「知事の責任は県土の一木一草にまで及ぶ」
 
故 貝原俊民元知事が示した使命感である。この『一木一草』の言葉を五百旗頭真先生(今月6日逝去)の講演を聞いた齋藤知事が県議会本会議の提案説明で取り上げ、自身も継承すると宣言していたことを思い出す。
 
◯2022年02月16日、県議会本会議での知事の提案説明(所信表明)。
(大切にすべき価値観)
あらゆる環境がめまぐるしく変化し、これまでの当たり前が当たり前でなくなる。そんな時代の中で、私たちが大切にすべき価値観は何でしょうか。このほど県政の羅針盤としてまとめた「ひょうごビジョン2050」の案では、特に大事なものとして「包摂」と「挑戦」を掲げました。
 
「包摂」は、だれも取り残されることのない社会をつくることです。激しい時代の波に飲まれ、置き去りにされる人をつくってはなりません。
 
100余年前、賀川豊彦は「一人は万人のために、万人は一人のために」と、日本初の生活協同組合を兵庫で立ち上げました。
 
また、太平洋戦争末期の沖縄戦で、県民と苦難を共にした本県出身の島田叡沖縄県知事を引き合いに、貝原知事は「知事の責任は県土の一木一草にまで及ぶ」と使命感を示されました。
 
兵庫に連綿と受け継がれるこうした心構えや責任感を私もしっかりと継承し、大都市から農山村まで多様な地域に暮らすすべての県民が、安心して、育ち、学び、働き、遊び、幸せに生きられる環境をつくっていきます。
 
◯2022年2月28日 県議会本会議一般質問
「一木一草」の知事の覚悟とワークライフバランス、知事居宅と危機管理対応について(竹内質問・答弁とその報道)

 

 

 

県民の同世代の2%程度しか支援対象にならない県立大学無償化、県庁舎を建替えず4割出勤にすることに不安を持つ多くの県職員がいるのに対話なしで方針を決定。こうした大きな話に加えて、昨今はZ世代支援に特化した施策の展開も目立つ。
 
為政者の発言はときに『綸言汗の如し』と言われる。(高貴な人の発した言葉は汗と同じで元には戻らないという意味)。
 
「一木一草」「包摂」「だれも取り残されることのない社会」。
こちらが求めたものではなく、知事自らが発した宣言だが、現実の施策と矛盾しているのではと自らの足もとで見られている。
 
ボトムアップ型を掲げるものの、職員から予算や施策に偏りが見られると思われても、議論する機会は政策会議を含めてほとんどない。
 
矛盾していることに気づきながらも決定事項を上意下達で進めなければならない職員。過去にはこの矛盾が生まれる状況をビジョンがないからと指摘した人がいたと聞いたことがあるが、そんなことを言える人は今いなくなってしまったそうだ。
 
だから職員の側から煙たがられていた私のような者にまで数多くの声が寄せられることになる。
 
上記リンクで「折檻 諫言」(『漢書』朱雲伝)を紹介した。あれから2年が経過するが、さらに職員の不安や不満は増していると感じる。過去の知事選挙云々などもはや多くの職員に何の関係もない。普通の真面目な職員が嘆き、悲しんでいる。今の動きに涙を流していた人もいた。
 
会見で述べられていた「綱紀粛正」の言葉を聞いて、今後の「粛清」を想起した人すらいるという。あまりにも前近代的で恐ろしい話に私も身震いした。
 
報道でどこまで県民の皆さんに伝わっているかはわからない。いま兵庫県政、県庁が大混乱しているのは確かだ。