身近な殺人者 |  ライター稼業オフレコトーク

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アイドル記者を皮切りに、心霊関連、医療関連、サプリ関連、
コスメ関連、学校関連、アダルト関連、体験取材など様々な
分野の取材執筆をしてきました。
ここでは当時の面白かった話や貴重な情報、取材で思ったこと、
記事にできなかった裏話などを披露していきます。

 自分の身近に殺人者がいたらどうする? やはり引いてしまうかな。怖いという目でその人を見てしまうのが普通かもしれない。

 実は、私が一時出入りしていた会社には人殺しの男がいる。筋肉質で硬い体をしており、この腕で殴られたら絶対骨が折れるというのがすぐ分かる。

 その人は一緒に仕事をしているイラン人のだが、過去に大量殺人を行っている。だが、悲壮感もなければ罪の意識もない。いつもニコニコしており性格も明るい。

 彼はイライラ戦争の体験で、徴兵されて戦っていたのである。(イライラ戦争=1980年から88にかけて行われたイランとイラクの戦争)1ヶ月間、風呂に入れないほどの激しい戦場で殺し合いをやったこともあるという。何人…いや何十人殺したか分からないそうだ。だが、多くの敵兵を殺してきたからこそ、今自分はこうして生きているのだという。確かにそうだ。

 

 

 確かにそうだけど、人を殺しておいて明るい笑顔で普通に暮らしているという神経がよく分からない。私情での殺人ならそうはいかないのだろうが、義務で大量に人を殺す分なら、虫を殺すのと変わりはないということか…。

 殺人者は怖いし、近寄りたくはないと思うものだが、すぐ隣で一緒に仕事をし、一緒にランチを取っているのだから、なんか変な感じだ。

 それにしても、こんな身近に人殺しがいるなんて…、それを知っていて何とも思わない自分が不思議に思える。平和ボケした日本にいるからだろうか…。 

 

 よくよく考えてみれば、亡くなったも中国大陸で戦っていたので、何人か殺していたのかもしれない。でも、誰に対しても優しい人柄だったし、私も父親が大好きだった人殺しかもしれないが、そんな父親に育てられたことを誇りに思っている。

“殺意を持って特定の個人を故意に殺す”のと“義務で見知らぬ相手を仕方なく殺す”のとではその意味合いに違いがある。前者は罪が問われる殺人、後者は何事もなくスルーされる殺人…。後者に至っては称えられる殺人もある。本人にとって背負うものも違う…。

 

 亡き父親は昔の人間なので仕方ないとしても、まさか自分と世代の近い仕事のパートナーが殺人者だなんて…う~ん…。

 平和な環境に恵まれていて今まで考えてもみなかったのだが、意外と身近に“殺人に関わった人”がいるんだなと思うと本当に不思議な感じがする

 

[編集後記]

 そのイラン人、今では毎朝シャワーを浴びないと気が済まないという。会社で徹夜作業した時も、わざわざ自宅にシャワーを浴びにいったん帰宅して、すぐに再出勤してくる。戦時中のトラウマなのか