ブラック企業「懲りない暴力社長」 |  ライター稼業オフレコトーク

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アイドル記者を皮切りに、心霊関連、医療関連、サプリ関連、
コスメ関連、学校関連、アダルト関連、体験取材など様々な
分野の取材執筆をしてきました。
ここでは当時の面白かった話や貴重な情報、取材で思ったこと、
記事にできなかった裏話などを披露していきます。

 駅を歩いている時のこと。遠くで誰かがの名を呼びながら駆け寄ってくる。容貌からなんとなく服を着た「とにかく明るい安村」に似ていた。だが、そのような人物に知り合いはいない。

 が、近づいてきてハッキリ分かった。彼は私が出入りしている化粧品メーカーの経理部にいた中堅職員のH君だった。

 

 H君は1ヶ月前に誰もが知っている大手タクシー会社に転職したばかり。丸い体型は変わらないが、髪を短くしていたので分からなかったのだ。っていうか、短髪にすると安村に似ているんだということを初めて知った。

 

 

 は開口一番髪のことを聞いた。

「なんだよ、その頭は!」

「やっぱり? 絶対つっこまれると思いましたよ」

 それまでのH君は長年長髪だったからだ。

「実は、タクシー会社の運転手たちは皆短髪なんですよ」

 確かに、言われてみるとそうだ。特に個人ではなく大手だとなおさらだ。だが、経理は客と接するわけではないから短髪にする必要はないと思われる。しかし、転職前の面接の際に総務の長から、“ドライバーたちは皆短いので、経理といえども短髪が好ましい”的なニュアンスで圧力をかけられたのだという。口調は優しかったが、逆らえない無言の圧力がそこにはあったらしい

 

 

 さて、そのH君は中小から大手への見事な転職成功組と言われた。ボーナスが年4回支給され、年収は100万アップしたという。しかも、経理担当者は複数いるので仕事も楽になり、周りの社員は女性ばかり。こんな転職成功者は滅多にいないと誰もが羨んだものだ。

 

 

 だが、1年後にH君と会った時、その変貌ぶりに驚いた。げっそりとやせ細っていたからだ。安村が痩せた姿を想像して欲しい。どれだけ激変したかが分かると思う。しかも自ら天国だったと言っていた会社を辞め、適応障害で通院している身だった。

 

 会社で何があったのかを聞いてみた。

「とんでもないブラック企業でした。初めは社内の雰囲気も良かったんですが、それは社長が不在だったからなんです。しばらくアメリカに滞在していて、帰国した途端に地獄が始まりました。毎日酷い罵倒を受け続け、ついに神経をやられてしまったんです。

 

 今思えば面接の時におかしいと思える雰囲気がありました。社内の壁にいくつも穴が開いていたりしていたからです。それは社長が物を投げて開けたのか、罵倒された社員が怒りで蹴破ったものらしかったのです」

 

 話を聞く限りではとんでもない会社だ。だが、誰もが知っている大手だし給与の面で待遇がいいから社員は辞めないらしい。

 

 いったいどんな会社なのかを調べてみたら、社長は朝日新聞や週刊新潮などに報じられるほど数々の刑事事件を起こしていたことが分かった。H君は暴力こそ振るわれなかったが、運転手は被害を受けていた。H君の給与は良かったというが、運転手からは未払い賃金を求めて訴訟を起こされていた。

 記事を読む限り社長は横暴なヤクザといった感じ。とても経営者とは思えない。それを知らずに浮かれて転職してしまったH君は不幸としか言いようがない。

 

 有名な会社だからと言って油断はならない。入社・転職の際は社長が刑事事件を起こしていないかどうかを調べた方が良い。

 

[編集後記]

 とにかく足癖が悪いらしい。蹴って蹴って蹴りまくる。その方が相手に威圧感を与え、屈辱感も与えられるからだろう。壁に空いた穴は社長が蹴ったものではないかと推測する。

 

 創業者は名物オーナーということで有名だったらしいが、2代目が会社の信用を傷つけてしまうのはどこかの車屋さんと似ている。