覚えているだろうか? 2009年、麻生内閣の下、経済対策の一環という名目で定額給付金が国民の手に渡った。その時に、定額給付金の問い合わせに対応していたという電話オペレーターと最近知り合い、どのような質問や苦情があったのかを聞いたことがある。当時は公的な仕事なので公言しづらかったらしいが、「もう10年以上前のことだから」ということでエピソードを話してくれた。
※以下、「 」部分は実際にあった問い合わせ電話の内容
<自分勝手な問い合わせ:編>
「サラ金の借金があるから3月25日までに振り込んで欲しい」
…個人の我がままで国を動かせたら凄いだろうね。
「給付金が振り込まれないから、花見ができなかったじゃないか!」
…単なる言いがかり。こんな奴に金を渡す必要なし。
「無銭飲食で警察に捕まったし、給付金が入らないと店に払えない」
…働け。
「給付金が入らないと学校に給食費の支払いができない」
…今まで払わなかった奴が、給付金をそれに充てる訳がなかろう。
<家庭の事情:編>
「給付金を何で世帯主に一括で振り込むのか? 旦那と別居中だから、自分の分は自分の口座に入金してほしい」
…対応者が“それはできない”と答えると、
「じゃあ、旦那に自分の給付金を渡すように、市役所のほうから言ってほしい」
…実は、この手の問い合わせが非常に多かったらしい。いかに切実な思いの妻が多いかというのが分かる。
「早く給付金を振り込んで欲しい。うちは金額が多いから、入らないと困る」
…この人は、この時ばかりは子沢山を有効活用している。
<面倒臭がり屋:編>
「(身分証明書と通帳の)コピーはお金がかかるからしたくない」
…10円でセコイこと言うなって! で、対応者が“役所の窓口に証明書・通帳・印鑑を持って来れば受付できる”と説明したところ、
「わざわざ行かないといけないのか」
…この人は、ただ面倒臭いだけなんだね。
「コンビニが近くにないからコピーができない」
…そんな訳がない。この人も同類だな。
<高齢者からの問い合わせ:編>
「郵便局はコピーをくれなかった」
…この高齢者はコピーの意味が分からず、わざわざ郵便局に貰いに行ったのだという。
「足が痛くて行けない」
…そのセリフは反則です。
「3万払ったら早く振り込まれるって電話があった」
…この当時からこの手の詐欺が行われていた。この高齢者は問い合わせしてくるだけマシ。実際、こんな詐欺に騙された人がいるらしい。
「コピーはどこで取ればいいのか」
「コピーはどうやって取るのか」
「コピーってなに? 」
…嘘のような話だが、本当にあった問い合わせだ。
<焦るなって!:編>
「申請書を同じ日に2通送ったのに、もう一人の分はもう振り込まれているのに、自分のは何故振り込まれてないんだ。差別じゃないのか!」
…たぶん、この人の性格が悪いからバチが当たったんだと思う。
「申請書を送って一週間経つのに、まだ振り込まれない」
…対応者が“申請書の受付から振り込みまで2~3週間かかる”と説明したところ、
「そんなにかかるのかぁぁぁ」
…そうなんだよぉぉぉ。
<想定外の問い合わせ:編>
「外国人登録証は韓国名なのに、なんで定額給付金の宛名は日本人名なのか」(在日韓国人より)
…えらく怒ってたらしいけど、オペレーターに八つ当たりするのは違うでしょ。
某信用金庫の職員からこんな問い合わせもあった。
「高齢者から“通帳のどこをコピーすればいいのか”“古い通帳でもいいのか”“振り込まれたら連絡があるのか”などの問い合わせがよくあるので、対応について教えてほしい」
…マジで困った様子だったらしいよ。
(かかってきた電話を取るなり、いきなり)「いつ振り込まれるの?」
…これは多かったらしい。
こんなのは序の口だったそうだ。
[編集後記]
選挙目当てのバラマキだったわけだが、わずかな金でどれだけ効果があったんだろうねぇ。