厨房設計/多様化するセルフカフェ計画のポイント
最近では欧米のカフェスタイルが定着していることもあり、これまでのサービスの仕組みや厨房機器の配置も様々になってきている。
特に日本人は店のルールやサービスに順応するのが早い人種であり、あたかも昔から知っていたかのようにそれぞれの店のシステムを使いこなす起用さとルールを遵守することは世界において類のないまじめという気質であろう。
いまや街のあちこちに点在するカフェのスタイルを大きく分けると二つになることだ。
一つはカウンターのレジ横で注文やドリンクサービスを行うスタイルとレジで注文をとるが、ドリンクやサンドイッチ類の提供はカウンター奥に提供コーナーを配置しサービスするスタイルである。
このサービススタイルの違いには、ドリンク類の提供方法やこだわりがサービスシステムを変化させているものであり、ただ単にサービススタイルが異なっているものではないことを理解しておかなければならない。
二つのサービスシステムの違いは、ドリンク類をスピード提供できるコーヒーマシンを利用しているかあるいはあくまでも注文に応じてコーヒーを一杯ずつ抽出するかのこだわりの差にあることだ。
果たして二つのコーヒーの味にカフェのビジネスの成否を左右するまでの違いはあるか否かはさておき、サービスのシステムによって厨房機器の配置は変化してくることを理解しておきたいところだろう。
一つ目のシステムの厨房計画は、あくまでドリンク類をレジ横からサービスするため、コーヒーマシン類はレジの背後に配置されることがサービススタイルや効率性を配慮しても妥当であることだ。また二つ目のサービススタイルを計画すると、繁忙時にサービス遅延が発生するために、客をカウンター奥へ誘導しサービスの順番を待ってもらうというシステムをとらざるを得ないという店の都合があることだ。
客の立場に立てば、サービススタイルの云々にさして興味や内容もしりたいという強い思いはないものの、あくまでも客の志向に委ねられている部分であろう。
後者のサービススタイルをとる場合には、厨房機器の配置もカウンターエンドの提供コーナーに合わせてコーナーマシンやその他の機器を配置していることが理想的になることだ。
つまりコーナーマシン、ジュースディスペンサー、給湯器、冷蔵ショーケース、食器洗浄機にいたるまでサービススタイルによって厨房配置や計画を変化させなければならないことの理由を理解しておくことが大切である。
しかしあくまでも二つのサービススタイルは、一つの参考例であり、いずれも機能的且つ効率的システムであると断言できるものではない。何故ならばサービススタイルや厨房システムとはその飲食店の企画において機能的であれば大きな問題ではなく、あまりにもサービススタイルがシステム化されていないというものでない限り、カフェの厨房計画は成りたつことになる。
ただし基本はメニューの提供方法によって厨房計画が変化することは如何なる飲食店においても変わらないことを理解しておかなければならない。いまやどこの街にも氾濫しているカフェを違った視点で眺めのも楽しいものだ。