三和 導代 です。
昨今のコロナ禍の中、25年という年月のお付き合いの旅のお客様も、ずっと日本で我慢の子。会社と無縁となり自宅に届く年賀状は、心に響くものです。その中での1通の年賀状はもう15年ほど前に一緒に旅した時の懐かしい写真が写っていました。
この方は何と卒寿を迎えられましたが、まだまだ足腰はしっかりされて、記憶力や向学心の衰えは全く感じさせない男性です。様々な旅をご一緒させていただきましたが、この方が今でも再訪したいとずっとっ心待ちさえている場所。その写真は丑年に因んで新石器時代の牛の岩絵です。
サハラ砂漠が広がるアルジェリアのジャバレン、何時間のかけて崖の山を登り、月面の世界のような大地をひたすら歩き、ロバがテントや食料を運ぶハードな行程の後に見つけた1枚の岩絵、その写真でした。6000年前遊牧民が描いたと現地ガイドの説明。この時代はサハラが森や草原に覆われていた時代です。アルジェリア・タッシリ山脈には、8000年前の狩猟民が描いた野生動物の岩絵も沢山残っているのです。
死ぬ前にもう一度どうしても行きたいという熱烈な願望がありながら10年近い年月が経過しました。治安上この地を再訪することが不可能となっていたからです。私のこれまでの旅の中では最も強烈な印象が残っているのがこの旅でした。そんな過去の写真が年賀状で送られてくるとは思ってもみませんでした。
今も再訪を願い、農作業とウオーキングが日課です。畑まで6㎞、最近電動アシストを購入しました。と締めくくられていました。素晴らしい気丈さだと思いませんか。決して諦めない、そして精進の日々を送られているのです。あの感動のシーンをもう一度、先人に学んだ感動の1通の年賀状でした。