当日記でも速報で記した旧兵庫みどり公社の経営状況。
 


県は「破綻状態」と説明したが、財務諸表では捕捉されていない再造林コスト(傾斜地などの山林を伐採したまま裸山のままにすることは災害などの面で危険)を考えると保有する森林全体の経済的な時価はなく、700億円近い損失額や借入金負債からそのほぼ全額を誰かが負担しなければならなくなる。また一方で金融機関が貸付によって多額の利息を受け取ってきたことも何度も指摘した。

私なりに県民の負担が最小になるためには何が必要なのかと考えてきた。

以下は10月4日の財政状況での私の質問(末に議事録)での問わず語りの答弁を受けて、急遽11日の質問に緊急追加したものである。

答弁を聞いて、これは過去最大の県民負担増を検討している、その可能性があることを懸念してそれを消すために知事への個人求償の可能性にまで言及した。その件で動きがあるという情報がある。懸念した最悪の話がでてくる可能性がある。まさに緊急事態である。

この際、10月11日の農林水産部に対する質問とその端緒となった4日の議事録速報版をここでもUPしておく。

早ければ11月30日の「分収造林事業のあり方検討委員会財務部会」で想定される最悪の提案、つまり県民負担が最大となる提案がなされる可能性がある。

■10月11日 決算特委 農林水産部審査
竹内質問

2 県が損失補償をしていない金融機関からの貸付371億円を県資金により公社が返済し、現在の将来負担率想定以上の負担を県が行う可能性について

(1)今後、県による追加貸付が焦げ付いた場合や追加の損失補償の履行を求められた場合の対応について
(2)知事への求償の可能性について

当日竹内提出資料

★議事録速報版
○(竹内英明委員)
 次は、県が損失補償をしていない金融機関からの貸付け371億を県資金により公社が返済し、現在の将来負担比率想定以上の負担を県が行う可能性について、お伺いをする。
 資料2に第4回のあり方検討委員会の資料を提示させていただいている。この65ページに、現在の機構の借入金の状況が記載をされている。県から23億、公庫から290億、民間金融機関から371億円の計684億円の借入れがある。
 そして、資料の5として、農林水産資金特会の債務負担行為も提出をしているが、県はこの公庫の貸付けについては、元利の損失補償を行っている。しかし、市中金融機関については、330億円にかかる利息等の損失補償を行っているものの、元本は保証していないことがこの資料で分かる。こうした元本の保証のない貸付けの合計が、表題の371億円である。
 分収造林事業では、これまで金融機関だけは金利でもうかってきたということが、さっきの答弁でも明らかであるが、これを断ち切るならば、県が代わりに無利子で貸付けをすればよいということになる。しかし、公庫貸付分については、繰上償還等が認められていない。経営をそのまま存続させる限りずっと利息を払い続けなければならない。いつまでこうした負担が続くかは、再度、債務負担行為をご覧いただきたい。最も長いものは、令和59年という記載があると思う。つまり、これ2078年3月まで、まだ55年間続く借入れということである。知事の言うように、法的整理等を行うしか出血を止める方法はない。
 兵庫県と同じように、経営の厳しかった群馬県の林業公社、社団法人群馬県造林公社は2011年に民事再生法の適用を申請して解散しました。負債総額は165億円、うち群馬県の負債は150億円で、第三セクター債を活用して、公庫へ損失補償を実施している。
 先月議会に示された機構の経営資料も資料4として提出をしているが、現在の木材価格とか、企業コスト、現計画と大幅に乖離したと記されている。
 実際には木を切ってそのままというわけにもいかず、再造林の追加コスト、こういった貸借対照表等で補足されていないようなコストまである。私はこれらを全て現金化すること自体が簡単ではないというのが結論である。
 これまで365億円といったような金利を金融機関に払ってきて、もう伐採、売却も簡単ではない。今後も毎年4億円もの利息を払い続ける、また金利が上がる可能性もある。外部借入れをなくすために法的整理等を行い、後はこの事業を特別会計で実施するなどして、2078年までの利息を払い続けるような現計画は破棄すべきだと思う。
 議会に示された資料4には、過去に記載のなかった県営分収育林事業の借入金45億円も追加で含まれていた。こうしたことは機構そのものに大なたを振るうという意味だと私は理解をした。

知事が法的整理等を採用する可能性が高くなっているということを踏まえて、機構の今後について聞いていきたいと思うが、金融機関に返済する自己資金は、そんなにない。過去には2014年度まで、オーバーナイト融資で決算を乗り切ってきたことも知られているぐらい経営状況がよくないことは明らかである。そんなときに融資に乗り出した金融機関は、さすがに自己責任である。このような法的整理等が検討されている中で、公社が金融機関に借りている資金を優先して返済するために、県が追加で公社に貸付けをしたとする。県には、その資金が返ってこない可能性が高い。また同じ意味を有することであるが、金融機関からの融資に対して県が追加で損失補償を求められた場合も同様である。
 法的整理等を検討していると思われる時点から追加の貸出し、貸付け等は慎重にすべきであると思うが、いかがか。
○林政企画官(明石康一郎)  委員からご指摘のあった件であるが、今後、検討委員会の中で、具体の長期収支の見通しをお示しすることになるが、これまでも明らかにしているとおり、木材価格の低迷や施業コストの高止まりにより、経費の回収可能な経済林が見込めない状況となるなど、長期収支見通しは行革プランより悪化することが見込まれている。
 一方、分収造林事業は、これまでの適切な森林管理により土砂災害防止や水源涵養等の森林の多面的な公益的機能の適正発揮に大きく貢献してきた側面もあり、債務整理と併せて、森林の多面的な公益的機能を次代に引き継ぐための効果的な施業方法や多様な主体の参画など、体制の在り方等についても、様々な可能性について検討を深めていく必要がある。
 債務整理の手法としては、委員ご指摘の、破産や民事再生等の法的整理のほか、私的整理の一種ではあるが、裁判所が一定関与する特定調停なども上げられる。
 どのような債務整理を、手法を取っていくべきかというところについては、今後設置をする専門部会の中で、それぞれの手法のメリット、デメリットを本県のケースに当てはめてお示しをした上で、県民負担ができるだけ少なくする観点から、望ましい債務整理の在り方を検討することになるというふうに考えている。
 その際には、繰り返しになるが、委員ご指摘の他県における債務整理の手法のほか、現在、機構が農業と林業の複合公社となっている点もお示しをしながら、いずれにしても、将来に課題を残すことがないよう、しっかり議論してまいりたいと考えているので、どうぞよろしくお願いする。
○(竹内英明委員)  今の答弁の中で1点、県民負担が、できる限り少なくなるよう、それだけ、念を押しておきたいと思う。
 そして、この371億円の金融機関による長期貸付けについて、実は、この質問するに際して、多数の関係者にもいろいろご意見を伺った。その中で、公社の経営が悪いのは分かるだろうに、利子だけに損失補償をつけ、元本の保証を取らなかった理由が分からない、こういう意見がすごく多かった。

当時、2014年、金融機関側から公社へオーバーナイト融資を解消したいという話が県にあった。なぜか。オーバーナイト融資はたった2日間の融資である。土日挟むと増えることあるが、旧公社は貸借対照表で長期借入金に区分していた。毎年300億円を超える長期借入金が計上されていた。たった2日である。返済期限を1年以内に迎える負債を流動負債とするのが、簿記の中でも初歩中の初歩。貸手の金融機関も当然公社の財務諸表を見ているから、これを把握している。これは間違っている、訂正を求めるが、そうはしていない。その理由は、推測するとオーバーナイト隠しである。
 金融機関を監督する金融庁の債権管理の方針として、貸出先は正常先、要注意先、破綻懸念先の三つに分類することになっている。県の判断は、資料6でお示しするとおり、公庫貸付けの損失補償額の90%を県負担としている。引当率90%、金融庁の基準でいうと破綻懸念先である。
 金融庁は、金融機関が破綻懸念先に融資をしておった場合は、引当金を計上しなければならない。このような指導監督をしている。
 公社は、当時オーバーナイト融資を受けていた。つまり、資金不足に陥っている団体だから、当然ながら金融庁の基準に基づいて、破綻懸念先という債権区分となって、金融機関も引当金を計上しなければならない。しかし、破綻懸念先にあえて融資をするか。そして、引当金を計上していたら、わざわざ会計原則を変えて、短期借入金から無理をして、長期借入金とさせる必要はない。要は、破綻懸念先という債権ではなくて、引当金を計上しない、または減らして利益を多く見せていたとしたら、これどうか。これ事実なら極めて危ない話である。
 実は、2014年9月の定例議会で、オーバーナイト融資を長期借入金に仕分けしていたことに気づいて、本会議で質問したのはこの私である。慌てたんだと思う。実は、その後すぐにオーバーナイトの解消を金融機関側から言ってきた。当該年度末から、オーバーナイト融資をやめ、本当の長期貸付金に変更になった。つじつまが合う。だから、県側とすれば、先方の申出だから、元本の損失補償までする必要がなかった。実は、県側が一筆入れたんじゃないかと、ほかに条件をつけられたのではないかとも私は思い、議会でもう既に質問している。それはありませんという答弁があった。全て、腑に落ちる話である。
 要は、金融機関側は、オーバーナイトが短期貸付金なのに長期貸付金だと、県もそれを知っていた。この一連の話で、足元を見られた。だから元本の損失補償は取れなかった。このように想像をしている。
 この間の経緯についてご存じかどうか分かりませんが、お知らせください。

○林政企画官(明石康一郎)  現在、委員ご指摘の点については、部局としてはちょっと承知をしていないところであり、申し訳ない。

○(竹内英明委員)  皆さんが管理されてるが、この話を知ってるわけがない。皆さん関与されてない。
 それで、次の質問に移っていく。
 私が今、指摘したような経緯等の話もある中で、損失補償もしていない元本の貸付金まで県が支援をしようとか、結果的にそうなった場合は、当然、住民代表訴訟による知事個人が決済すれば、求償へつながる可能性があると、県による追加の損失等も一緒である。皆さんそう思わないか。これについてもお答えください。
○農林水産部次長(呉田利之)  知事は分収造林事業の在り方について、先ほど来、委員がご指摘のとおり今議会の提案説明で、委員会の検討結果を踏まえつつ、現実的な収支見通しに基づき抜本的な見直しを進めるとした上で、課題を将来に積み残すことなく、残り任期2年間で方向性を定め、抜本的な改革を進めると表明したところである。
 加え、先般の代表質問においても、財務処理、そして森林管理の両面から将来に課題を積み残すことなく、残り任期の2年間で方向性を定め、抜本的な改革を進めていくと重ねて答弁をしたところである。
 このため、部局としては、現在設置している検討委員会に財務、法務及び行財政にそれぞれ精通した有識者で構成する専門部会を設置し、財務当局とも連携して、これまでの金融機関からの融資の状況等も踏まえながら、債務整理の在り方について重点的に検討してまいりたいというふうに考えている。
 その際には、委員ご指摘の可能性についても、しっかりと議論してまいりたいと考えている。

○(竹内英明委員)  財政状況の際に、私質問した。ひょうご農林機構の県将来負担見込額が250億円と、将来負担比率の算定で記載されているが、これでいいのかという質問をした。これは、県民のお金で最終的に負担する金額の上限を示しているようなものの考え方である。しかし、金融機関の貸付けを救済しようという考えがあるという答弁を聞いて、私は県民置き去りの驚くべき話が出たと思って、今日はこの質問をさせていただいた。
 この質問をした以上は、もうお分りだと思うが、オンブズマンの方も聞いておられるかもしれないが、あり得ない、これは。
 県の機構についての将来負担額は、現在損失補償している公庫の債務残高289億円、この程度であるということだけを今回の質問ではっきりさせておきたい。それを超えて、もし県の負担をあえて増やしてやるというのならば、私的求償も当然覚悟してやっていただきたいということである。

神奈川県川崎市で、学校のプールの栓を閉め忘れた教員が、水道代が余計にかかったということで、個人にその一部を負担させる求償を行わせるという話が大きく報道された。この負担に反対する意見も多くあった。一方、兵庫県庁では、2年前に貯水槽の排水弁を約1ヵ月閉め忘れたことで、水道代約600万円が余分にかかったとして、その半額を個人に求償したという実績がある。厳しい世の中だなと思った。職員だけに厳しいというのはあり得ない。覚悟を持って、抜本的見直しに当たっていただきたいと思う。
 質問は以上である。ありがとうございました。


■10/4 財政状況 質問 速報版 議事録

○(竹内英明委員) 
 次に、大きな3の経常収支比率の4年連続の悪化であるとか、全国ワーストが続いている将来負担比率の中で打ち出された攻めの県政、県立大学の無償化についてお伺いをしていく。
 まず、将来負担比率の中のことだが、この将来負担比率の算定に当たっては、外郭団体の債務等で県が負担する額を計上しなければならない、こういったルールとなっている。
 それで、監査の出された資料を見ると、ひょうご農林機構の県将来負担見込みは259億円と記載をされていた。これの金額で全て県が負担しなければならないものを補足していると、このように捉えてよろしいか、教えてください。




○資金管理官(西山和男)  第三セクター等の損失補償債務に係る将来負担額についてであるが、総務省告示で定める基準によって、県の損失補償付債務残高に法人の財務諸表等から判定した一定の算入率、これを乗じた額を将来負担額とすることが定められている。
 ひょうご農林機構については、県が損失補償を付している日本政策金融公庫からの借入残高288億円に対して算入率90%を乗じて、将来負担額を259億円としている。
 一方、民間金融機関からの借入残高については、損失補償を付していないので、これまでから将来負担額の算定には含めていない。
 しかしながら、今後、分収造林事業のあり方検討委員会において、長期収支の見通しが示され、債務整理の手法や今後の施業の在り方などが議論をされると聞いている。
 あり方検討委員会での議論の内容にもよるが、民間金融機関からの借入金については、最終的に県負担により対応せざるを得ないリスクもあるというふうには考えているので、検討委員会での議論を注視していく必要があるというふうに考えている。

○(竹内英明委員)  最後に、肝の部分をお答えになったが、県が債務保証をしていない民間からの多額の借入れがあると。
 これについては、これから第三者委員会というものも設置されるということだが、私なりの意見もあるので、私はまた農政環境も当たっているので、そちらで議論させていただく。