6月の長崎からスタートした熊本アイドル3グループ合同九州北部ツアー。7月に大分で鶏天を食べて旅行気分を味わっていたら、8月10日に天草、そして8月17日に佐賀とあっという間に折り返し地点を過ぎてしまった。
6月、7月と各グループはこのツアーを照準に仕上げてきているなという感じがあったが、8月10日の天草に関しては、Re:fiveにとっては聖地studio5なのでここで新曲初披露をぶつけてきていたとはいえ、どちらかというとゲストが煌ということもあって、たしかにツアーだったのだろうが、いつものホーム感のあるイベントという感じだった。もちろんこれはこれで楽しかったけど。
それからちょうど一週間で迎えた佐賀。
場所はいつもの656広場。SunnyHoneyに関しては8月14日にもここでステージを行ったばかりの場所だ。
気温が体温を越えるほどの猛暑の屋外イベントなので、長崎や大分ほどの緊張感のあるステージではなく、天草のようなどちらかというと楽しい空気のイベントになりそうな予感だった。
とはいえ、佐賀在住で主現場が熊本であるぼくにとっては、熊本のアイドルが主催ライブを佐賀でやるということは感慨深いことだった。ちょうど今年はあおたいPによって、熊本でサガンプロの主催ライブも行われた年だったこともあり、記念すべき一年だなと感じた。
十年ほどぼくは熊本のアイドルを追っかけて佐賀から通っているが、佐賀と熊本はアイドル文化的に交流はこれまでも多かった方だと思う。それはあおたいさんのように熊本の方が佐賀を主現場にされていることもあれば、ぼくのように佐賀に住んでいながら熊本が主現場という人もいる。
個人的な感想ではこの十年間、佐賀のアイドルを熊本はリスペクトし、熊本のヲタクの沸き文化を佐賀はリスペクトしていたように思う。
そのようにお互いをリスペクトしあえる関係だったからこそ、このふたつの地域の交流はうまくいっていたのだと思う。
開演直前、656広場は屋外ステージなので袖でスタンバイしているアイドルがどうしても目に入ってしまうが、そこにいたのは熊本Flavorの日向みさきさん、こはるさん、のぞみさんの中学二年生トリオだった。
タイムテーブルにはオープニングと書いてあるが、どのグループが出演するかは書かれていない。
このオープニングは、長崎と大分でSunnyHoney、天草ではRe:fiveが受け持っていたが、ここで熊本Flavorが登場したのは、この中学二年生トリオにとって大きなチャレンジだったと思う。実際、その初々しさがFlavorのかわいらしい世界観とマッチしているオープニングだった。曲も「シエスタ」とかわいく攻めていたのもこのオープニングの初々しさを表現するのにぴったりだったと思う。
この日はトリも熊本Flavorだった。ここは初々しさに加え、かっこいい表情も見せてくれた。
感じたのは日向みさきさんの歌唱力と存在感、そしてその陰に隠れずに終始笑顔を振りまいていたこはるさん、のぞみさんの成長だった。ラストの曲「コイマチ」ではこのこはるさん、のぞみさんが歌うパートもあり、もちろんそれ以外ではほぼソロステージのように歌いまくっていた日向みさきさんもすごいのだが、それに押しつぶされずに、ファンの視線を集めていたこはるさん、のぞみさん。
水無月さんと聖さんが休演でそれはそれで残念だったが、いなくてもしっかり熊本Flavorらしく楽しませてくれたこの中学二年生トリオは素晴らしかった。
三日前にもくむつライブに出演していたSunnyHoneyは、熊本Flavorの初々しさとは逆に、手慣れた感じのステージだった。
これにはメンバーのもくむつライブに出たばかりという余裕もあっただろう。だけど、それ以上に感じたのは、ずっと佐賀が憧れ続けていた熊本の沸き文化を支えてきたヲタクがSunnyHoneyのステージでは爆発するからだということも感じられた。
そのヲタクたちを加速づける紬ひなたさんのあおりも絶好調だったうえに、ぼくはこの日初めて聞いたのだが、「太陽的な僕のカノジョ。」ではメンバーがイントロでミックスを先導するように「しゃーいくぞー」とあおる場面もあった。
そうやっていつもいるヲタクが盛り上がってくれることで、たとえツアーといういつもと違うステージでも、いつもと同じように手慣れたステージができる。それこそが佐賀が憧れた熊本の沸き文化の素敵な形であり、それがあったからこそいつも通りの手慣れた感じでSunnyHoneyはステージをこなしていた。
久々に珍しいフリフリセーラーで登場したRe:fiveは、佐賀で人気の「Avalon」に新曲の「ツインテール似合ってる?」を遠征初披露ということで気合が入っていた。なにげに緊張感あるツアーらしいステージをやっていた印象だった。
特に「ツインテール似合ってる?」の曲振りを白鳥ひなさんがするのは盛り上がった。4月のあおたいPの熊本主催で、まざまざとサガンプロや園田有由美さんのすごさを見せつけられたRe:fiveは、これまでの熊本のアイドルやヲタクがそうだったように、園田有由美さんやひぜんりささんをリスペクトしている。そのリスペクトしているアイドルのホームステージで主催ライブができるのだから、いいものを見せたい。その気合いがセットリストはもちろん、久々の衣装、そしてなにより激しいパフォーマンスから伝わった。
いつかはサガンプロのアイドルのようにパフォーマンスで評価されたい。そんな気持ちが見えるステージだった。
佐賀アイドルのステージはまずは、りゅらちーさんからスタート。
弱冠小学四年生でカバー曲中心のステージだったが、ギャルっぽいキャラクターでMCをこなしてて、個性を見せていたのにタダモノじゃないなと感じた。
りゅらちーさんはそのあとのひぜんさんや園田さんのステージのときにフロアに降りてきてヲタクに混じっていた姿も好感が持てた。
いまやもくむつライブのマスターとして佐賀のアイドルシーンを引っ張っているひぜんりささんは、猛暑の屋外でもお姫様のドレスのような衣装をキメて登場。さすがである。
一曲目は8周年ライブで披露されたという新曲からスタート。「セカイノシンパシー」が最新曲だと思っていたのでどんどん新曲が増えてるなあとそこで勢いを感じた。
そして「セカイノシンパシー」もそうだけど、最近、かっこいい曲が増えたのがステージの幅を広くしているように感じた。
カラフルな眩しい衣装にこの日のようなドレススタイルだと、かわいい世界を見せたいように見えるのだが、かっこいい曲をやってしまう。その奥の深さがひぜんりささんの最近のステージの魅力ではないかと感じた。奥深く演じきれているのが、さすがひぜんりささんなのである。
さすがと言えばこの日もさすがだったのが園田有由美さん。
熊本はやはり沸き文化ということで、一曲目から沸き曲の定番カバー曲でフロアを盛り上げる。
「熊本のヲタク、やっぱりすごいわ」と言ってしまうあんたがすごいわと思うが、四曲のセットリストでどれもこれも熊本のヲタクが喜ぶ曲を用意していた。
最後の「君に届け」では舞台袖で見ているRe:fiveに「熊本ありがとう!」と言いながら手を伸ばす仕草も、佐賀のアイドルをリスペクトしている熊本への感謝が見える素敵なシーンだった。
佐賀がリスペクトしている熊本のヲタクの沸き文化を最高潮に高まらせる見事なステージは、まさに圧巻。熊本のヲタクと佐賀のアイドルの頂上対決の熱気はすさまじかった。
佐賀のアイドルシーンの頂点に君臨しているアイドルに、熊本のヲタク文化を引っ張ってきたヲタク。
それらが佐賀の現場で熊本の主催でぶつかりあう。
そこにあるのはお互いをリスペクトし、憧れながらも追いつけ追い越せと目標にする素敵な関係性だった。
ライブ後の物販交流会では、これまでのツアーよりも、熊本のヲタクが佐賀のアイドルに並び、佐賀のヲタクさんが熊本のアイドルと交流する姿もよく見られたように感じた。
この素敵な関係性はこれからも続いてほしいと、佐賀在住主現場熊本のヲタクとしては勝手に思った。そのぐらい素敵な関係なのは事実だ。