読売日本交響楽団第642回定期演奏会を、サントリーホールにて。
指揮=セバスティアン・ヴァイグレ
ヴァイオリン=クリスティアン・テツラフ
伊福部昭:舞踊曲「サロメ」から"7つのヴェールの踊り"
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
(ソリスト・アンコール)
J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番~”ラルゴ”
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 作品27
一見何気ないプログラムながら、終わってみると21時半近いという、非常に長い演奏会であった。
最初に演奏された「7つのヴェールの踊り」、R・シュトラウスのオペラの中の音楽が非常に有名だが、伊福部昭の本作品はもともとバレエのために書かれた作品で、こういう描き方もあるんだな、と納得させられる音楽である。冒頭のエキゾチックで妖艶な雰囲気に始まり、徐々に盛り上がって最後は伊福部節全開、ゴジラっぽく激しいリズムで盛り上がるという曲。
ブラームスのソロを弾いたのはドイツの名ヴァイオリニスト、クリスティアン・テツラフ。著名ヴァイオリニストには珍しく、現代のヴァイオリン製作者であるペーター・グライナーの楽器を使用している。テツラフが弾くブラームスの協奏曲は、2006年にブロムシュテット指揮N響、2009年にノット指揮バンベルク響で聴いたことがあるのだが、少なくとも2009年の演奏は今回同様、攻撃的だったようだ。
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おそらくその頃に比べるとさらにアグレッシブで情熱的になっているような気がする。音色は決して美音ではなく、時として音はかすれるし、暗め。やや線が細く聞こえたのは、今回の私の座席(RC)のせいかもしれない。それにしても、これだけ推進力があり、リスクを恐れないタイプの演奏をするヴァイオリニストは、日本人にはいないと思う。猛烈に速い第3楽章では実際危ない箇所もありひやりとする。しかし、そうしたスリリングなところもテツラフの魅力の一部である。まあ、個人的には美音でゆったりとしたブラームスが好みではあるが…
後半はラフマニノフの2番。
非常に旋律線が明確で骨太の表現であり、フォルムがしっかりとした佳演であったといえよう。この曲、下手な指揮者がやると、何をやっているかわからない瞬間があるものなのだが。フォルムがしっかりしている反面、大きなうねりとか、第3楽章のセンティメンタルな側面や、終楽章の高揚感といったものはそれほど感じられない。こういうアプローチはいかにも旧東ドイツ出身の指揮者らしいといえばらしいところだ。第1楽章の最後のE音は多くの指揮者の慣例通り、譜面にないティンパニを重ねていた。
ラフマニノフの2番、実演では、2018年のノット指揮東響を超える演奏はなかなかない。
弦は協奏曲が14型、他は16型。コンミスは日下紗矢子。
総合評価:★★★☆☆



