30代:
【第六感は自分を救う啓示】
私は霊への危機管理として“虫の知らせ”という第六感を重視しています。それを確信したのは、母が亡くなった時でした。
当時、私はまだ35歳で、母は重い病を患い長きにわたり入院生活を送っていました。医師からは「もう長くない」と言われ覚悟はしていたのですが、それは突然やってきました。
午後、家の中でワイドショーを観ながらくつろいでいた時、突然気持ち悪くなってきたのです。なんとも言えない不快な空気に包まれたようで、吐き気さえ催してきました。昼食があたったとは考えられません。お腹が痛いわけではないからです。とにかく頭が重くなってきて、そのまま意識を失いそうな感じでした。
トゥルルルル……
突然、家の電話が鳴り、私は意識を取り戻しました。それと同時に消えた、不快な気分。
私「もしもし」
電話の相手は病院からでした。
電話の声「お母さまがお亡くなりになりました」
声にならず、ただただあふれ出る涙。
さっきまでの気持ち悪さは“虫の知らせ”だったのでしょうか。それとも母の霊魂が一人娘だった私のところに飛んできたのでしょうか。どちらにしても私に良くないことが起こったと、その時なにかが教えてくれたことは間違いありません。
母が守護霊になって私を守ってくれたという大きな事例があります。
街中の歩道を歩いている時でした。後ろから「美由紀……」と、私の名前を呼ぶ母に似た声が微かに聞こえたような気がしたのです。
「ん?」
そのため一瞬立ち止まったのですが、すると突然目の前に何かが落ちてきたのです。
カキィーン!
足元から大きく鋭い音が鳴り響いてきました。見ると、そこにはナットが転がっているではありませんか。すぐ横は工事現場。その上から落ちてきたのです。青くなり背筋が凍りました。もし、直撃されたら怪我をすること間違いありません。恐怖から怒りに変わり、作業員に文句を言おうとした時でした。
キキキィー! ガシャーン!
近くの交差点で車同士の衝突事故があり、一台が弾みで歩道に乗り上げ私の目の前を通り過ぎたのです。
もし、ナットが落ちて一時的に立ち止まらなければ、私はそのまま進み、確実に車に撥ねられていました。落下したナットによる怪我よりも、生死に関わる事故に巻き込まれていたかもしれないのです。
あの時に聞こえた母のように思えた声は、紛れもなく天からの母の声だったと信じています。
その後も街中で不意にいやな気持ちに襲われることが度々あります。そのような時は目的を中止して家に帰ります。乗りたい電車があっても見送ります。旅行を直前にキャンセルしたこともありました。ちょっと神経質すぎるきらいはあるかもしれませんが、第六感を大切にしたおかげで今も酷い目には遭っていません。
それを考えると霊感も悪いことばかりではないのかもしれませんね。霊に向き合っていけるほど強い意志はありませんが、備わってしまったものはどうにもならないので、これからも上手くつき合っていこうと思っています。