ガチガチの昭和世代である私が、平成生まれの20代と会話をしていると、時々噛み合わない時がある。
保育園で若い女性保育士と話をした時のことだった。
私が「○○ちゃんのおしめを…」と言ったら、「おしめ?」と不思議な顔をされたのだ。今では「オムツ」というのが一般的で、布の「おしめ」をしていた時代を知らないのである。つい無意識に言ってしまった…。
私が「父兄のお迎えが…」と言ったら、「保護者のことですか?」と言われた。そうだった…今ではそう言うんだった。そう言えば自分が子どもの頃、今で言う授業参観日を「母親しか来ないのになぜ父兄参観日と言うのだろう?」と疑問に思ったものだ。
サウスポーの子を見て「へぇ~、ぎっちょなんだ」と言ったら、「なんですか、それ?」と言われた。死語である前に、そもそも差別用語になっているので、街中でうかつに言わないようにせねば。
私が転倒して脚に大怪我を負い出血した時だった。それを見て「早く消毒しないと!絆創膏はどこ?」と大騒ぎされていたのを尻目に、「こんなもん、ツバつけとけば治る」と言って、自分でツバを吐きかけていたら、引かれてしまった…。子どもの頃からいつもこうしてたんだけど、今じゃ不衛生極まりないそうだ。「やっぱり昭和ですね」と冷めた目をされた…。
世代間認識によるこんな勘違いもあった。
保育園でカブトムシを飼っていた時に、昆虫好きの保護者の一人が日本には生息していないヘラクレスオオカブトを寄贈してくれた。生きている状態を生で見るのは初めてだったので、私はすごく興奮したものだ。
その様子を見ていた若い女性保育士が「そんなに珍しいものなのか?」と不思議そうな顔をしていた。まぁ、女の子じゃ昆虫に詳しくないのは仕方あるまい。だから説明してやった。
「こんなの普通に飼うとしたらアマゾンでないと無理だろうね」
「アマゾンでないと入手できないんですか?」
「日本にはいないからね」
「いくらぐらいですか? 5千円くらいかなぁ」
「アマゾンだと(行くだけで)何十万もかかるんじゃないか?」
「虫一匹にそんなにかかるんですかぁ?」
途中から、なんか話が噛み合わないと思った。
すると、私と保育士の会話をそばで聞いていた別のアラフォーパート保育士が突然笑い出した。「まるでアンジャッシュのコントみたいだ」と。というのも、私ら二人が「アマゾン違い」をしていたことに気づいたからだ。しかも「飼う」と「買う」も勘違いしていた。
私は「南アメリカのアマゾンに行かないと普通に飼えない」という意味で言ったのだが、若い保育士は「昆虫もネットのアマゾンで買える」と解釈していたのである。
平成生まれにとってのアマゾンとは通販でしかないのだ。私にしても生きた昆虫をネット通販で買うという認識がまるでなかった。
世代間ギャップは他にもある。
保育士が「推しのイベントに行く」というので、どんなタレントなのかを聞いてみた。だが、聞いたことのない名前だった。なぜなら、推しはユーチューバーだったからだ。芸能人じゃないんかい!…うちら世代には分からんはずだよ…。
[編集後記]
アンジャッシュのすれ違いコントは傑作なのだが、これからは知らない若者が多数を占めるんだろうなぁ。名作ばかりなのに…。