厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を理解する/飲食店の分類(業種・業態)-11
飲食店における客席や客室、あるいはイスやテーブルそのものの快適性については、ゲストにとって大変重要な要素となる。いくらデザイン的に良いイスであっても、しばらく座っているとお尻が痛くなり長く座っていられないとか、背もたれにデザインを施しているために、後ろによりかかると背筋が痛くてゆっくりとくつろげないなど、店によってはあまり感心できないイスやテーブルを使用している店があるのです。
飲食店のイスやテーブルは、ゲストが食事をする際の直接的な機能としての役割を担うことになり、ゲストにとっては、ゆっくりとくつろげる快適なものでなければならない。ましてやデザインを先行したあまりに座りにくいなどの不愉快な思いをさせてしまっては何にもならないことになる。大切なことはゲストにとって、そのイスやテーブルは使いやすいものであるのか、大きさや形は適当であるのかを十分に検討しておくことです。
② 化粧室その他の付帯施設
一般的にゲストが利用する客席、あるいは客席以外の付帯施設としては、電話室、待ち席、化粧室、クロークなどの設備があるが、飲食店において特に留意しておきたい付帯設備は、化粧室であり、特に女性客を対象として満足できる内容にしておくことです。
よく化粧室を男女兼用にしている店(今日では比較的少なくなりつつある)や化粧室そのものの部屋が狭く使いづらいなど、特に女性客に不愉快な思いをさせていることがあります。
また飲食店の経営や営業状態を把握する特に、その店の化粧室を見てみれば、すぐにその内容が分かるといわれているように、化粧室の内容で店の善し悪しが決まる。ましてや、狭いとか使いづらいなどは、たとえその店の料理やサービスがよくても、また再びその店に足を運ばないのが常であろうし、飲食店にとっては、意外と大きな意味をもつところでとくに店づくりに際しては留意してきたいところでしょう
③ 厨房
飲食店において厨房とは、大変重要な要素でありその機能の善し悪しで、そこで提供される料理の早さや質が決まるといわれています。よく厨房やそこで使用する調理器具などを安易に考えて、店の店舗計画の最終になってやっとキッチンの計画の選定をするといった経営者が実に多い。これではいくらよい店づくりを志しても、後々キッチンの配置が悪く商品がすぐに提供できないとか、動きづらいなどのトラブルとなり、思わぬ不満をゲストに与えることになる。このようにならないためには、キッチンの重要性を十分に認識して飲食店の店づくりに際しては、まず始めにキッチンを計画するように覚えておくことでしょう。
④ 倉庫・従業員の休憩室
倉庫や従業員の休憩室は、厨房の補助機能としての役割を担っているといえます。しかしよく飲食店の店づくりの計画では真っ先に店の隅に追いやられて、いつの間にかわずかなスペースをかろうじて残すという本来の飲食店の店づくりを考えた場合には、非常に不可思議な計画をされる箇所であり、現実に一般的な飲食店の倉庫や従業員の休憩室ないに等しいでしょう。
これでは、いくら良い内装デザインや客席で料理を提供しても、その料理を作る厨房の補助的機能や施設がしっかりしていなければ、ろくな料理が提供されないばかりか、そこで働く従業員もやがてその現状に嫌気がさし働く士気も殺がれることになる。飲食店の店づくりを計画する上でどのポイントが重要であるのかということを十分に認識して店舗計画に臨むことが大切なのです。
ここで大切なことは、自店はどのような業種・業態のどのポジショニングで戦うのか、あるいはどのような商品をもってゲストにおもてなしをするのかなど、その内容を十分に検討してから店づくりの計画に臨むことです。
つまり飲食店の店づくりを成功させる近道は、いかに時流を捉えて生活者の動向を知り、さらに店は誰のためにあるのかなど、その要諦をつかむことによって将来への布石を打つことなのです。
① 飲食空間(客席・客室)