『救命技能認定証』の更新を行ってきた。たまには人の役に立つようなことができなければならないと思い、救命講習を受けるようになって今回が3回目の更新だ。初めは民間の『救命入門コース(90分)』を受講したのだが、2回目からは東京消防庁の『普通救命講習(3時間)』にしている。こちらの方が『救命技能認定証』を交付してもらえ箔がつくからだ。
だが、箔がついても中身が伴わなければ意味がない。3年ごとの更新なのだが、自分自身一度が救命現場に遭遇したことがないと、講習中に忘れていることがいかに多いかに気づかされる。完全に忘れているわけではなく「あれ、どうだったっけ? この手順で良かったのかな?」と一瞬考えて動きが怠慢になってしまうのである。
素人ができる応急手当コースなので難しいことではなく簡単なことなのに、3年もやらないとなぜか戸惑ってしまう。街中で『AED』を見ても「いざとなったらスムーズに扱えるのかな?」と不安になってしまう。
人の命に関わることなので、戸惑ったり不安になっていたのでは『救命技能認定証』はただの紙切れだ。だから、更新は3年ごとではなく1年ごとの方がいいと個人的には思う。
いくら街中に『AED』が多く設置されていてもそれを使いこなせなければ意味がない。では、いったいどれだけの人がスムーズに使えるのか? いくら使いやすいとか音声ガイドに従えば簡単とか言われても、パニックになった素人が冷静に対処できるかどうかは疑問。使い方を間違えて死んでしまわないかなとビビってしまうこともあるだろう。
だからこそ『AED』講習はすべての人がやるべきだ。1~2年ごとにやるに越したことはない。
一緒に講習を受けた人の中には、倒れた人がいたら、なんでもかんでも『AED』を使用すればいいと思っていたという。心臓の動きが不規則になった状態の“心室細動”には有効だが、心臓が完全に止まった“心静止”の場合は使えない。その場合は胸骨圧迫と人工呼吸による“心肺蘇生”をすべきなのだ。
大人と幼児ではパットの貼る位置が違う。ペースメーカーを使用している人の場合も位置が違う。うっかり指示を聞き間違えると自分が感電するかもしれない。『AED』さえ使えば“心肺蘇生”は必要ないと思っている。…このように何も知らない人が多いのが実情だ。
それらのことを分かっていたとしても、自分自身も常に不安だ。いくら精巧とはいえ人形相手の練習では実感が沸かない。実際の人間で練習しておきたいなんて思ったりもする。せめて人形でも1年に1回はやるようにしておけば、いざという時になんとかなるかもしれないだろうが…。
とにもかくにも、誰もが気楽にいつでも何度でも講習を受けられるようにすることが必要だと思う。
[編集後記]
『救命技能認定証』はパソコンで印刷できる名刺サイズの紙。マイクロミシンカット加工なので四角にギザギザが残っている。安ものっぽいのが残念でならない。これじゃあ箔がつかないね。別にいいけど……。