昨日の大学課長に尋ねるべき話の続き。大阪府が高校無償化の導入を記者発表した当日、私に教えてくれた人がいた。詳しい内容はわからなかったが、まず聞いたときに兵庫への影響がいかなるものになるかを考えた。
先日の6月議会の一般質問でも、高校の完全無償化を大阪府だけで行う場合、大阪府に隣接する他府県の地域で、どこに住むかといったことが子育て世代に影響するのではないかという声が議会側からあがっていた。明石市の事例を考えると影響はあるだろう。
大阪府と同じ制度設計を兵庫県ですれば200億円というような財源が必要となるとの話もあった。単年度ではなく毎年必要となる財源。計画されている高校への設備投資額と比較すればわかるが、相当な支出となる。もちろん兵庫県の財政力にはいまだ余裕がないが、その分他の事業をやめれば可能。とはいえ、それをやるのはかなり力がいる。現県政では何かをスッキリ大きくやめるといったドラスティックな方向性をとるとは思えない。
そうしたところ、近畿の私立高校の連合会がこの制度に反対の声をあげたという報道があった。何故なのか。
大阪府在住の高校生の無償化になぜ私学から反対の声があがるのか。今朝のABCのおはよう朝日です、でわかりやすくパネルを使って説明されていた。
上段の現行制度と下段の新制度。新制度では公費負担が増え、所得制限なく生徒1人あたり60万円が支出されることになる。とはいえ、それを超える費用も生徒負担でなくすため、60万円を超える学費については、全額私学側の負担となる。新たな学校負担となる。この黄色の部分が8億円と試算される。
家庭の負担はなくなるので生徒側から反対がなく、私学側から初めてこの制度について反対の声があがったということだ。
上記の産経新聞のリンク記事の末尾で吉村知事は「制度に入らないという選択肢も学校側にはある」と話している。この話が肝だろう。脅しとは言わないまでも…。
この制度を私学側が受け入れ、制度に入れば保護者の負担はなくなる。この制度に入らなければどうなるか。大阪府の支援対象校とならなければ保護者負担は継続される。そうした学校を生徒側が引き続き志望するだろうか。これから学校と個別に折衝していくという。個別にというのも2つ目の肝だ。
60万円までの学費に収まる教育内容にしなければ赤字になる。それを受け入れれば特色ある教育とは言っても、公費でキャップを被せられているようなもの。私学の特色が奪われるという話もよくわかる。
少子化の中で、多くの私学は生き残りをかけている。この制度に入らずとも生き残れるほどの特色教育を誇る学校ばかりでもないだろう。
一つ言えることは、こうした制度を単独の自治体だけで導入すれば府県間で軋轢が生じるということ。一応事前に隣接府県には連絡があったそうだ。私学の場合、府県外に通う場合もある。居住地により大きく異なる公費負担となり、生徒の負担にかなり差が出てしまう。
地方分権とか権限移譲というのはこうしたことが起こるものなのだが、親の所得の差ならばまだ仕方ないと言う人もいるが、都道府県という居住地の違いでそれが大きく発生するというのは日本人にとってはあまり受け入れられないことになるのだろう。