牛橛造像記を現代の書に活かそう | 書法家 武田双鳳の「そうほう録」

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「書で人生を豊かにする」をテーマに、日々のオモシロさを探求する書法家・武田双鳳の日記



今週の稽古のテーマの一つは、「牛橛造像記(ぎゅうけつぞうぞうき)」の活かし方。

北魏楷書の中でも「方勢」の典型といわれ、筆力を強めるのに、もってこいのテキストです。

また、よく目にする楷書体とは異なる粗々しさ(疎密の激しさなど)があるため、臨書をすることで、新しい書風を習得することもできます。

さらに、「力士が蹲踞の姿を、また、四股をふみ、せりあげる姿を想起させる」と言われるように(井垣北城「書法技法講座⑨龍門造像記」二玄社)、

低い重心で安定感がありつつ、力強い躍動感がある書きぶりから、当時の人々の身体性(足腰の粘り強さなど)もイメージでき、姿勢改善のキッカケにもなるでしょう。

講義では、唐代楷書の中でも、しなやかな書風の褚遂良の書風と比較しましたが、

張猛龍碑や九成宮醴泉銘と比べての「粗削りっぷり」を味わってみるのもいいでしょう。



牛橛造像記の「和」「楽」の臨書。

その全力で刻まれた一点一画から、亡き息子への母の思いが伝わってくるようで、時代を超える書の力、おぼろげながら感じました。