NHK音楽祭2019、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団演奏会をNHKホールにて。

 

指揮:セミョーン・ビシュコフ

ヴァイオリン:樫本大進

 

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35

(アンコール)バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番~第3楽章サラバンド

チャイコフスキー:交響曲「マンフレッド」作品58

 

セミョーン・ビシュコフという名前が我々音楽ファンの間で有名になったのは、カラヤン時代のベルリン・フィルを振ってショスタコーヴィチの交響曲第5番を録音して以来だったと思う。1986年の録音だったから、当時まだ34歳の若さだったはずだ。

そのビシュコフも今や66歳、パリ管の音楽監督などを歴任し、2018年から名門チェコ・フィルの音楽監督を務めるマエストロである。今年の夏にはバイロイト音楽祭で「パルシファル」を振っている。

 

前半はベルリン・フィルのコンサートマスター樫本大進がソロを務めるチャイコン。

開演前にシャンパンを飲んだのが災いし、どっと疲れが出て眠くなってしまい、あまり細部まで覚えていないのが残念。やってしまった…

樫本さんのヴァイオリンが非常にかっちりとまとまっていていかにもベルリン・フィルのコンマスらしいさばき方。オーケストラとの調和が優先されていて、あまり「対決!」という感じの演奏ではなかった。

14型オーケストラ、ヴァイオリンは両翼対向配置ながら、コントラバスはステージの最後列横一列に並ぶスタイル。前々回の来日公演(ビエロフラーヴェク指揮)のときもこのスタイルだった。

 

後半のマンフレッド。1時間の大曲だ。チャイコフスキーの6つの交響曲とは別に存在する交響曲で、正直自分は苦手な曲である。今までに実演でも何回か聴いているが、一番よかったのは2011年のN響定期、ヴァシリー・ペトレンコの指揮の演奏だった。

https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-10763895821.html

今回のビシュコフの演奏も、そのヴァシリー・ペトレンコを聴いたときほどの感激はなかったとはいえ、なかなか見事な演奏であった。ビシュコフが音楽監督になり、チェコ・フィルの音色はかつての素朴でやや土臭いイメージから変わり、一段と洗練されたようである。

第1楽章の弦の音色、かつてから言われる通りのいぶし銀を維持しつつ、とても艶っぽく濃厚な音色に仕上がっていたのに驚き。管楽器もかなりレベルが高くなってきているようだ。

とはいえ、やはりこの曲が面白いかと言えば…そこまでではないというのが本音。ビシュコフは2015年にこの曲をチェコ・フィルと録音しているので(チャイコフスキー交響曲全集の一環)、それなりに手中には収めているのかもしれないのだが。

後半は16型、コントラバスがステージ最後列にいるので、NHKホールだと低音があまりずんずん聞こえてこないというデメリットはある。

 

総合評価:★★★☆☆