江戸っ子営業マン |  ライター稼業オフレコトーク

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アイドル記者を皮切りに、心霊関連、医療関連、サプリ関連、
コスメ関連、学校関連、アダルト関連、体験取材など様々な
分野の取材執筆をしてきました。
ここでは当時の面白かった話や貴重な情報、取材で思ったこと、
記事にできなかった裏話などを披露していきます。

 某出版社に生粋の江戸っ子営業マンがいる。オヤジという年ではなくまだ30代後半だ。祭りが大好きで、初夏から秋にかけて下町で行われる有名な祭りには全て顔を出し神輿を担ぐ。当然、会社は有給休暇だ。仕事のできる営業マンなので休まれると困るお客が続出するのだが、説得しても無駄だと分かっているのでみんな諦めている。

 そんな私が自作したクロスワードパズルを試験的にやらせてみたところ、「わがままなこと○○○勝手」というキーワードに対して、どうしても正解が浮かばないのである。

 たいていの人は、答えが「じぶん勝手」だということがすぐに分かるのだが、はどうしても「てめえ勝手」としか言えないのである。…江戸っ子だから仕方ないが、編集職だったら絶対に校正作業ができない。

 

 は築地で美味しい魚しか食べたことがない。だから回転寿司は絶対行かない。初めて行った時などは「喰えたもんじゃねぇ」と怒って皿を引っくり返したもんだ。

 下請けの編集プロダクションへ一緒に行った時だった。ランチタイムに事務所の若手とリーズナブルな鰻屋に入った時一口食べただけで箸を起き、お金を叩きつけてさっさと店から出て行った。…取引先の人間と会う時、こいつが同行した時はうかつに魚系の店行けないと実感した。

 

 

 外部スタッフの女性デザイナーに「弘子」という名前の人がいるのだが、江戸っ子は「ひ」という発音ができず「し」に変換されてしまうので、どうしても「しろ子」と呼んでしまう。そのため弘子さんは、いつしか仲間内でも「白子」というニックネームで呼ばれるようになってしまった。

 弘子さんは怒ったが、奴は「言えねぇもんはしょーがねぇだろが、べらぼーめ!」と開き直っている。…江戸っ子は足と舌が短いからなぁ。

 

 が大阪出張のついでに風俗へ行った時のことだ。プレイ中に、やたらと喋ったり笑わせたりするものだから、「お客さんってほんまに東京の人?」と風俗嬢に言われたそうだ。「なんでだ?」と聞くと「東京の人はみんな黙々とやるから、お客さんみたいにうるさくて陽気な人は初めてやわ~」とのこと

 そこで「てやんでぇ、おいらは江戸っ子だからよぉ!」と啖呵を切ったそうだ。…ただうるさいだけだろうが。

 

 

 でも、江戸っ子らしくないところもある。喧嘩を好まないところだ。短気は短気なのだが、強い奴とやり合って怪我をするのは馬鹿らしいという現実的なところがある。

 しかし、弱い奴にはめっぽう強い。例えお客であっても、気の弱いいじめられっ子タイプだと平気でやってしまう。以前、顧客の若手社員がムカツクからといって捻挫させた事もある。その時は顧客の上司に「少しは手加減して下さいよ」と苦笑いで注意されただけで、出入り禁止どころか怒られもしなかった。…人徳もあるだろうが単なる卑怯者だ。

 

 まぁ、とにかくにも江戸っ子は男も女も仲良くなるとその楽しさが分かって面白い。

 

[編集後記]

 頑固な下町オヤジというと50代以上を想像するが、40にもなっていないばかりか、年より若く見えるので下手すると30歳に見える。でも、言動はオヤジそのもの。編集者ではないが、出版社には変なのが多い