遺言・相続手続 実務講座 その103 「銀行の委任状の作り方」 | 実務直結!行政書士 開業準備 実践講座

実務直結!行政書士 開業準備 実践講座

『そうだったのか!行政書士』『行政書士合格者のための開業準備実践講座』『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』他の著者・竹内豊が、失敗しないための開業準備について語ります。

このブログは
行政書士竹内豊が
遺言・相続手続の実務で役に立ったノウハウと
実務を通して感じたことを
公開しています



先週、相続手続きの書類を提出にMH銀行に行きました

すると書類を確認している行員が
「少々お待ちください」と言い残したまま消えてしまいました。
10分ほど放置されると、代わりに上司が現れてこう言いました

「お客様、たいへん申し訳ございませんが、
相続人の方に記入していただく箇所がまだございますので、
本日はお受けできません」(*_*)

私は上司に銀行の担当者と3回も打ち合わせをした上で、
銀行のリクエストとおりに書類を作成したと説明しました
そして相続人の間に事情があって、いまさら相続人全員から署名を
もらうのは事実上困難であることも主張しました

私に非があるなら仕方ありませんが、
まったくそのようなことはありません
なにより「子どもの使い」じゃあるまいし、
専門家としていまさら相続人に署名など頂けません

かと言って、銀行とけんかをしても相続人の利益にはなりません
そこで私は上司にこう提案しました

「私が相続人全員から頂いた委任状の委任事項に、
『MH銀行に提出する相続届の作成』と書かれていますね。
私が相続人代理人として今書類を作成することは何ら問題がないことです
私が書類を今書くので、本日手続きを完了してください!」

結局、私の主張通り、相続人の署名を得ることなく
私が書類を作成することで手続きをすることを終えることができました。

もし、委任状に「相続手続きに関する一切の業務」としか書かれていなかったら
銀行は頑として理不尽な態度を改めなかったに違いありません

さて、たいてい相続に関する本には、包括的な内容の委任状の例しか
載せていませんが、実務には適しません。

委任事項は想定できる委任内容を具体的に列挙した上で、
「以上、●●銀行の被相続人の遺産分割に係る一切の業務」という言葉で
締めくくりましょう。