NHK交響楽団第1994回 定期公演 Bプログラム1日目を、サントリーホールにて。

 

指揮:尾高忠明

ピアノ:レイフ・オヴェ・アンスネス

 

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73 「皇帝」

(アンコール)ブラームス/7つの幻想曲作品116〜第6曲 間奏曲ホ長調

ブラームス/交響曲 第3番 ヘ長調 作品90

 

10月定期、巨匠ヘルベルト・ブロムシュテットが振る予定だったが、直前のドクターストップにより降板、B定期の代役は尾高忠明氏となった。曲目は変更なし。ブロムシュテットとアンスネスの共演はぜひ聴きたかった…

 

前半は、前々日に素晴らしいリサイタルを聴かせてくれたアンスネスによる「皇帝」。

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アンスネスは、2015年に東京オペラシティコンサートホールでベートーヴェンの協奏曲全曲弾き振りをやったことがあり、それも忘れがたい名演だった。

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アンスネスの皇帝はきわめてオーソドックスで自然な流れの演奏で、格調高い雰囲気はまさにこの曲にふさわしいものである。尾高が振る14型オーケストラ、ピアノとのバランスもよくいいサポートだ。

アンスネスのアンコールは、前々日のリサイタルで弾いた幻想曲集のなかの1曲。ビターテイストのなかにもほのかな甘みが見え隠れするこの曲を実に味わい深く表現していた。

 

後半はブラームスの3番。これはブロムシュテットで聴きたかった…3番はブロムシュテットにめちゃくちゃ合っている曲だと思うのだ。前回は2013年の定期。もう、ブロムシュテットのブラームス3番を実演で聴けることはあるまい…

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さて尾高の指揮、いつもながらとても端正で折り目正しい演奏であり、それゆえ、ドイツの正統派巨匠に演奏に聴くことができるような、うねりがないのである。響きはすっきりとしていて、ある意味淡泊だ。

カラヤン指揮ベルリン・フィルを聴いて育った自分としては、カラヤンの演奏における、第1楽章中間部のあのうねりながら疾走する感覚が忘れられないのだが…ちなみに、例えばフルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルも全くアプローチが違うけれどしっかりと音楽にうねりがある。

今回の演奏、もう少しコントラバスがブンブン鳴ってくれたらよかったのだが。第3楽章などにおける木管群の響きが美しい。16型。

 

ブラームスの最中、2階センターか1階センター後方で、始終あめ玉をむくような音がかすかに聞こえていたのだが、いったい何をしていたのだろうか?

B定期では毎回そうだったかもしれないが、後半のブラームスが終わると、拍手もそこそこにさっさと退場する人が驚くほど多かった。ゲオルク・ショルティが自伝で書いていたか、ドキュメンタリーで語っていたか忘れたが、シカゴ響でシェーンベルクか何かをやったとき、音楽が終わるやそそくさと帰って行く聴衆がたくさんいたのを見て「火事だ!火事だ!」と揶揄していたのを思い出す。

 

総合評価:★★★☆☆