『ムーンパティオ』…自分にとって、ずいぶん懐かしいホテルの名前がマスコミで報道されるようになった。先日82歳の老人が、池袋のラブホでパパ活女にカッターナイフで殺された事件でだ。
テレ朝はホテルの看板をぼかしていたが、TBSは堂々と映していた。テレ朝は他の犯罪ニュースの時もそうだが、隠し方が異常すぎる。何を偽善ぶってんだと思ってしまう。
老人の名前は各局、新聞・雑誌でをさらされていた。ネットでは当初「82歳の色ボケじじい」やら「いい年して何やってんだ。親戚が恥ずかしいだろ」などと言われ、死者なのに同情されていない。これがビジネスホテルならここまで大きな問題にはならなかったのかもしれないが…。な~んか、そういう点ではかわいそうだ。
冒頭で「懐かしい」と述べたのは、このホテルは仕事で何回も利用したことがあるからだ。最初は確か2003年の時だったかな、「ラブホでホワイトデーの受け渡しをするカップルはどれだけいるか」という出版社からの依頼で、3/14に張り込み調査をやるために選んだのが『ムーンパティオ』だったのだ。
池袋にしてはリーズナブルな値段だったため若者が入りやすく、客室も多く、2時間制ということもあって客の出入りが多いため、サンプルを取る調査にはうってつけだったのである。
リーズナブルなホテルとあって、受付の対応は接客業としては最低レベル。「Hする場所を安く使わせてやってるんだぞ」的な態度を醸し出していた。
最近では、部屋を掃除する従業員が中国人ばかり。しかも部屋の清掃は行き届いていない。こんなんじゃあコロナの時期なんて怖くて使えない。
部屋のパネルはあるが、自分で選べない。受付が強制的に割り当てるのだ。そのため同じ値段なのに部屋の当たり外れが激しい。その理由は…
現場写真で看板を見た人なら分かるだろうが、ひとつの建物なのに、右側に『ムーンパティオ』、左側に『ムーンパティオ2』という看板が掲げられている。入り口はそれぞれ別にあるのだが、建物は同じなので中の受付は一緒だ。そのため、どの空き部屋に行かされるのか分からない。
『ムーンパティオ』側はH専門のこじんまりした部屋で、『ムーンパティオ2』は元々ソープだったのをラブホに変更したらしい。そのため風呂場が異常にでかい。バスタブは潜望鏡が余裕でできるくらいの大きさだし、当初はマットまであったからだ。
2000年代にこっそりモデルを撮影するために入った時にそれが分かった。いつか、プライベートで来た時にマット遊びをしようと思っていたが、数年後に行くといつしか撤去されていた。やはり思った時にすぐに行かねばと後悔したものだ。
仕事で利用や調査をしていた頃は普通のカップルが多く利用していたものだが、デリヘルブームが起きてから状況は一変した。まるでデリヘル専用ホテルと化していたからだ。特に給料が出た後の週末は待合室が大混雑している。そんなの当たり前って? いやいや、ラブホの待合室に男ばかりが溢れている状態は異常な光景だよ。みんなデリヘルを利用する男達なのだ。当然、順番待ちをしている普通のカップルもいるけど、男だらけの中に女の子一人だけなんて状況も見受けられた。
結局プライベートで行くことはなかったが、小規模なエロ出版社の仕事では「こっそり撮影」で何回も利用させてもらった。なんたって休憩代が安かったからね。プロカメラマンを使わない簡易撮影の際は、予算の少ない弱小出版社にとっては恵みの場所だ。しかも、その都度面白エピソードに遭遇するから、ネタの宝庫でもあった
。
〔その1〕モデルと部屋に入る直前、隣の空き部屋の掃除に入った二人のおばちゃんが「なにこれ~!」と突然悲鳴を上げたことがある。おそらく何らかの変態プレイをして部屋が壮絶な状態になっていたのだろう。たぶんベッドにウンコをぶちまけたままだったのかもしれない。
実際、キャリーケースを持って入って行くデリヘル譲を多く見かける。あの中身は客のリクエストに応じた様々な遊び道具が入っているに違いない。それを見るたびに、「あの子の客はこれから浣腸されるM男なのかな」と想像したりする。
それからしばらくして、各部屋に『浣腸プレイ禁止』の張り紙がされるようになっていた。今もそれはあるはずで、今回のことで『殺人も禁止』という文言も追加されることだろう。
〔その2〕入浴シーンを撮影するために風呂場へ入った時、排水口にチョコボールみたいなのが転がっていたのを見つけた。何だこれはと思いよく見たらコロコロしたウンコだった。推測するに、風呂場で突然したくなって出したのか、女の子に脱糞プレイを強要させたのかのどちらかだと思われる。どちらにしても…清掃係きちんと掃除しろよ!
〔その3〕仕事は平日の昼間に行うようにしていた。というのも、土曜の午後などは満室で断られることが多いからだ。このホテルでも一度断られたが、その時に発した受付のお姉ちゃんの言葉には驚いた。「満杯です」と言われたのである。…日本語を知らんのか! それとも何か喰いながら受付してたのか!
〔その4〕ある時、部屋を突然ノックされて驚いたことがある。こっそり撮影していることがバレて注意しに来たのかと思った。恐る恐る「はい…」と答えると、ドア越しに「○〇号室のお客さんですか?」と尋ねてくる若い女の子の声…。すぐにデリヘル嬢が部屋を間違えたのだと分かった。「○〇号室は隣だよ」と教えてやり追い返したのだが、これほどまでにデリヘルが多いとは…。客も譲も相手を間違えたままプレイを行うなんてこともあったかもしれない。
〔その5〕後日、間違いが再度起きた。一人で部屋にいて、遅れてくるモデルを待っている時にノックの音が聞こえ、「やっと来たか」とドアを開けたら知らないデリヘル嬢が立っていた。「こんにちは~」と言いながら勝手にずかずかと部屋に入り込んでくる始末。いかにこのホテルがデリヘル御用達になっているのかと実感したものだ。
ただでさえ霊が出没するという都市伝説があるこのホテル。実際に老人が殺されたとなると、今度は怨念を抱いた霊がさまよっているという噂が再燃しそうだ。
[編集後記]
利用者としては、ホテル名よりも何号室で殺されたのかを知りたいところだけどね。