某エステサロンのジレンマ |  ライター稼業オフレコトーク

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アイドル記者を皮切りに、心霊関連、医療関連、サプリ関連、
コスメ関連、学校関連、アダルト関連、体験取材など様々な
分野の取材執筆をしてきました。
ここでは当時の面白かった話や貴重な情報、取材で思ったこと、
記事にできなかった裏話などを披露していきます。

 今から10年以上前、チラシ制作の打ち合わせでオーガニック化粧品を扱っている都内の某エステサロンへ立ち寄った時のことだ。メーカーに確認する急用ができたので、店内の電話を借りようとして、短縮の登録番号を見ていたら「安室奈美恵」というのがあった。

 同姓同名のお客さんがいるんだなと思ったのだが、あとでスタッフに聞くと、なんと本人だった。超有名というわけでもない小さなサロンなのだが、扱っている商材がいいらしく、近所に住んでいた安室奈美恵はお客として通っていたそうだ。

 

 

 この時は既にお客として通ってはいない。それは、途中からコーセーのCMに出始めたからだ。大手化粧品のイメージを務めているため、小メーカーの商材を扱っているサロンへは通えなくなっていたのである。

 

 それでも電話機の短縮に名前が残っているということは、いつか戻ってきてくれることをサロン側期待しているからだ。なぜなら、安室本人はサロンへは通えなくても、個人的にサロン商材のパックを家で愛用していからである

 

 中小メーカーは、安室奈美恵に迷惑を掛けないためにこのことを秘密にしており、例え知っていたとしても店の宣伝に使うなどして口外しないよう全国のグループサロンに通達していた。しかし、グループの一部古参サロンではこのことを知っていて、店内で『安室奈美恵も使っている○○』とこっそりポップを立てていた。

 宣伝に使いたいというサロンの気持ちは凄く分かる。それが売り上げにつながる効果となるのだから。

 

 

 このサロンが扱っている商材(スキンケア)は市川由衣も気に入っており、女性誌でたびたび「私の愛用品」的な特集ページでよく紹介してくれていた。しかし、2016年からホームエステ機器を扱うメーカーのCMを市川がやるようになったことで、ぱったりと紹介してくれなくなったサロンでも本人の名前を公に使うことを控えるようになった。

 それでも、公に紹介はできなくなっても、本人は安室同様個人的に愛用してくれていそうである。そのため、メーカーが結婚祝いでスキンケアセットを贈る時などは、が頼まれてお祝いの送付状を書いたものだ

 

 そのサロンには、坂上忍の恋人も通ってい当時毒舌タレントとして人気絶頂だったこともあり、その名前を言ってしまうと問題になるので、スタッフには箝口令が敷かれてい。スタッフとしては「誰々さんの恋人も通っているサロンですよ」と宣伝したいのが本音なんだろうけど。

 

 

 このように無名や小さなサロンに通っている有名人は結構いる。本当は安室等の有名人が、サロンの商材を使用していることを公言できれば小規模サロンも潤うのだが、そんなことをすれば本人達に迷惑をかけるだけでなく、メーカー自体も各方面から圧力を受けてどんな目に遭うか分からない。だからスタッフは、言いたくても言えないというジレンマを抱えながら今日も働いている。

 

 同じような状況下にある小さなエステサロンは多いんだろうなぁ。

 

[編集後記]

 店から出た時、裏側にそびえ立つ高層マンションの最上階の一室を見上げた。安室奈美恵はあそこから通っていたのだなぁ~と思いつつ。