分収造林事業のあり方検討委が昨日開催され、県は同事業が破綻状態にあることを認めたということだ。私も決算特別委員会で同事業について取り上げた。決断の遅れが借入金利子を増やし結果として360億円といった負担をしてきたことを明らかにした。いずれ明らかになる更なる県民負担。先送りという不作為…。


記事の中には「兵庫県では昨年3月に監査で問題が表面化」とありますが、記者にとってそうであって、それより以前の県議会の議事録を2つ記載しておきます。私が同団体の資金不足によるオーバーナイト、不適切な財務諸表に気づいて取り上げたのは2014年です。

分収造林事業のあり方検討委の昨日の資料等が県HPでは公表されていないので私が入手したものをUPしておきます。
















■2020年、井戸知事に対する最後の本会議質問でみどり公社問題を取り上げる。

第352回(定例)兵庫県議会会議録より抜粋                        令和2年12月4日(金曜日)

○竹内英明
質問の5は、公益社団法人兵庫みどり公社に対する県の早期抜本的経営支援についてであります。
 この過去の政策の中で県が着手できない財政負担が残っている大型投資事業を慎重に検討すべき大きな理由となる、これがこの公社の問題であります。
 公社が昨年3月にまとめた兵庫みどり公社中期経営方針の中で、金利は比較的低利で推移しているものの、公社の年間支払利息は多額であり、経営を圧迫しているとの記載がありました。調べましたところ、公社の金融機関からの借入れは、日本政策金融公庫から324億円、三井住友銀行から344億円で計668億円となっており、支払利息は昨年度だけで5億円、過去10年の支払利息の合計は62億円にもなっておりました。
 また、同経営方針には、膨らんだ投資額の回収が困難なことから見送りしている事業地の主伐を推進するため、投資額、特に利息分に対する抜本的な支援を要請するとの記載もありました。これは主伐適齢期を迎えた木があるが、切って売却しても、帳簿上の価値に見合う収入が得られない、つまり、売却により赤字が顕在化するので、早期に金融支援をお願いしたい、そんな支援要請だと受け取りました。
 公社の財務諸表では21億円の正味財産、つまり自己資本があることになっております。その根拠となる主要な資産である森林の価値を調べてみますと、実際の資産価値とは関係がない取得原価によって計算されていました。この原価とは、新植費、保育費、借入金支払利息、人件費等から造林補助金等を控除した額、つまり森林造成にかけた全ての費用から補助金を減じた額ということであります。資産なのに経費の積み上げで、時価や売却予定価格とは全く関係がありません。この方式でありますと、支払利息などの経費が増えると、帳簿上、森林の価値は上がっていきます。
 その森林の評価額が今668億円です。偶然金融機関の借入れと同じでありますが、これは単なる偶然であります。その内訳についても調べました。
 植付け、下刈りや枝打ち、人件費などで構成をされていますが、最大はやはり借入金利息でございました。668億円のうち、何と306億円という驚きの金額であります。森林の評価額の46%を過去に支払った利息が占めているということであります。
 当初計画では、ヒノキの伐採が本格化するのが2023年度ごろとされておりました。こうした帳簿上の価値と実態がかけ離れた状況で、計画どおり伐採を進めますとどうなるでしょうか。赤字の顕在化により債務超過の危機を迎えるでしょう。
 分収造林事業は、国の施策で進めたと今恨み節を言っても仕方がありません。林業公社のあった39都道府県のうち、15道府県が既に廃止をいたしております。また、府県が債務を引き受けております。存続中は24都道県、存続していても特定調停により県が巨額の債権放棄をした滋賀県造林公社のような事例もございます。いずれも国による巨額の財政支援はありません。
 このまま年間5億円もの利息を金融機関に払い続けていいのでしょうか。私は知事の20年の在任中で最後に残されている未着手の課題だと思っております。巨額の新規投資事業に着手する前に抜本的な公社支援の方向性を示す必要があると思いますが、ご所見をお伺いいたします。

○井戸知事
公益社団法人兵庫みどり公社に対する抜本的経営支援についてのお尋ねがありました。
 兵庫みどり公社の分収造林事業は、国が設定した枠組みに基づくもので、本格的な伐採収入が得られるまでの長期間を見据えた資金手当は制度発足のときからなされていませんでした。植林や干ばつなどの経費も借入金で賄わざるを得ない構造になっています。
 事業収支は、木材価格の低下等により厳しい状況でありますので、県は公社に必要な資金を貸し付けるなどの支援を実施するとともに、分収造林契約の分収率も6対4から8対2に見直しも行ってまいりました。
 あわせて、国の補助事業や金融措置、地方財政措置等の支援策を活用しつつ、平成20年から4次にわたる行革プランに基づき、公社の経営改善を進めてきています。
 また、このような実情については、行財政構造改革プランにおきまして公表し、その方針を示してまいりました。
 具体的には、収益性の高い森林への事業の集中、路網整備や高性能林業機械の活用による事業経費の削減、土地所有者との分収割合の変更や木質バイオマス発電用燃料の供給等による収益増、日本政策金融公庫や市中金融機関の活用による資金調達の多様化、借入金に対する県の利子補給の実施、組織の見直しや人員削減などによる管理経費の削減などを行って取り組んできております。
 今後とも令和60年になります契約終了時点での収支均衡を目指しまして、更なる努力を重ねて経営改善に取り組んでまいります。
 ご指摘の年間5億円の利息の軽減でありますが、その大宗は、旧農林漁業金融公庫の借入金の償還でありまして、これは借換えをすることが有効なのでありますが、繰上償還が制度上認められていないという状況がありますので、この事業を推進してきた国の抜本的対策が不可欠であり、国に対して強く要請をしております。
 今後とも全国の府県や公社と連携して繰上償還も含めた公庫資金制度の拡充や県が行う経営改善対策への支援の強化などにつきまして、強く国に対して要請を行ってまいります。
 あわせて、県としてどのようなみどり公社の体質改善について行うことが適切なのかどうか、これは引き続きしっかりと現状の分析を加えながら対策を行うべく努力をしてまいります。

○竹内英明
 これはもう私、初当選以来取り上げてきた問題でありまして、知事となかなか意見がかみ合わない部分でございます。
 兵庫県の借入額が大体700億、これは県からの貸付けも含めてですけれども、ございます。これは、全国で2番目、1位が本県の隣の岡山県の林業公社、これは704億円です。これは岡山県が農林高校にも民間の金融機関にも先に繰上償還をして、全額704億円を岡山が貸しているんです。ですから無利子で、利子が増えることはない。これは、岡山も兵庫県よりは財政いいですけど、余りよくない、それでも早期に対策をしてきたと、ここは私は見習わなければならないことかなと。そうでなければ、今年度の予算を見ましても支払利息は5億8,000万の予算で県の利子補給は2億2,000万、1年で3億6,000万、また簿価が上がるんですよ。これは私は先送りだと思いますので、抜本的な改革をお願いしたいというふうに思います。
 


■旧みどり公社が資金不足に陥り、オーバーナイト融資を受けていること、短期借入金なのになぜか長期借入金と仕分けされている問題について取り上げた2014年の議事録

第324回(定例)兵庫県議会会議録                        平成26年9月29日(月曜日)

○(竹内英明議員)
質問の第5は、公益社団法人兵庫みどり公社への貸付金――オーバーナイト借入についてお伺いをいたします。
 平成24年度、包括外部監査人が指摘をいたしました県みどり公社へのオーバーナイト借入につきまして――オーバーナイト借入とは、外郭団体等が3月末の年度末に数日間だけ市中の金融機関から資金を借り、4月の年度開始後すぐに金融機関に返済するという資金繰りの方法であります。県がみどり公社に貸し付けておりました資金を年度末の3月31日に一旦回収し、翌年度4月1日に再び貸し付けをするということで、この間、たった2日ではございますが、市中の金融機関から短期融資を受けなければならないということであります。土・日を挟む場合は最大4日、この24年度は4日間ということになっております。
 この外部監査人は、環境行政に関する財務事務の執行及び出資団体の経営管理についてというところを監査し、これを指摘した訳でございます。これにつきましては、平成6年度開始、平成100年事業完了予定のくらしを支える森づくり事業ということで、これに係る貸付金の単年度貸し付けにつきまして指摘したものであります。
 民間の森林所有者から育林地を取得し、その資金として充当したものであり、これは、もう既に平成11年までに取得を完了しているものでございますが、森林整備費等が加算をされまして、平成23年度末には貸付金の総額が43億2,200万円となっているようでございます。
 この貸付金につきましては、実質的には超長期の貸付金ということでありますが、契約上は、私が先ほど述べたように、年度期首に県が貸し付けを行って、年度末に県に返済をする単年度貸付を繰り返し実施をしており、その残りの期間を市中の金融機関に借り入れする。これが、いわゆるオーバーナイト借入でございます。
 このオーバーナイト借入を実行することによって、みどり公社には毎年40万円程度の利息費用のほか、同じく40万円程度の印紙税も発生しておる。また、借入条件を決定するための金融機関との交渉といった事務負担も生じているが、これらは経済的には不要なものであると、外部監査人は指摘をされております。

この監査意見に対して、県は、これまでの間、県が単年度貸付を行ってきた理由は、現行の地方債制度において、兵庫みどり公社の森林が、主伐時期になるまでの間の超長期の地方債を発行することが認められていないこと、一般財源により一度に所要額を確保することも現下の情勢では困難なことなどであり、県がとり得る手法として適当であると考えていると回答をされております。前者の地方債制度はそのとおりでありますが、資金がないとの回答はおかしいと思います。
 県議会に提出された24年度の県の決算を見ますと、出納整理後の県債管理基金の残高は4,667億円、土地や有価証券等を除く現金だけでも2,614億円ありました。これならば、みどり公社から資金を引き上げる必要はありません。
 また、私が更に調べましたところ、みどり公社の24年度決算を見ましても、オーバーナイト借入について、これは流動負債に該当するはずでありますが、記載がないことが分かりました。翌日に返済する予定の資金という趣旨からすれば翌1年以内に返済する負債として流動負債に計上しなければならない。これは簿記の本等にも載っております。

 さらに詳細を調べますと、外部監査で指摘されたのは、オーバーナイト借入は約40億円でございますが、固定負債の増減は300億円規模となっております。いずれにいたしましても、公開されております決算資料を見ただけでは実態は分かりません。
 金融機関から借り入れをした、このみどり公社のオーバーナイト借入の総額は、平成24年度、25年度、各決算で幾らあったのか、また金融機関に支払った利息と印紙税の額について、それぞれお答えをいただきたいと思います。
 また、2日間だけの借入金をなぜ流動負債としないのか、これについてもご説明を願います。
 こういった単年度貸付につきましては、平成21年6月23日、総務省自治財政局長の通知、「第三セクター等の抜本的改革の推進等について」の中で、第三セクター等に対する短期貸付金を反復かつ継続的に実施する方法による支援は、安定的な財政運営及び経営の確保という観点からは、本来、長期貸付、または補助金の交付等により対応すべきものであり、当該第三セクター等が経営破綻した場合には、その年度の地方公共団体の財政収支に大きな影響を及ぼすおそれがあることから、早期に見直すべきであるとされております。
 国の通知だけでなく、監査人も単年度貸付金による財政支援は速やかに見直し、長期貸付に切り替えるべきであると意見を付しておられますが、私も同様に早期に見直す会計処理を求めますが、ご所見をお伺いいたします。


○企画県民部長(五味裕一)
兵庫みどり公社への貸付金について、お答えいたします。
 国が開始した分収造林事業は、昭和33年の制度発足当初から林業公社において本格的な伐採収入が得られるまでの長期間を見据えた資金手当てがなされておりません。そのためやむを得ず、県の貸付金に頼らざるを得ない構造になっておりまして、国による制度化が図られるまでの間は、暫定的に県が単年度貸付という手法により資金手当てを行っているものでございます。
 オーバーナイト借入の総額につきましては、平成24年度は301億1,076万円、25年度は314億8,088万円でございます。当該借り入れに係る金融機関への支払い利息は、平成24年度は487万円、25年度は254万円でございます。県の貸し付けに係る印紙税は、両年度ともに60万円でございました。
 オーバーナイト借入の期間は1年以内であることから、形式的には流動負債に該当いたしますが、分収造林事業においては、当該借入金と県による単年度貸付との通算で、継続的に事業資金を手当てしている実情を踏まえまして、固定負債として整理をしております。
 分収造林事業は、国が枠組みを設定して推進してきたものであることから、国に対し、日本政策金融公庫資金の貸付対象経費の拡充や低利子化など、抜本的な対策を講じるよう他府県とも連携して要請しているところでございます。
 このような状況のもと、県としては公社独自の経営改善及び県の財政負担への影響等を、総合的に勘案し、当面必要最小限度の額について、単年度貸付金による支援を行わざるを得ないと考えております。
 今後とも県やみどり公社等を取り巻く社会経済情勢等の変化に対応しつつ、さまざまな観点から公社への資金の支援の方法を検討してまいります。

○(竹内英明議員)  1点だけ再質問させてください。
 最後のご答弁でございますが、オーバーナイト貸付を金融機関から2日間することによって、例えば、今年度、この年度終わりも同じことをするんであれば、2日間ですから300万円、県が貸しておれば金融機関に払わなくてもいい金利と印紙税、今行革をやっておって、これについては、私は非常に無駄だと思うんですけれども、この一旦引き上げることの意味は何なんですか、目的は何なんですか、それを確認させてください。300万円払ってでも県が一旦引き上げる方が得があるんであれば、それは意味があると思うんです。そこを説明をしていただきたいと思います。

○知事(井戸敏三)  全然得になりません。問題は単年度予算主義です。単年度予算主義の中で、一般財源が非常に窮屈な状況で、公社に300億円を超すような金を融通しようとしたら、この方法しかなかったということであります。
 私から言わせれば、もともと分収造林の公社での運用を推奨したのは国なんでありますが、国は自分の林野特会は、このような仕掛けを全部、たばこ税の増税で対象にしましたにもかかわらず、都道府県の造林公社は放ったらかしになっているんです。
 資金手当てについても、十分な資金手当てをしておりません。政策金融銀行の融資制度もあるんですが、利子が高いんです。そういうこともありまして、我々としては、今の段階ではやむを得ない措置なのかな。ほかの手段を講じますと、より利息がかさんでしまって、経営を圧迫してしまうということがありますので、年度末の単年度予算主義を前提に考えますと、緊急避難的措置になるのかなということで、今のようなお答えを申し上げたところでございます。もっとうまく対応できる方法があるならば、検討していきたいとは思っております。
 行革のみどり公社の項におきまして、このような対応につきましてグラフを書きまして、長期的な対策についても触れさせていただいておりますのも、今申しましたような趣旨から、健全化を図りながら、資金手当てはこうしていくんだという趣旨を説明しているつもりでもございます。
 よろしくご理解をいただきたいと存じます。