慰霊と国防-いまを生きる、私たちの課題 | ~共に悩み、共に生きる~ 神奈川県議会議員 武田翔のブログ

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世の中におかしいと思うことがたくさんあります。悩みながらも成長を目指す軌跡を描きます!

 

先日閉会した神奈川県議会定例会で、わたくし武田翔は厚生常任委員会の委員長を拝命いたしました。
重責を担う立場として身の引き締まる思いとともに、いかに先輩たちの伝統を受け継ぎ、自分が任に当たる意義を添えるか。日々想いを巡らせています。

厚生常任委員長に就任すると、慣例として「神奈川県戦没者慰霊堂奉賛会理事会」の副会長も拝命します。このたび就任後初の理事会が開催され、私からもご挨拶申し上げました。理事の多くは遺族会の方で構成されており、また遺族会では長年にわたる戦没者への慰霊顕彰、遺骨収集事業などその活動は多岐にわたります。新米副会長として、私からも心より皆様への感謝を申し上げました。

毎年8月15日はわが国が敗戦を迎えた日として、全国各地で追悼行事やテレビの特番、新聞でも特集が組まれます。「八月ジャーナリズム」とも言われる一連の流れは決まって「あの戦争は悲惨だった」「平和は大事だ」「戦争はいけない」という論調で偏りがちです。
たしかに尤もではあります。ただ、私たちはマスメディアに与えられる情報を鵜呑みにして、それだけで思考停止に陥ってはいけないのではないか。この季節を迎えるたびに思います。

日清、日露、日中の各戦争、そしてわが国のその後の命運を決定づけた大東亜戦争などなど。それぞれの戦いでは中国大陸や南太平洋、陸海空で数多くの若者が命を落としました。一説によると、満州事変から大東亜戦争までの戦没者数はおよそ310万人に上るといわれています。
遺族会の皆様は誉れ高い武人の子弟として、本来であれば社会的にも手厚く遇される立場にあるはずでした。それがわが国の敗戦によって、言葉では言い表すことのできない苦労を背負って来られた方も多いと伺いました。特に南太平洋方面で散華された方々は飢えにより免疫力が下がり、敵の攻撃よりも病気で落命された方々が多いとも聞きます。命が尽きる瞬間に、兵士の方々はいかに祖国を思い、そして家族を想ったのか。
現在のわが国は経済的に「失われた30年」と言われる一方、世界水準で見れば今もなおG7の一角を担う先進国の一員です。その礎を作ったのは紛れもなく、先の戦争で文字どおり命を賭け、わが国を守ってくださった方々です。私たちはもっと、先人に思いを寄せなければいけないと思います。
子孫や親族がいる方は幸いで、実際には子孫さえ残せなかった若者がたくさんいました。その方々の無念を思うと、私たち神奈川県民920万の一人一人が戦没者の末裔(まつえい)であるという意識のもと、慰霊顕彰に努めていかなくてはと思いを新たにしています。

 
陸軍を例にとると、関東地方の徴兵招集は山梨の甲府で行なわれたといいます。ところが招集を受けた方々がどの戦地に赴いたか、部隊の行方についても分からないことが多いです。神奈川県内の旧軍施設についても情報を含めた保存が行われているとは言い難く、自衛官を父に持つ私でも知らないことが沢山あります。

特別攻撃隊(特攻隊)で5度の出撃経験を持つ、穴澤利夫(あなざわ・としお)大尉という方がいます。鹿児島県の知覧特攻平和会館には穴澤大尉が婚約者に宛てた遺書が遺されており、その内容はいまも私の胸を打ちます。
 
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あなたの幸せを願う以外に何物もありません。

無駄に、過去のことや過去の義理にこだわってはいけません。

あなたは過去に生きるのではありませんから。

勇気をもって過去を忘れ、将来に新しく生きる場を見出すことです。

あなたは今後の、一時一時の現実の中に生きるのです。

穴沢は現実の世界にはもう存在しません。

いまさら何を言うのかと自分でも考えますが、ちょっぴり欲を言ってみたいです。

 1、読みたい本、「万葉」「句集」

 2、観たい画、ラファエルの「聖母子像」、狩野芳崖の「悲母観音」

 3、智恵子。 会いたい、話したい、無性に。

今後は明るく朗らかに。

自分も負けずに朗らかに笑って征きます

 

利夫 智恵子様


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穴澤大尉が飛行訓練に励んでいたのは他ならぬわが神奈川県であり、相模の陸軍飛行場がもっぱらの訓練場であったといいます。学校教育の歴史では古代や中世・戦国時代を熱心に授業するよりも、そうした近現代史に力点を置くべきではと思います。

単に「戦争はいけない、平和は大事だ」ばかりを唱えるのではなく、どうすればその戦争を防ぎ、そして平和を構築することができるのか。8月15日という節目は、そのような日であって欲しいと願います。自分たちの命を守るための「国民保護」についても、もっと学ぶ必要があります。

間もなく、わが国が敗戦を迎えてから78回目の8月15日が訪れます。かつて作家の半藤一利氏が「日本のいちばん長い日」と呼んだこの日は、国難に殉じた方々を偲び、我々も先人に恥じぬように命をかけて日本を守らなくてはいけない。私自身、決意あらたにする一日にしたいと思います。