NHK交響楽団第2035回定期公演 Bプログラム1日目(サントリーホール)

 

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

ピアノ:ベンジャミン・グローヴナー(ブリテン)

ピアノ:松田華音(ストラヴィンスキー)

 

ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ペトルーシカ」(全曲/1947年版)

ブリテン/ピアノ協奏曲 作品13

プロコフィエフ/交響組曲「3つのオレンジへの恋」作品33bis

 

パーヴォ・ヤルヴィ2年ぶりのN響定期、B定期は上記のプログラム。なかなか通好みで、オーケストラにとっては重そうなプログラムではある。

 

前半は1947年版のペトルーシカ。1911年版が4管編成なのに対し、こちらは3管編成に縮小されているため、少し乾いていて室内楽的な印象がある。私が最初に買ったレコードがコリン・ディヴィス指揮コンセルトヘボウ管、1947年版だったのだが、のちに1911年版を聴いて1911年版の方が個人的に好みであることがわかった。

パーヴォの指揮は造形がしっかりしておりかなり硬めの印象に仕上がっている。指揮台の前に蓋を外したピアノが置かれていて、そのピアノを弾いたのはロシア音楽を得意とする松田華音。オーケストラに埋もれてピアノの音はあまり聞こえなかったのはもったいないが、この曲ではまあ致し方あるまい。

 

後半、最初はブリテンのピアノ協奏曲。10年前にキット・アームストロングのピアノ、秋山和慶指揮東響で聴いたことがあるが、あまり印象に残る曲ではないのでNMLで何度か予習して臨んだ。ブリテンにしてはあまり強い印象を与える曲ではないのだが、聴くほどに味が出てくる佳作である。

今回ピアノを弾いたのは英国のピアニスト、ベンジャミン・グローヴナー。2010年に飯森範親指揮東響でリストの1番を聴いたのだが、そのときグローブナーはまだ高校生だった。今回のブリテン、非常に音に重みがありピアノの鳴りがよく、そしてしっとりとした潤いも感じられるものであった。オーケストラも管楽器を中心にいい音で鳴っている。

 

最後に演奏されたのは3つのオレンジへの恋。この曲が始まる時点で20時45分だった。先日A定期で演奏された交響曲第4番などと違って、この曲はまさにプロコフィエフらしい華やかで大衆受けする音楽だ。パーヴォは堅固な造形の中にもオーケストラを開放的に鳴らして演奏効果を高めていた。

 

パーヴォの2年ぶりのN響復帰、今回のB定期を聴いて首席指揮者時代の音を思い出してきた。水準は高いが、どこか冷めているというか突出した感動がない…

 

オーケストラは協奏曲14型、他は16型通常配置。ホルン首席は東響上間氏、オーボエ首席は契約団員の中村周平氏。意外に長めの演奏会で21時5分頃終演であった。

 

総合評価:★★★☆☆