広島県安芸高田市の市議会が行われ、以前記した市議会議員の定数半減案が市長によって提案されたようだ。全国メディアで報道されていた。


この動画をみると本会議場で市長が大声で「『恥を知れ!恥を!』という声があがってもおかしくない」と市議会議員に面と向かって言っている。一応間接話法だが自身の意見だろう。テレビメディアを意識した感じで現に当日のうちに全国放送になっている。

居眠り指摘の意趣返しで副市長の定数削減までされて怒り心頭なのだろうが、住民から直接選ばれている多くの議員を相手に「恥を知れ!」。尋常ではないだろう。先日も書いたが居眠りや一般質問せずは安芸高田市議会特有の問題ではない。議会に傍聴に来たらわかるし、議事録で何年間も質問をしていない議員がいることくらいHPで検索すれば簡単に確認できる。


「議会や議員は、我々住民を映しだす鏡であり、映った姿が醜いならば、我々が醜いだけなのである」

これは東京大学大学院法学政治学研究科の金井利之教授の著書『自治体議会のトリセツ取扱説明書 ―住民の代表として議会に向き合うために―』の一節だ。

簡単に言えば『議会は住民の鏡』である。


首長が個別の議員の非行等を非難するのは当然の権利だが、もっと広範な議会の半数、ある意味でその議会全体を非難するという行為が何を意味するか。本来は自ら提案する市の予算や条例を審議してもらう相手に対してである。時に感情的な対立の構図はひいては住民のためにならないことは自明だろう。


河井法相の事件を契機に故郷に帰ってきたエリート若手市長が変えたいと思ったものは何か。それは一義的には議会中に自らの前で平然と居眠りする議員であるが、本当は、市全体とか住民の意識を変えてやろうと思って仕掛けているのかもしれない。とはいえ、住民がそれを望んでいるのだろうか。居眠り議員を全国放送の前で恥を知れと断罪し、住民の中には溜飲を下げる人たちも一定いるとは思うが…。安芸高田市のイメージ自体も傷ついている。市に知り合いはいないが住民の方はどう思っているのだろう。近年変わった政治家が増えていることは実感しているが、私の中ではこの動画もそれに十分含まれるものだ。


変わった政治家といえば、議員を半減させて歳出削減をするという安芸高田市長とは立場は逆だが、近年、市長室にサウナやシャワー室をつくってみたり、高級机や椅子、ソファを購入したりして大きな混乱を引き起こした変わった市長が何人も出た。いずれも発覚した時点では市長の公務に必要などと正当化し、世間の常識とはかけ離れた感覚が明らかになった。皆就任一期目。長く在任して感覚がずれてきたわけではない。最初からだ。数万人以上に1人しかなれない市長でもそうだった。議会を含めれば本当にこの世界に変わった人が増えてきていると感じる。

この世界が長い同僚とはよくその話になる。逆に政治家に成らせたい人が辞退する比率が相当上がってきている(家族の反対も増加の一途)。地域の人間関係が希薄になり、政党の候補者擁立能力も低下の一途。手を挙げる成り手の選考は少数の中から。3ヶ月の居住要件がなくても当選してしまい、あとから当選無効の訴えが提起される事例も増えてきた。定数はほとんど変わらない中で何が起こっているかである。

※国政では主張が先鋭的な団体の擁立が増え、今参院選では兵庫県でも過去最高の候補者となる見込み。地方選挙とは状況が異なっている。

そもそもの成り手不足の根本原因に地方議員が魅力のある職業ではなくなっていることがある。一方で大阪府議会での身を切る改革の競争が昨日も報道されていた。この方向性は変わらないのだろう。有権者に評価されることが何なのか。評価の行き着く先は政治家は無給のボランティア活動ことになるのだろうか。

それはともかく、昨日も今日もこの世界から離れる可能性がある人の話を複数耳にして驚いている。高齢とか多選とかの話ではないので余計驚いた。


このほか今日は他の自治体で首長をしている友人とやりとり。国と地方の関係、自主財源、自治のあり方について意見があるという。コロナ対策の財源について、2020年度など当初は自治体の保有する基金の金額の違いによって差が出るなどといった話も出ていたが、いまその議論は聞かなくなった。国の臨時交付金が潤沢に配分され、自治体の固有の財源に手を付ける必要がなくなったからだ。交付金である以上、使途は法令の範囲内で自治体自ら考えて議会の議決を経て決めるべきだと国がとやかくいうことではないと言っていた。

近年の野党にも給付金政策や消費税減税の議論等にも辟易しているようだ。受けのいいことを掲げ、借金を先送りして現世利益を確保すれば選挙には有利になるかもしれない。とはいえそんな政党ばかりでは駄目だと。相変わらず熱い男である。

国の借金と言えば、近年、貨幣発行権のある国の財政は破綻しないというMMT理論(現代貨幣理論)が持ち出されることが増えてきた。理論は本を買って学んだりしたが、現実社会ではどうなのだろうか。今晩発表されたアメリカの物価指数でも激しいインフレが続いていることが明らかになった。日本が前年比2%の物価高でかなり住民生活に影響が出ているように言われるが、アメリカは8%である。凄い話だ。

今回のインフレは欧米ではコロナ回復からの旺盛な需要に対して供給が追いつかないといった本来のインフレ要因に加えて、ウクライナ侵攻を起因とした原油高等によるコスト上昇を原因とするもの。アメリカのように財政状況が悪くない国で起こっているのでMMT理論とは直接関係はない。しかし、下のリンクにもあるように、貨幣発行権の駆使だけで、国のバランスシートはおろか、金融全体まで簡単にコントロールすることができるだろうかという疑問にいきつく。アメリカのFRBでも予想を超える物価上昇に手を拱いているということ。流れができてしまうとその流れは簡単には止まらない。




夕刻、市立増位中学校。愛護育成会の新旧三役会、その後、同総会が行われる。総会は3年振り。コロナ対策として体育館を使って開催される。


小学校PTA会長として出席。愛護育成会の副会長となったほか、総会の議長も務める。昨年度の決算や新年度の組織体制や活動計画、予算の承認などを行い、総会はちょうど30分で終了。


最後の中学校のN校長先生の挨拶で「いまの中学生は街中でたむろしたり非行が問題になることは少なくなっている。愛護としては善行をみつけたり、良いところを伸ばすといった視点をもつことも大切」という話があった。確かに、私が中学生の頃は、街中でたむろしている生徒はたくさんいたが、いまイオン姫路店の店内等でそんな生徒を見ることはない。駅でたばこを吸っている生徒も、20年前を最後に見たことがない。時代の流れに応じて愛護の役割もかわる。勉強になった。



体育館の壁には昔は懐かしい「エッサッサ」の彫刻版が!!いまの生徒は何のことかわからないでしょうね(笑)。


日体大のエッサッサ演技


昼食は事務所でカップラーメン。3分で完成し、2分で食べた。早食い癖はなかなか直らない。