漢字とアルファベット | イタリアデザインの深読み 竹下彬史

イタリアデザインの深読み 竹下彬史

海外進出を目指す方々は必見です!
イタリアデザインを中心に、イタリアの文化、歴史に触れていきます。
そこから見える今日の日本のデザイン、デザインにおける日本とイタリアの関係も解説していきます。

前々回のブログで英語、イタリア語、日本語の性質で言語はその国の人柄をあらわすと触れましたが、今回は大きく漢字文化とアルファベットの文化との違いについて書きます。

漢字は表語文字、アルファベットは表音文字に分類されます。前者は象形文字に起源を持ち、後者は楔形文字に起源があると言われます。漢字の日本伝来は270~310頃 百済から到来し、それ以前は神代文字が使われていたそうです。

漢字の成り立ちを外人に教えてあげると喜びます。例えば 「木」の成り立ちを教えた後に、「森」を教えます。「木」がいっぱいあるから「森」になってちょっと少ない所は「林」って書くんだよっていうともうイチコロ♡です。あとは「山」「川」「人」とかもいいですね~。

このように漢字は一つの文字自体に意味があり、また別の意味を持つ文字を組み合わせてより複雑な文字を作っていきます。「山」という漢字は山の稜線をイメージさせ、「川」という文字は川のせせらぎを表現していると小学校の頃習った記憶があると思います。つまり「環境」から抽出された絵としての機能を持っていると言えます。絵を描く才能のある人が尊ばれるように、漢字圏では字を綺麗に書く人が尊ばれます。

対してアルファベットは一つ一つの文字に意味は持ちません、それらを配列して初めて意味を持ちます。記号として扱われ、文法というシステムに従い文章を構築します。漢字に比べ機械的です。コンピューターのプログラミングに近いと言えるのではないでしょうか。
ブログラミングに漢字でなくアルファベットが使用されるのも二進法計算に適応しやすいとか、処理能力が早いとか言う理由で使用されているそうです。(この前ミラノに来た叔父(元プログラマー)が言っていました。)
また、イタリア人を見ていてあまり字の綺麗な人を見ません。西洋人は、字の持つ美しさにあまり興味が無いように思えます。それもやはり、文字を絵として考える東洋文化と、文字をあくまでも記号としてとらえる西洋文化との違いにあるのではないでしょうか。

漢字とアルファベットという言語という道具の違いからも西洋人と東洋人の思考の差が生じます。道具が異なれば自ずと生み出されるものも異なりますし、また得意不得意も出てきます。

例えば英語は、英語、イタリア語、日本語の性質でも述べたように、文頭がどの単語で始まるかで、文の趣旨が伝わりやすい言語であるため、テンポの早い会話が可能で、会話やディスカッションをする上で都合の良い言語であるといえます。つまり、会話によってより効果を発揮します。

一方で漢字は、どの漢字を使用するかでニュアンス違いを表現する事が可能です。例えば「思う」「想う」どちらの漢字を使うかで、微妙な変化を出す事が可能です。前者は自分の頭で考える一人称的な意味を持つのに対し、後者は
第二者以上の存在を感じ取る事が出来ます。英語だとどちらも「think」ですね。
つまり書く事でより効果を発揮する言語だと言えます。
漢文や俳句にもいえるように、読み手によって色んな意味を想像させることが出来るのも漢字の特徴ですね。

次は何故そうなったかを見ていきましょう。




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