日本の義務教育制度は、基本的に単線型である。
戦前は複線型だったが、戦後、単線型に改められた。
つまり、公立小・中学校は、どこの学校でも同様の内容を扱う。
複線型の国というと、ドイツがその代表である。
10歳から、ギムナジウム、実科学校、基幹学校に分かれる。
成績上位者がギムナジウム、成績中位者が実科学校、成績低位者が基幹学校に進学する。
ヨーロッパの他国はドイツほど明確ではないが、幾分、社会階級というものがあり、
上層階級は上層階級用の学校に、中層階級は中層階級用の学校に通うという伝統の
名残がある。
成績によって生徒を分けて、教育を行った方が、非効率が少ないだろうと予想されるが、
実際には、そうした複線型の教育システムが国家全体という単位でみると、
必ずしも成功しているとは言えない。
確かにエリート養成には適していることは恐らく間違いないが、社会全体で考えた場合、
上位層、中位層、下位層、というように早い段階から分断して教育を行うと、デメリットが目立ってくる。
実際、ドイツは下位層だけを集めてそれに適した教育を行っているが、低学力の問題が
深刻である。もちろん、ドイツの場合は移民の多さという特殊性はあるが、移民を含めた
低学力層をまとめて集めて効率的に教育を行ったとしても、学力向上は容易ではなく、
学校の荒れという大問題の克服も容易ではない。
小学校・中学校の段階では、下位層だけ集めるよりも、上位層も混ぜて教育を行った方が、
下位層が上位層に刺激されて、全体として活性化する。能力や出自に関わらず、
全員が平等であり、力を合わせて何かを作り上げていく、という経験が、
社会全体の底上げを促す。
早い時期から階層を分断する教育システムは、下位層の活力を奪い、少年犯罪や麻薬、貧困の
温床を生みだす可能性が高い。
高校・大学の段階では、下位層と上位層を混ぜることによる効果はあまり大きくなく、
分けて効率的な教育を行うことの効果の方が大きいと推測される。
そうした観点に立つと、現在での日本の基本的には単線型の教育システムは、支持されるべきと
考えられる。あまりに同質的というデメリットは残るが、同質的故に社会的な安定がもたらされ、
高いレベルのインフラが維持されているというメリットも無視されるべきではない。
現在のように、住民同士が協力し合い、子育てをする、学校を支える、という仕組みが、
これほどの水準で、ほぼ全国くまなく維持されている国は、希有でさえある。
もし複線型への移行を議論するならば、現状の単線型によるメリットを十分に評価することが
大前提となる。
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