三和 導代 です。
一昨日、ナショナルジオグラフィックの記事が目に入りました。私が数年前にアマゾンで滞在した少数民族であるヤノマミに関する記事でした。もちろん同じ村の記事ではありませんでした。
ヤノマミ族はアマゾン、ベネズエラとブラジルの間に住む孤立した少数民族です。髪の毛は黒くストレート、小柄で、集団の共同体の集落の1つの屋根の下に住んでします。家族と家族との境は全くなく、テーブルもベッドもありません。それを代用するのがハンモックです。一家族には火を焚く場所がありますので、その数で家族数がわかります。
基本的には川に魚を捕りに行くのは女性、狩猟するのは男性です。こんな全くプライベートのない人々の生活は現代人にとっては想像を絶するものです。年間を通して湿度は高く、いろいろな虫がいますので、これまた大変です。私など帰国後1年間、この得体のしれない虫が体の中に住みつき大変な思いをしましたが、一生忘れがたい旅となりました。
さて私が訪問したのはベネゼエラの大統領選挙の前の時期でした。ですから混迷するベネズエラの一歩手前の時代です。一般市民でも食べていけない国となってしまった政治争いの中でこのヤノマミ族は一体どんな生活をしているかはずっと気になっていました。
そして7月11日付のナショナルジオグラフィックの記事にはかつては支配者にそして現在は新型コロナの驚異に直面しているという。アメリカインディアンなどもそうですが、先住民族で隔離されている少数民族にとって、外部からの病原菌は命取り、全滅に至ることもしばしばです。
インド領のアンダマン諸島に先住民族に対しても徹底的な外部からの接触を避けるようにインド政府は厳しく入域を制限しています。それは先住民から病気感染で全滅することから守るための政策です。入境を禁止されている地域にアメリカ人の旅行者が島に入る際に現地の人々により矢を射られ死亡した事件が2年前に起こっていますが、これはルールを守らなかった旅行者に問題があったかと思います。
そしてイン型コロナの影響がヤノマミ族に大きな問題を投げかけているという現状に心を痛めています。全くプライベイトがない空間で生活していますので、一人が感染しましたら、共同体全土に広がることは必至です。
世界各国には絶滅の危機に瀕した先住民や少数民族がいます。それぞれの歴史と文化を引き継いた人々が地球上から消え去ることは人類の損失であります。マジョリティがマイノリティを征服することは許されがたいことだと思います。しかしこの奇妙な人工的な病魔により民族が絶滅の危機に瀕していることも許されがたい現実です。