平成19年度から開始された全国学力調査により、
家庭の所得水準と学力水準・達成学歴との間に
一定の相関があることが明らかになりました。
ただ、これは明示的に示されるようになったというだけで、
すでにプルデューが1973年には、家庭の文化資本というアプローチで、
フランス児童の学力を説明していますし、教育社会学では1990年代頃からはすでに
通説になっています。
そして、
「所得が高いと学歴獲得に有利。
すると、次世代も同様に、
所得水準の高い家庭の子どもが高い学歴を獲得することになり、格差が再生産される。
不平等である。
教育の機会均等は極力広く保障されるべき。」
という結論になり、こういう観点からは、塾通いが必要な中学受験というものは、
当然にして批判の対象になります。
しかし、学習機会を完全に均等に保障すれば、
より望ましい状態になるかというと、恐らくむしろひどい社会になるでしょう。
学力水準には、遺伝的要素も相当に関係しており、やはり”できる子はできる”、ということで、
所得と学力水準の相関は結局残るでしょう。
中学受験批判というのは時折なされますが、冷静に受け止めるべきと思います。
子どもの学力水準決定において、確かに、家庭教育が大きな説明要因になります。
その意味で、家庭の文化資本形成に積極的になることが望ましいと言えますが、
中学受験の家庭層の間の文化資本の違いは微々たるものです。
(日本全体という単位ならば、文化資本の違いが説明要因にはなりますし、
途上国では確かに劣悪な環境におかれているケースが多々ありますので、
そういう場合は、家庭の文化資本の違いが大きいです)
むしろ、遺伝的要因という方が無視できません。
学習時間にしても、「もともと勉強ができる。だから、勉強が苦にならない。だから、学習時間が長い。」
という因果関係が存在します。双生児などの観察から示される行動遺伝学の知見によれば、
遺伝的要因は一般に思われているよりも強いものです。
とりわけ中学受験の場合は、”子どもの成績はすべて母親の責任”と決めつけられがちです。
そして、子どもの成績が今一つだと、母親が苦悩し、様々苦しい中で手を尽くす、ということになります。
しかし、目先の成績は、遺伝的にどうにもならない部分もあります。
優秀な形質をもっていても、それが発現していないだけ、という可能性もあります。
高学歴の親から学力の高い子が生まれる、というのも一定の関係性があるにとどまる話で、
相当数の例外があります。
家庭が様々に努力され、家庭文化資本の蓄積に臨まれるのは当然望ましいことですが、
それだけで学力水準が決定される訳でもない、という理解も必要だと思います。
確かにママさんが見事にサポートしているご家庭というのもあるように見えるかもしれませんが、
サポートしていなくても、そのお子さんは成績がいいかもしれないのです。
ニュートンは幼少期は成績不振児だったらしいですし、
貧しい家の出身で何の家庭の支援もない中から功を遂げたという話も枚挙にいとまがありません。
ですから、中学受験ママさん方は、ある程度の工夫は必要だとしても、
あまりに思い詰めるべきではないと思います。
中学受験パパさん方やグランパ・グランマの方々は、
子どもの成績のことでママさんを問い詰めるということは避け、
暖かく見守る、優しい声をかける、苦労を労わる、何か手伝う、
ということの方がいいと思います。
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