしないで、謎に覆面マスクをグッズにしたりする、わざとちょっとずらしたそのスタイルがぼくは大好きだった。
そしてだからこそ、藤崎みくりさんは、いわゆるアイドルの普通を払しょくする秩序を乱すようなステージを見せて熱狂させてくれた。

昨日の生誕祭、二十代を中盤に迎えていても終始、藤崎みくりさんはその往年のパフォーマンスを見せてくれた。
途中でゲストの岡田朱梨。さん、吉川りおさん、そしてサプライズゲストのちかこさんとのコラボもあり、びっくりするような時間も続いた。
藤崎みくりさんのステージの魅力は何度も言っているがそのライブ感で、それはつまり、「ここでこの時間しか感じられない非日常」を与えてくれることだと思う。
CDを出して予定調和的にファンが喜ぶ曲をやる、というわけではなく、なにが起こるかわからない、そしてなにが起こってもここでしか見られないものを全力で演じる。フロアもよく見られていて、MCでいじるのもお手のもの。
その藤崎みくりの活動が終了するとなると今後それもあまり見られなくなるかと考えたら、やっぱり寂しかったが、この空間を非日常に変える殺人セトリを残り少ない時間でたくさんの人に感じてほしいと思う。

ちなみにこの日は生誕祭のあとにアフターのオフ会もあった。
オフ会では「長い期間アイドルしてきたけど、ガチ恋のオタクがつかなかった」とみくりさんは愚痴られていたけど、その真偽はともかく、ぼくとしてはその距離感がある意味、みくりさんの魅力だったのかなとも感じている。
普通のアイドルならば「わたしってかわいい?」とアイドルが訊けば「かわいい」とオタクが応えるのが健全なアイドルとオタクの関係であるが、十代の頃からみくりさんが「かわいい?」と訊けば「どうかな?」と応え「おいおい」とみくりさんが突っ込むようなシニカルな関係性が築かれていた。本人は「かわいい屋さん」になっているつもりで、もちろんオタクもその「かわいい屋さん」から「かわいい」を売ってもらっているのを自覚しているのだが、そこで「かわいい」と言ってしまえば藤崎みくりさんの商品価値が「かわいいだけ」で終わってしまうので、そうじゃない部分も感じたくてそうなってしまっているのだ。かわいいだけでもだめじゃないけれど、かわいいだけのアイドルなんてたくさんいるし、オタクはかわいいにプラスアルファを求めていて、それをみくりさんはぼくらに与えてくれているのである。

そこにはみくりさんの器の大きさや、初期の運営だったひぃかさんの普通ではないアイドルに育てようという計算が生んだのだろうが、いまになってみるとぼくにとってみればその関係性が「ちょうどいい」。
殺人的な化け物のようなステージをやるのに、物販やオフ会ではアイドルを前にしたファンとの交流とはかけ離れた軽口をたたける関係性。
最近の若い女の子はかっこいいだけのイケメン俳優よりも、話も面白いお笑い芸人のほうが理想の男性と思っているという話を聞いたことあるが、おそらく男性にもそういう潜在的ニーズがあり、結果的にそれを藤崎みくりさんはうまくくすぐっていて、それをぼくは「ちょうどいい」と感じていると思う。だから、「ゆるキャラ系アイドル」と言われていたんだと思う。
いまやメジャーシーンのアイドルは「わたしはかわいいでしょ」という自己肯定を歌う曲が流行り、オタクに「かわいい」と言わせたいアイドルが量産されている時代になっている。
もちろんそれが主流になるということはそれだけ、そういうスタイルが支持されているということであり、否定するものではなく楽しめる分は楽しみたいとぼくも思っている。
だけど、そうじゃない「ちょうどいい」秩序を乱すアイドルも楽しめる方が大げさな言い方をすると文化的に豊かだし、そういうアイドルがライブで会いに行ける距離にいてくれたほうがぼくはうれしい。

そして、そんなシニカルな関係でありながらも、社会人になって回数が減ったとはいえ、オタクが悲しいときに歌声を聴かせるために戦ってきた藤崎みくりさん。
残された時間は短いかもしれないが、ぼくはいつまでも心に残していきたい。


 

今年もういたんさいの季節がやってきた。
今年はなんと2DAYSで、二日間もぼくの推しの東雲ういさんが主役のライブが見られるという夢のようなスケジュールだった。

土曜日に開催された「ういたんさい前夜祭」はいわゆる熊本3グループの出演で、SunnyHoneyと熊本Flavorがゲスト。九州北部ツアーやそれ以外のイベントでもいつも一緒に活動しているグループの出演するライブだから、通常のライブとあまり変わらない感じになるんだろうなと予感していたが、冒頭から東雲ういさんのソロでライブがスタートで特別感があった。
ソロの東雲さんはRe:fiveの最新曲「ツインテール似合ってる?」をひとりで歌い上げた。
特にぐっときたのが、きっとそこまで天才東雲ういは計算しつくしていたということにしておくけど、前夜祭の一曲目に歌うには歌詞がピッタリすぎたのだ。

  迷ったり悩んだりする
  そんな時こそ上を向こう
  ついてる私が教えてくれる
  明日の私信じてる
  誰かの真似じゃ意味がない
  自分らしさが一番大事

という歌詞をソロで東雲さんが歌っているのをういたんさい2DAYSの一曲目で聴くと「今日も、そして明日のういたんさいもういちゃんらしく魅せてくれ」とこれから始まる前夜祭、そして明日の東雲さんが演じるういたんさいへの期待が高まってしまった。
そこから普段なら柊わかばさんが「輝く未来へ」と歌うとヲタクたちが「おまえがいちばんわかば!」とコールを入れるところも、ソロだから東雲さんが歌い「おまえがいちばんういちゃん」とコールも入って生誕祭らしい雰囲気に。
この特別感、ついに今年もういたんさいが始まった! とぼくはすでに興奮を抑えきれなかった。

そこからゲストのステージが始まる。
いつも見ているおなじみの熊本FlavorとSunnyHoneyのステージなのだけど、前夜祭からMCで「ういちゃんおめでとう」と言ってくれていて、「あー、これがういたんさいだよ」と顔がほころんだ。
特にういたんさい当日は熊本で自身の生誕祭を控えているSunnyHoneyの花宮かのかさんが、SunnyHoneyの中でもリーダーだから率先して「ういちゃんおめでとう!」と言ってくれているのは心に響いた。

ゲストのステージが終わるといよいよRe:fiveのステージが始まる。
一曲目は、橘かえでさんから受け継いだRe:fiveの自称リーダーの見せ場がある曲「オトナと僕の。」だった。
ういたんさい2024で柊わかばさんから「過去最高」と絶賛され、東雲推し界隈では2024年のベストパフォーマンスにこのういたんさい2024の「オトナと僕の。」を上げる人も多いこの曲をいきなり一曲目に持ってくる。
おいしいものを最初に食べようというこの選曲がもう東雲さんらしくてたまらなかった。
2曲目は生誕祭恒例の「St…you!」。気持ちよくヲタクたちが「ういちゃんだけ愛しています」と叫んでいたら、東雲さんが歌詞を変えて「ここにいるみんな大好き」と歌ってくれて、さすが! やってくれたな! とうれしかった。
ソロでも歌った「ツインテール似合ってる?」が三曲目。二番が初見殺しのこの曲だけど、調教されたヲタクたちはその二番も難なくこなし、ここではソロのときとは違いちゃんと「おまえがいちばんわかばーっ」と、ういちゃんういちゃん言ってたヲタクたちも叫ぶ。メンバー同士が仲がいいのがファンにも伝わっているから、ファンだって、自分の推しに関係なく他の推しも応援する。そんなRe:five現場らしいコールに鳥肌が立った。
そのコールを力に変えてくれたのか、ラストはいままで見たことないほどのハイテンションになっていた柊わかばさんが紹介してくれた「なんてんまんてん」。
天草ではMONECCO5からキラーチューンだったこの曲を、それを受け継いだRe:fiveがテンション高く演じる。楽しくないわけがない。フロアは興奮のるつぼと化した。
その興奮が残ったステージに最後に現れたのは、翌日にういたんさいを控えている東雲さんと、熊本で自身の生誕祭を控えている花宮かのかさんだった。
事前に「ういかのか」としてクレジットされていたユニットで「霖雨のファンタジア」を歌う。
熊本3グループは現在、研究生も含めると3グループで15人近くいる。その15人の誕生日も均等にあるわけではなく、やはり偏ることも多い。そうなるといつも活動している3グループでも別々の場所で同じ日に生誕祭をやることは今後もあるだろう。どちらも応援しているファンにとっては複雑なのは間違いない。
だけどそうなっても、3グループの熊本アイドルには絆があり、それを感じさせてくれるステージだった。

ういたんさい前夜祭が終わった時点で、ぼくには推しの生誕後でしか感じられない満足感がすでにあった。
ファンが東雲さんを祝福し、ゲストのアイドルさんが祝福し、そしてなによりRe:fiveのメンバーが祝福する。
それを受けて、しあわせな笑顔を見せる東雲さんが前夜祭ですでに見られた。
この日のぼくにはその表情を見られたことの幸福感が溢れていた。
でも2DAYS、明日もあるのだ。

日曜日、ういたんさい当日。
スタジオ5は、東雲推しの仲間たちがバルーンスタンドを置いたり、ステージに横断幕の飾りつけをしたりと忙しく動き回っていた。
前夜祭の満足感もまだ残っていたが、やっぱり本祭前のわくわく感が胸を鳴らし、期待が高まる。
まず驚いたのが入場者である。
開場時、ぼくは事前に仲間が仕込んでくれたボードとハチマキを入口で配っていたのだが、その列が途切れない。去年は同じようにサイリウムを配ったけれど、去年よりも明らかに人が多かった。
ういたんさい2024でもすごいなと思ったのに、それ以上に人が集まっている。
もうそれだけでうれしくてしかたなかった。
今年は、プライベートでなぬきはなの先生とメジャーアイドルの福岡のイベントにお客として出かけていた東雲さんが、同じようにお客としてプライベートでそのイベントに参加していたみなみぶちょーとニアミスをして、その縁でみなみぶちょーがかつてのMONECCO5のように生誕祭で東雲さんのヘアメイクをすることになったというエピソードがあったので、Tシャツのキャッチコピーは「OTAKU is my life」となり、なぬき先生が書いてくださったTシャツのイラストの東雲さんのテーマもオタクになっていた。そのイラストのオタク東雲がハチマキを巻いていたので、生誕委員もハチマキを準備し、ファンやアイドルに配布した。
開演直前のフロアを見渡すと、そのハチマキを巻いてくださっているファンの方が意外に多くてすでにぼくは感動していた。
入場時には昨年は主役からの来場者プレゼントとして「しののめガチャ」が準備されていたが、今年は特賞1本ありの「しののめくじ」があった。特賞は当たらなかったが、こういう気遣いもいよいよ生誕祭が始まるなと感じさせてくれる。
ステージも前夜祭から一転、生誕祭らしく横断幕やのぼり、風船で派手に飾られている。
客電が落ち、Overtureが流れるとヲタクたちはそのメロディに乗せてハミングする。
ステージにメンバーが並ぶと、東雲推しのヲタクが普段でも「ういちゃんがいちばんかわいいよ」と叫ぶ場面だがこの日は生誕祭。そのOvertureの段階でファンの人たちは、まるでサッカー選手の入場のときのように「東雲かわいいよ」と書かれたボードをステージに向けて掲げていた。その一体感だけでぼくは感動で震えてしまった。
ステージに登場したRe:fiveは、すでに東雲さんは生誕ドレスを着ていて、Re:fiveはレアな白衣装(この日白鳥ひなさんはこの衣装が初披露だったらしい)を着ていた。
それからRe:fiveの名刺代わりの一曲「君とRestart」でステージが開演。
「OTAKU is my life」のきっかけの話に戻るが、メイクは女性の武器である。武器は持っている方が安心できるものだ。あまり持ったことはないけどイメージ的に。そして、MONECCO5でみなみぶちょーがメイクをしていた頃から感じていたが、みなみぶちょーからその武器を預かると、まるでピストルを持ったヲタクのように(いや持ったことはないけどイメージ的に)、アイドルの表情に自信が現れるようにぼくは感じていた。そしてこの日、みなみぶちょーにヘアメイクされた東雲さんは、自信にあふれている表情をしていた。
その東雲さんを更に輝かせようと献身的にステージを盛り上げる柊わかばさん、空豆かれんさん、白鳥ひなさん。誰かのために人は生きてるわけで、誰かのために力を注いでくれる姿は美しい。
生誕祭でしか見られない素晴らしいRe:fiveがそこには広がっていた。
その勢いのまま「ツインテール似合ってる?」、そしてこれも生誕の定番曲で「ういが好きーっ」と叫びまくれる「This summer」と来て、一部最後の曲は前夜祭の一曲目でもやった「オトナと僕の。」だった。
ぼくは当然のように「君とRestart」で気持ちは最高潮にテンションマックスになっていたが、東雲さんはそのマックスな気持ちを叫びたいヲタク心を、やはり「OTAKU is my life」なのでわかってくれている。前日にやったのにこの日も「オトナと僕の。」をやってくれて、声がガラガラになるほど叫ばしてもらった。もうこの時点で最高だった。

Re:fiveの一部が終わると、ゲストの煌~KIRA~の登場になる。
煌~KIRA~とRe:fiveといえば、今年の五月の小倉チャチャタウンの無銭ライブ。
Re:fiveが好きと公言しているメンバーもいる煌~KIRA~は、このチャチャタウンのライブでヲタクを圧倒するほどRe:fiveで沸いてくれた。
そのメンバーたちがステージに並ぶ。ライブで沸くほどRe:fiveを応援してくれているアイドルなのだが、お祝いの気持ちも本当に素直な感じでまったくビジネス感がなく、好感しかなかった。

その時点ではぼくは「ういちゃんのお祝いに来てくれてありがとう」という気分だったが、曲が始まるとこの日が煌~KIRA~として最後になる曲などもあって、寂しさもあり、思わぬ曲をやってくれた意外性もあり、更にはやはりこのグループの醍醐味のアクロバットにも目を丸くする素敵なステージだった。
MCで「ういちゃんおめでとう」と言ってくれて、あ、主役は東雲かと気づくほど、ステージに夢中になった。

煌~KIRA~の洗練されたポップな曲とダンスに魅了された後は、OvertureもなしにRe:fiveが登場。東雲さんはこのときも生誕ドレスだったが、ちょっと衣装が進化していてお姫様感がアップしていた。メンバーは白衣装から一転、生誕Tシャツに着替えてくれていた。
「Avalon」のイントロが流れ、激しいダンスが始まる。
「Avalon」のあとはこれまでやったことがない系統のカバー曲だった。マイクスタンドを用意していて、そのスタンドを東雲さんが「はしごちゃん」と名付けている小芝居も楽しかった。
このカバー曲をきっかけにステージは怒涛の「この日しか見られないスペシャルな時間」に変わる。
Re:fiveとして一回ハケた後に東雲さんだけがステージに上がり、東雲さんの「りおさん、とみんなで呼びましょう」のきっかけで、アイドル時代は天草の至宝と呼ばれた現在ラジオパーソナリティー等で活躍中のタレント、吉川りおが登場する。しかも額には生誕委員が配布したハチマキが巻かれている。
前夜祭からMCとして出演していたけど、この日はアイドル時代のように歌もダンスもしてくれるとのこと。
吉川さんが「毎年ういたんさいでしかみなさんの前で歌やダンスを踊らない」とおっしゃっていたけれど、やはり天草の至宝とかつて呼ばれたすごさはあった。
一曲、吉川さんと東雲さんのふたりで踊ったあとは、吉川さんに加えて、Re:fiveと、それからなんと、ひぜんりささんまで加わってのコラボ。
圧巻のステージはこれを見るためだけでもチケット代の元が取れるほど豪華だった。
そしてコラボステージラストは、東雲さんと煌~KIRA~による「朝からカツカレー」。5月の小倉で煌~KIRA~のメンバーがヲタクたちを圧倒してRe:fiveを応援してくれていたときに、ステージで演じられていた曲だ。それを見せる側として演じる煌~KIRA~の額にも、フロアのファンと同じようにハチマキが巻かれていた。そこにうれしく混ざっている東雲さんもほほえましかった。

コラボステージが終わる。
東雲さんが考えたタイムテーブルのトリは佐賀からやってきたひぜんりささんだった。
アイドルらしいかわいらしい衣装に、アイドル離れした卓越した歌唱力、そして額には当たり前のようにハチマキを巻いてくれての登場。
フロアでは佐賀から遠征してくれているヲタクさんと東雲推しが混ざり、いわゆるりさちワールドの空気にスタジオ5が包まれる。
歌詞に「ういちゃん」をアドリブで入れてくれたり、MCで何度も「おめでとう」と言ってくれたり、「Re:fiveはもっともっと伸びるグループ」と言ってくれたりと、生誕祭の主役の東雲さんのために素晴らしいステージを見せてくれた。
こんな素敵なアイドルが東雲さんを応援するために歌い、会場を盛り上げてくれている。
東雲推しのひとりのヲタクとして、感動的なステージだった。
ひぜんりささんは最初の頃はぼくは「ひぜんワールド」と言っていて、それから「りさちワールド」と呼ばれるようになったけど、完全にこの人にしか出せない自分の世界を演じるアイドルである。それはまるで、Re:fiveの新曲「ツインテール似合ってる?」の

  誰かの真似じゃ意味がない
  自分らしさが一番大事

を体現しているアイドルのように思う。
推しとしてぼくも東雲さんに唯一無二のアイドルになってほしいと思っている。
そのお手本として、唯一無二のひぜんりささんが、東雲さんをお祝いするためにステージをやってくれて嬉しかった。

「これにてういたんさい2025は終了します」というひぜんりささんの茶番によって本編が終了し、生誕委員によるアンコール。
ひぜんさんが言ってくれた「Re:fiveはもっともっと伸びるグループ」という言葉を引用して、「Re:fiveにも東雲さんにももっともっと活躍してほしい」という気持ちをこめたアンコールから、生誕ソロ曲を歌ってセレモニー。
東雲さんは「16歳はがんばっても、思ったようにうまくいかないことのほうが多かった」とファンに本音を話し、それでも支えてくれるファンに対し感謝の言葉を述べてくれた。
ただ、今年の生誕祭、フロアのテンションが高かったこともあって、終始お祝いムードのほうが強く、あの空豆かれんすら泣かないほど楽しさのほうが前面に出ていた。
演者として、自分が感情に負けて泣くよりもステージを見てるファンを楽しませたいという意識の変化もあったように見えた。
そのため、あまりステージのメンバーやファンが涙を流す場面はほぼなかったのだが、それを崩したのは橘かえでの手紙だった。
自称リーダーのバトンを東雲さんに渡した先輩としての熱いエールは、思わずぼくの涙腺を危うくしかけたほどの素敵なものだった。
本当のラストはその橘かえでさんと縁の深い「ダンデライオン」
もうメンバーにもフロアのヲタクにも涙はなく、ただこの楽しいういたんさいが終わる名残惜しさと、それでも楽しまなきゃ損という気持ちの高ぶりの混じった時間だった。
東雲ういさんは明日、9月30日に17歳になる。
いまぼくが一番推しているアイドルだ。
推しの生誕祭はやっぱり特別で夢の時間だった。
推してるヲタクから見ると東雲さんらしさもある素敵なアイドルだ。そして生誕祭のたびにその良さが広がっているのを感じられて幸せな気分になっている。
だけど、やっぱり東雲さんも人間だから迷ったり悩んだりされているだろう。
でもそんなときこそ、「ツインテール似合ってる?」のように上を向いて、アイドルを続けてくれているんだと思う。
来年のういたんさい2026、東雲さんはもっともっと東雲さんらしいアイドルになっているだろうと、今回の生誕祭で感じた。
そんな東雲さんを来年、ういたんさい2026でまたたくさんの人と一緒にお祝いしましょう!