ギリシャ人と中国人 | イタリアデザインの深読み 竹下彬史

イタリアデザインの深読み 竹下彬史

海外進出を目指す方々は必見です!
イタリアデザインを中心に、イタリアの文化、歴史に触れていきます。
そこから見える今日の日本のデザイン、デザインにおける日本とイタリアの関係も解説していきます。


前回の漢字とアルファベットに関して述べました。言語は道具です。道具にはそれぞれ特徴があります。道具が異なれば、それぞれに出来る事、出来ない事が出てきます。
例えばヨーロッパのナイフと日本の包丁を比べてみても分かると思いますが、どちらも「切る」事に関しては同じ目的を果たしますが、何が切れるかは大きく異なります。洋包丁では肉や果物を切りやすいサイズと形ですが、刺身を均質には切れません。やはりお刺身を切るには和包丁の持つ厚みと切れ味が必要になってきます。道具には得意不得意が必ず発生しますし、どちらが優れているというのはありません。


漢字は絵としての性質を持っているのに対し、アルファベットは記号です。

以下の文字を見て下さい。見慣れない人はいったい何が書かれているのか分かりにくいと思います。



:-) :-( :-o :D ‘-)




これを日本人が表すとこうなります。




(^^) (-_-) (~o~) (^0^) (^o<)




もうお分かりだともいます。
前者は西洋人がよく使う顔文字に対して、後者は日本人が使う顔文字です。
ここからも西洋人の使う顔文字は絵というよりは記号ですね。日本人の使う顔文字ははなんとかして顔に見せようという意識が感じられます。
まさに私たちにとって文字は絵なんです。

西洋人は日本が使う様な絵文字は使いません。

またコミュニケーションの際、西洋人はスカイプや電話で直接的なコミュケーションを好むのに対し、アジア人はもっぱらメールです。
ヨーロッパ圏では微妙なニュアンスを文字のみで伝えるのに向いてないため、言語でのコミュニケーションを少し大げさなリアクションと共に頻繁に行います。これらも言語の性質上しかたないことなのです。



今回は具体的に古代ギリシャ人と中国人の環境の違いから生まれた差異を見てきます。

現在世界で10億人を超える人々が、古代ギリシャの知的財産を受け継ぎ、20億人を超える人々が古代中国の思想的伝統を受け継いでいると言われています。

当時、ギリシャ以外の国々は独裁社会であり、王の意思により人々の生活が左右されていました。一方で、古代ギリシャでは民主主義が生まれました。彼らは様々な規制から解き放たれた自由な人生を送り、自分の人生を自分の選択したままに生きることが彼らにとっての幸福でありました。ここから個人主義という概念が生まれたとされています。
また、当時最先端の思想である民主主義は一般市民が王に討論を挑む事さえ可能だったそうです。ここからディベートの伝統が始まり、合理的な議論でお互いを説得する必然性が生まれました。アメリカやヨーロッパ圏は討論の文化です。言葉が大きな力を持ち、議論の優劣は話し手の能力に大きく左右されます。
相手をどのように言語で説得するかに力が注がれました。

一方古代中国では、ギリシャの個人主義に対して調和の概念が生まれました。
中国人は個人というよりもまず、彼らの民族や村仲間、家族といった「集合体の一員」でした。彼らの理想の幸福は、調和のとれた人間関係の中で満ち足りた田舎の生活を送る事であり、組織やシステムに従って定められた役割を担う事が彼らの日常の本質でした。ギリシャ人が交響曲を生み出し、中国人が単旋律の音楽を好んだのも一体感根の関心を反映していると言えます。

また地理的要因もそれぞれの思考に大きく影響しています。

次回はギリシャ人と中国人の地理的の違いを見ていきます。


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