三和 導代 です。
11月21日から江戸東京都博物館にて古代エジプト展が始まりました。ベルリン博物館はネフェルティティ王妃の胸像があることで有名です。今回は130点余りの古代エジプトの遺品が展示されています。今回のテーマは「天地創造の神話」です。
日本にも「古事記」「日本書記」などの天地創造の神話がありますが、エジプトにも「ヘルモポリス神話」「ヘリオポリス神話」「メンフィス神話」などがあります。
古代エジプトではこの世界の始まりは、暗闇の中にある混沌とした海のヌンでした。この海から、この世界が創造されたとする古代エジプト人の考え方は、この地球が海から生命が誕生したという考え方と同じです。水はエジプトにとっては欠かすことができない天の恵みでした。ナイル川の雨期の氾濫により肥沃な大地となり豊穣な国土を生み出しました。
混沌とした暗闇の海ヌンから天地が創造された後も、創造神のアトゥムが自力で出現して天地が創造されたとするヘリオポリスの他にも、ヌンの大海に浮かぶ一本のロータスから世界が創造されたとするヘルモポリスの神話もあります。
エジプトのナイル川中流の町「デンデラ」にあるデンデラ神殿の第一列室にある天井には、素晴らしい保存状態で見事な創造神話に登場する多様な神々が残っており、首が痛くなるほど何度も眺めた経験があります。遺跡では八百万の神々の他ファラオの代理でもある様々な動物神などの多種多様な神々が登場します。
その中で私が一番気になるのがセクメト女神です。上野の国立博物館にも現在2体(太陽円盤は頭に載せてはいませんが。)展示されています。セクメト女神はライオンの頭を持つ女性として尊厳の印として太陽円盤と聖蛇を載せ、左手にはアンク(生命の象徴)を持っています。アメンホテップ3世が年老いて病気になった時に健康と寿命を延ばす癒しの女神でもあり、戦いの女神という2面性を持ち合わせています。セクメト女神はアメンホテップ3世により紀元前14世紀に約600体が制作されました。この女神の胸を見ますと、太陽紋である16条菊型紋が描かれているものもあります。
また今回初めて見ましたがセクメト女神の息子「マヘス」の神で、ライオンの顔を持つ男性の神で、「大虐殺の主」の形容詞で表現されるほどの強い戦いの神でした。戦時にはこの神も一緒に兵士と共に出征し、相手を威嚇し戦勝に導く神でした。
その反面、ホルス神に授乳するイシス女神の心打たれる母性には心温まるほっとする像もあります。また冥界の支配者オシリス神の息子であるホルス神は、日中、天空を横切る太陽神ラーの象徴でもありますが、純金のハヤブサの姿には大変威厳があります。
3D画像の映像を駆使した説明も初めての人にわかりやすく、素晴らしい出来上がりとなっています。