『SHAT』…2017年、小田原の生活保護担当員が着ていたジャンパーに書かれていた文字。自立支援を担当する市職員らが「生活保護悪撲滅チーム」を示す意味での「SHAT」と書かれたジャンパーを着ていた問題で、テレビなどの放送媒体では生活保護受給者を蔑視していると散々叩いていた。しかし一方で、紙媒体では担当員を擁護する同情的な意見がけっこう掲載されていた。
読んでみると、どちらの言い分も理解ができる。どっちが正しくて、どっちが悪いとは言いにくい厳しい現実がそこにあった。
大学を卒業後、役所に入った友人が生活保護担当員になった。正義心溢れる友人は「世の中には可哀想な人が多すぎる。俺はこの人たちのために福祉に全力を尽くす」と熱く語っていた。そして、「だけど、役所はこの人たちにけっこう厳しいんだよ。なぜなんだ!」と、自らが所属する部署に対して嘆き怒っていた。
1年後に友人と再会した。ところが発言がガラッと変わっていた。「役所が厳しく対応するのは当たり前だよ。あいつら甘えすぎなんだよ!」と、今度は受給者に対して怒っていた。
なんでも不正受給する者が多すぎるというのだ。友人は正義心旺盛な熱い奴なので、不正が多い現実に怒り狂っていたのだ。
不正受給というと、以前ハローワークで観たビデオのことを思い出す。失業者が雇用保険の受給を受けている時に、バイトなどで少しでも収入があった場合は、その旨を申告しなければならない。しなければ不正受給になるのだ。
そのことを教えるビデオを受給前に強制的に観せられるのだが、その内容は今でも目に焼き付いている。なぜなら国による脅しだったからだ。
ビデオに映し出された刑事風の強面のオヤジが「不正は必ずばれる! 発覚した時は××××…」と怖い顔で脅しをかけるのだ。初めて見た時は、ヤクザの脅迫ビデオかと思った。それほど印象深かったのである。いくら不正防止とはいえ、国がよくこんなものを作るなぁと呆れたものだ。
で、今もそうなのかなと思い、数年前に会社を退職した人に聞いてみた。しかし、今は優しく警告する内容になっていたそうだ。やっぱり、以前のは評判が悪かったんだろうね。
[編集後記]
不正受給…一部のずる賢い奴のせいで正直者がバカを見る。これには納得いかない!