身近にあるミステリー体験・1『自殺が多いホームと踏切』 |  ライター稼業オフレコトーク

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記事にできなかった裏話などを披露していきます。

路線事故の多発は呪いのせい?

 

 1997年、JR中央線で自殺による人身事故が多発した。その前にもたびたび起きていたが、この年が最も多発したため、テレビ・新聞・雑誌等の各種メディアが取り上げて話題となった。とりわけ自殺者が多かったため、呪われた路線という噂が飛び交ったものである。

 

 

 ホームからの飛び込み自殺は阿佐ヶ谷・荻窪・西荻窪・吉祥寺・国立が多く、自殺する理由が明確でないものもあったため、心に悩みを持つ人間を衝動的に死に駆り立てる呪いがあるのではないかとまで言われていた。悪霊や怨念の籠った霊魂は、弱った心の隙をついて招くことがあるからだ。それが連鎖して起きたのがこの年だったのである。

 

 

 

 霊能力者による現場検証も各メディアが行っており、テレビを除く紙媒体は皆一様に霊がいることを証言している。中央線は多くの人が死んでいるのだから、成仏できない地縛霊がそこにいるのは不思議ではない。ただ、その霊が迷える人を引き寄せたのかどうかは定かではないが。

 

 JRが霊の仕業だと認めるわけがない。だが、あまりの自殺の多さに、翌年ついにお祓いを実施した。頻発すれば神頼みしたくなるのも当然。しかし、それで沈静化した場合「やはり祟りだったのか」という噂が立つことは考えなかったのだろうか?

 

 自殺の統計を見てわかったことだが、構内での飛び込みは新宿から国立にかけて多い。一方で踏切での自殺は武蔵境から西八王子に集中している。この偏りはなんなのだろうか? 当時、三鷹以西は高架化されていなかったため、踏切の方が侵入しやすかったのではないかと思われるが、あくまでも個人的な推測にすぎない。

 

 だが、この踏切説はあながち当たっていないとも限らない。なぜなら私自身、危ない踏切を知っているからだ。

 私の家の目の前100メートル先には私鉄が走っている。そこでは警笛の後に急ブレーキがかかり電車がよく停まる。すぐ近くには人と自転車しか渡ることのできない遮断機付きの幅2メートルもない踏切がある。たびたび起こる急停車の原因はその踏切での人身事故にあった。

 

 

 ある年のこと、2年間でやたら人身事故が頻発した。それが自殺なのか事故なのかはわからない。中央線ほどに話題にはならなかったため、詳細が報道されることはなかったからだ。だが、地元住民には「何か祟られているのではないか」と気持ち悪がられていた。

 

 ある日、激しい警笛と急停車の音がして電車が停まった。暫くしてパトカーや救急車が駆けつけてくる。野次馬にはなりたくなかったが、つい現場に駆けつけてしまった。

 そのときには、線路上に鑑識と思われる人たちがトングを持って歩きながら細かく何かを調べていた。それを見て人が撥ねられたことを確信し、飛び散った肉片をこうして集めるのだなと知った。

 

 

「この踏切には何かあるのではないか?」と思った。自分自身よく使うので、心の隙間を突かれたらとんでもないことになるのではと恐怖した。

 そこで、踏切の写真を撮り、霊能力者に事故のことは伏せて聞いてみた。

「ここに何か怪しいモノが居ますか?」

「そばにある古いアパートの前に黒いモヤモヤしたモノがいる」

即答で返ってきた。そのアパートは無人で長くボロボロの状態で放置されたままだった。そして、次のように注意された。

「ここを渡るときは霊のことを意識しないように注意してください」

 意識すると憑かれる、もしくは付いて来るということか? どちらにしても良くない。そのため私がそこを渡るときは、いつも他のこと考えたり歌ったりして気持ちを逸らしていた。

 

 

 しかし、ある日の夕方、自転車で踏切を渡った直後に、何か空気の塊みたいなものにぶつかったような気がしてなぜか転倒してしまった。激しく転倒したわけではない。自分としては尻もちをついたくらいにしか思っていない。だが、レントゲンを撮ると脇腹にひびが入っていた……。

 

 霊能力者にこのことを報告したところ……

「遭遇してしまいましたね。夕方は逢魔時。うろうろしている霊に引っ掛かったんです」

「意識しないようにしてたんですが、それでも遭遇してしまうんですか?」

「あなたは今、ストレスが溜まってるでしょ。霊に引っ掛かってしまったのは、精神のパワーが下がって免疫力が落ちているからです。そんな状態のときほど、夕方にちょっかいをかけられやすいんです」

 

 それからというもの夕方はそこを通らず遠回りしてでも別の踏切を使うことにした。

 

 今、踏切の前には警告の看板が立てられている。

 

 

 

 あまりにも人身事故が頻発したからだ。JRのようにお祓いをしたかどうかはわからない。では、それ以降事故が減ったかというと、年に数回はそこで起きている。なぜなら利用する駅の構内の掲示板に「T駅とH駅の踏切で安全確認を行ったため遅延しています」という表示が出るからだ。地元の人間からすれば「またあそこの踏切だな」とすぐ思ってしまう。

 

 

 古いボロアパートは取り壊され、今は新築の一戸建住宅がそこにある。恐らく現住人は過去のことを何も知らないはず。住人に何事もなければ除霊されたと思っていいのかも。だが、何かあったとしたら、まだ……。実際、電車は今も急停車し続けているのだから……。

 

≪お知らせ≫

過去の『霊感女性が体験した怖い話』と『心霊ライターが取材した霊の話』がYouTube動画で観られます。時間のある方は是非!

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