昨日、県の昨年度2020年度決算の概要が公表された(下記リンク)。今朝の新聞にも一部掲載されている。
「かつての竹内議員blog解説を思い出していました。相変わらず…」。
私も毎年指摘しているかもしれないが、機先を制する、私よりはるかに辛口の指摘(過激過ぎて自粛)が王騎将軍(『キングダム』)から届いたので驚く。
「○年連続黒字」とかの大見出しは県民にも財政が良いと誤解をあたえるので私も駄目出ししてきた。今回はそうではないが、王騎将軍の指摘は、本質をついていないというものだろう。
事実関係に誤りがなくても、誤ったメッセージになるのはいけないという思いは一致する。
例えば、一見して、兵庫県では産業振興に一番多くお金が使われていると見える。県民一人あたりの歳出決算額47万円に占める商工費の金額は12万円弱。一般の方からすれば兵庫県が最も力を入れているのは産業振興なんだと思うだろう。
兵庫県の場合、商工費の多くは制度融資と呼ばれる信用保証協会を通じた中小企業融資の原資、預託金だ。コロナの影響もあり増加しているが、これは貸付金・融資の原資だから基本的には全額返済される。銀行でも民間企業の会計でもそうした融資は貸付金とされ、費用ではなく、会計上は資産に区分される。これは会計の基本だ。
しかも、兵庫県の場合、預託金は毎年年度末で一旦返済、精算されるルールのため、預託金は基本は収支同額となる。この金額をそのまま「費用」のようにするのは制度を知っていれば誤解を招くと考えるだろう。
実際に融資が焦げ付き、貸し倒れなどとなった場合に「費用」は発生するのだが、預託金制度やその貸し倒れ比率からその金額は2桁以上も少ないということだ。この話は過去から何度か取り上げている。一般会計に含まれそのまま公表されているため商工費には注意が必要だ。
また、実質収支が黒字とか意味があるのかという指摘もあった。こうしたことは発表する側として伝えたい意図があり、それを検証、批判して伝えることも必要となる。もちろん今始まったことではない。とはいえ、今こそ変えるべき時だと思っているのだろう。
こうした決算を含む公会計を何年も業務として扱ってきた人って公務員でもそう多くはいない。特殊な会計。外部の人なら全容や意味を習得するのはすぐにはできないだろう。私もデータをアップデータしたり、資金の動きをチェックするなど常に意識して勉強している。
一定の国家資格をもっていたとしても公表されている決算やその附属書類をみて、解説なくわかるものだろうか。有資格者の適正意見がついている財務諸表にも明らかに問題があるものがあり、これまでも議会で指摘したことがある。簡単ではないということだ。
いずれにしろ、本題は、公会計に詳しい方が見てもわからないから財政調整基金の積み上げができると判断したのか。それとも本当に大幅な歳出削減をして、公表されている要調整額のほか、債権債務を相殺してもなおそうしたことが実現できると思っているのか。肝はここだが、私にはまだわからない。
そうそう、王騎将軍は竹内自身ではないのかと驚くような指摘をした軍師 河了貂からも連絡あり。「日記を読んだが、今も王騎将軍だと思っている。理想主義者だから」と。私が理想主義者なんて初めて聞いた(笑)。困ったな…。