身近にあるミステリー体験・6『覚えたての気功で人助け』 |  ライター稼業オフレコトーク

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アイドル記者を皮切りに、心霊関連、医療関連、サプリ関連、
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分野の取材執筆をしてきました。
ここでは当時の面白かった話や貴重な情報、取材で思ったこと、
記事にできなかった裏話などを披露していきます。

 1週間の修行で手から氣を出せるようになった私は、帰京後、家族や友人に両手をかざして氣を試してみた。

「すごいすごい。なにか温かい空気の塊みたいなものが、押しつけられている感じが確かにする」

 みんな驚いていた。

 自分自身でも両方の手を左右のこめかみにかざし、温かい空気の塊を感じながら「出てる出てる」とほくそ笑んでいたものだ。

 では、山本先生のように人を助けることはできるのだろうか? まず無理だろう。1週間程度の修行で微弱にしか出ない人間に本格的な治療は無理だ。実際、脚が痛いという母親に長い間試してみたが改善はされなかった。だが……

 ある日、カラオケにいた時のこと。トイレに行くため部屋を出たところ、途中の一室のドアが開いており中が騒がしかった。覗いてみると十代の女の子が倒れて激しく咳きこんでいる。荒い息づかいからして、過呼吸か喘息の発作と思われた。

 私は咄嗟にそこに駆け寄り、彼女の胸に両手をかざした。自分の手からしっかり氣が出ているのがわかる。これならいけると思いしばらく浴びせていくと、彼女の発作は収まっていった。

 

 

「この程度なら俺でもできるんだ」

 その時はちょっとした自信が湧いた。やっぱり気功はすごいと思い、これを人助けに使えるかなとも考えた。

 しかし、そのような機会はなかなか巡り合えないし、毎日修行する時間もない。さらに、肉を食べるわ、接待でキャバクラに行くわ、徹夜作業で不規則な生活をするわで、ついには氣の出方が弱くなってしまった。今ではせいぜい気持ちが弱っている人の額に氣を浴びせて、リラックスさせてあげることしかできない。

 

 それでも微弱とはいえ、素人でも気功ができることはすごいのかなと思っている。

 一時は気功師の道も考えた。だが、やっぱり自分にはライター業が合っていると実感している。

 

[編集後記]

 倒れている人を見かけたら、当時は気功を使ったかもしれないが、今はAEDを探す。