厨房設計の専門家としての知識力を上げる-3 | 厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を学ぶ/竹谷経営塾。ティファーズコンサルティング

厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を学ぶ/竹谷経営塾。ティファーズコンサルティング

厨房設計/飲食店開業繁盛づくりを目指す人へのアドバイスをするブログ、飲食店コンサルタント「ティファーズコンサルティングの竹谷稔宏。その他厨房会社設計部門など飲食店の心臓部である飲食店の厨房設計について解りやすく解説する講座です。

厨房設計/飲食店のテーブルサービスの基礎知識と理論を理解する
■サービスセクションの機能と役割
サービスセクションは俗に「パントリー」といわれることも多く、飲食店の機能としては客席とキッチンエリアの間に位置し、相互の作業関係をスムーズに繋ぐ役割をするための重要な部分でもある。
またこのセクションの機能の如何では料理の遅延や客席へのサービスの沈滞を招くことも多く、ほとんどの飲食店の場合には業種・業態に関係なく、その機能の役割を果たしているスペースが存在することを理解しておくことである。
さらにパントリー機能の例としては、飲食店に来店するゲストへのサービスの起点であり、歓迎の挨拶やメニュー、おしぼり、水類などの最初のサービスを行うための設備が集中していることがほとんどであろう。
勿論業種・業態やコンセプトに合わせてその機能や設備内容は変化してくるものの、パントリーのスペースや設備内容はそこでのサービスに合わせて厨房機器配置計画されることが常であることを理解しておかなければならない。
しかし飲食店のサービスの起点とは、パントリーやキャッシャーを担当するスタッフのいずれかが、水、おしぼり、メニューなどを持ち、ゲストを客席へ誘導するという仕組みをとることがほとんどであり、勿論低価格の居酒屋や焼鳥屋など酒類と食事を主に扱う場合では(水などのサービスはないことが多く)、最初にゲストから注文を受けるメニューはドリンク類(酒)がほとんどであろう。
つまりパントリーの位置関係も客席とキッチンの間に配置されることが常であるにしても、そこでのサービススタッフの人員を効率的に配置するためには、レジ、パントリー、キッチンとの相互の関係を繋ぐための中間ポイントに配置することが理想的であり、繁忙時、アイドルに関わらず少ない人数でオペレーションができることが重要なポイントであることを忘れてはならない。
よく飲食店には業種・業態によってパントリーがなく(ディッシュアップに料理が出来上がっているにも関わらず)、料理を出せないという現実を目にすることもしばしばであり、繁忙時にスタッフが右往左往していることもあるなど、この煩雑さの原因は、パントリー機能がなく客席への料理のサービスがスムーズに行えないために料理が沈滞してしまうということを理解しておくことである。
またこの逆にキッチンが小さく繁忙時に客席数に対応できるキッチン設備や能力が不足しているために、料理がなかなか提供できないという飲食店も多々あり、なかなか経営効率が上がらない店も多々あることを忘れてはならない。
つまり平面計画を進める上での重要なポイントはダイニングだけではなくキッチンエリアと関わるセクションが多く、それぞれの相互関係を理解しそれぞれの施設が有機的且つ効率的に機能することが大切であることである。飲食店の計画に臨むにあたっては、少なくとも最低限の全体施設の役割や機能を理解しておくことがよりよい厨房計画を進めるための手順であることを忘れてはならない。

飲食店(ファミリーレストラン)のスタッフの役割と厨房計画の関係性を知る
次にキッチンスタッフの役割を説明していこう。
■ティッシュアップ/クッキング(図-3、4、5)
シェフ/料理長
シェフの役割は、客席から入ってくる注文を整理するとともに、繁忙時に際しても料理提供を遅延なく円滑にオペレーションすることである。
いわば厨房を円滑に稼働させるための重要なポイントを担っているばかりか、シェフの力量によっても全体のオペレーションがうまく機能しないという重要性を持っていることだ。
またシェフの役割は、ただ単に厨房に伝えられた注文を提供しているのではなく、同じグループの客の注文は、同じタイミングで提供するというコントロールをしなければならないことである。
厨房計画を進める際に必要な情報は、そのレストランで主軸になるメニューあるいはよく注文が多い料理内容に合わせて厨房機器や機器選定をすることであり、またそこで調理スタッフはどのような調理オペレーションをするのかなど具体的に理解しておかなければならない。
これまでは、レストランであれば、メニュー資料や調理オペレーションの具体的内容をデータとして集積せずに、厨房計画を進めてしまうといういわゆる厨房機器を並べるという手法が常であることである。前述しているように、この厨房計画の進め方は本来の厨房設計の手法ではないことを自覚しなければならない。
つまりクッキングエリアで働くスタッフの人員や各スタッフの役割やオペレーションを十分に理解し、種々なメニュー資料やデータ想定に適合した厨房計画に臨むことこそ、理想的な厨房計画を進める手法であることを忘れてはならない。
特にティッシュアップの計画の際に注意しておかなければならないことは、全ての料理はシェフの最終チェックを終えて客席へ提供されることを配慮し、周辺機器や機能を計画することが理想的であろうし、ディッシュの中心に立つシェフがあまり厨房内を動かずにスムーズに料理提供ができることが理想的であることを忘れてはならない。
またディッシュアップの機能としては(メニュー内容によっても変化してくるものの)、シェフの立つ位置を中心に左右にコールドドセクション(冷菜類、ソースを冷やしておく機能)とホットセクション(ガル二、ソース類を事前に温めておく機能)に計画することが多く、あくまでも繁忙時のメニュー出数やオペレーションを配慮して細部機能の計画に臨むことが大切である。