厚生常任委員会の視察と、島村大先生のご逝去に触れて | ~共に悩み、共に生きる~ 神奈川県議会議員 武田翔のブログ

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8月28日(月)から30日(水)までの3日間、厚生常任委員会の視察で岡山県を訪れました。

28日は、岡山大学「山里海医学共育プロジェクト」と岡山市「健康ポイント事業」について視察しました。
〇岡山大学の山里海医学共育プロジェクト
岡山大学、島根大学、鳥取大学、香川大学では、令和4年度から、文部科学省補助事業ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業に選定されました。海に近い地域や山に近い地域、山間部など、地域によって生活習慣や食べ物が異なり、かかりやすい病気の傾向がそれぞれあります。そのような状況の中、地域ならではの医療課題について各大学が連携し、学習・体験することで地域が求める医療を提供できる医師の養成に取り組んでいます。
ホロレンズを活用した医療教育を体験し、また、手術室等がある充実した研修施設も視察しました。地域の医療人材をどのように確保するのか喫緊の課題です。

〇岡山市の健康ポイント事業
岡山市が導入したSIB(Social impact bond)を活用した健康ポイント事業は、35歳 以上の岡山市民や市内への通勤者等を対象に、地元企業が商品・サー ビスを提供して、市民の健康寿命の延伸と企業の健康経営促進を目指す取り組です。健康ポイント事業は、インセンティブにより行動変容を促す仕組みは、多くの市民に有効でしたが、民間企業のノウハウが活かされなかった。また。出資した企業の手続きが煩雑で理解が得られにくく、今後はSBIから出資を伴わないPFS(成果連動型民間委託契約方式)を目指す方向と伺いました。医療費削減のため、日本国内でいろいろな取り組みが行われています。


29日(火)は岡山県総社市の「障がい者千人雇用」と奈義町の「奈義町子育て支援」の視察を行いました。岡山県内を西から北東へ、長時間のバス移動でした。

 

〇総社市「障がい者千人雇用」
平成23年、総社市は障がい者千人雇用を開始しました。当時、総社市には就労継続支援事業所がなく、1200人いる障がい者のうち、仕事をしているのが約180人。そのような状況の中、片岡市長の強いリーダーシップのもと、障がい者雇用について、2.5億円財政を支出し、障がい者雇用の政策が始まりました。
市の職員が、1軒1軒、障がいのある方のご自宅に訪問し、一方で、従業員50人未満の会社に焦点を当てて障がい者雇用について粘り強く説明し、仕事のマッチングを行いました。
市長の熱い思いが、多くの人々の心を動かし、障がい者雇用の考え方を変えた大きな成果だと感じました。

〇奈義町「奈義町子育て支援」
2019年の合計特殊出生率が2.95、少子化対策の「奇跡のまち」として注目を集めている奈義町。
なぎチャイルドホームでは、アドバイザーに子育て相談ができたり、地域住民による子供の一時的な預かり、親子向けのイベントを行っています。また、しごとコンビニ事業では、子育てをしながら空いた時間にちょっとだけ働きたい、一方で、繁忙期にちょっとだけしごとを手伝ってほしいという思いをうけて、仕事のマッチングを行い、子育てをしながら就労できる仕組みや環境を整備しています。
未就学児童がいる家庭で、保育園に行かない児童には、在宅育児支援手当があります。
高い合計特殊出生率の鍵は「安心感」です。住むところがあり、働くことができ、子育ての負担が軽く、子育ての悩みや喜びが共有でき、町のみんなが子育てを応援してくれる安心感!


30日(水)は岡山県西部、井原市にあります株式会社土屋の「重度訪問介護事業」の視察をしました。
株式会社土屋のホーム土屋では、重度訪問介護の利用者のご自宅に出向き、身体介護や家事支援、外出支援や見守り、医療的ケア児等の支援を行い、重度障害の方々の生活を24時間365日支えています。全国47都道府県に事業所があります。重度の訪問介護事業は報酬単価が低く、サービスの需要は高いが担い手が足りない中、どのようなことを行いながら、急成長を遂げているのか、その秘密に迫りたいと思い視察先として選択しました。
一般的に、介護業界の人材確保は難しいといわれていますが、株式会社土屋ではヘルパーの方々がキャリアアップできるように、3年後、5年後、10年後のビジョンを作り、夢のもてるような会社つくりを目指しています。また、ヘルパーが足りないのは報酬単価よりもホームヘルパー2級の資格要件の可能性が高く、 130時間(講義時間58時間、実技スクーリング42時間、施設実習30時間)のカリキュラムを修了した後に、資格を取得しても報酬の低い事業所が多いことが課題だとも述べていました。この要件を緩和できれば、ヘルパーとして参入する壁が低くなります。
さらに、目から鱗でしたのは、自分の親を介護する場合でもヘルパーとして正式な手続きをとれば、報酬を得ることができる!
もっともっと自分自身の学びが必要だと思いました。


充実した視察の折に飛び込んできた、突然の島村大先生の訃報。しばし言葉を失いました。

 

島村大参院議員死去、「縁の下の力持ち」惜しむ政界関係者(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/government/article-1016298.html


島村先生は2013年の参議院議員初当選で、私の上司でもあった佐藤正久・参議院議員と同じ改選期ということもあり、神奈川県選出であることのみならず活躍に期待を寄せておりました。(佐藤議員は2007年に初当選、2013年に2期目再選)。

私が2015年に県議会議員選挙に初挑戦し、新米議員としてスタートした際に島村先生からいただいた激励の一言は、いまも鮮明に忘れることができません。

「頑張って」ではなく「一緒に頑張っていきましょう、共に神奈川県を織り上げていきましょう」

国会議員と地方議会議員は上下の関係でなく、序列でもない。
長年国会議員秘書を務めた私にとって、両者の関係を考えるうえで大いに刺激をいただきました。

また、島村先生は厚生労働委員長や厚生大臣政務官などの要職を歴任され、県議会の厚生常任委員長を拝命した私にとってまさにこれから、多くを学びたいと思っていた矢先のご逝去でした。

島村大先生にはもっともっと活躍され、国会での論戦をリードいただきたかった。神奈川県にとっても大きな存在でした。
改めて衷心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、これからも島村先生に恥じることのない、正々堂々とした県政に邁進することをあらためて誓います。