その1「カップルと占い」
ある美人占い師を取材した時の話。
彼女は20代後半で、副業としてイベントコンパニオンもやっているスタイル抜群の超美人。性格もすごくいい。
そんな彼女は、よくカップルからの相談を受けるという。しかし、相性の悪さが分かったり、将来的に良くないという占い結果が出た時は言い辛いそうだ。そりゃそうだろう。
そして、その後にありがちなのは、後日になって女の子だけが個別に相談に来るというパターン。だったら最初から一人で来ればいいと思うのだが。
だいたい若いカップルなんて、いつかは別れるもの。別れを糧にして人は成長するものだからだ。幼稚園児のカップルを見てみると、「○○ちゃんと絶対結婚するぅ」なんて言って、したためしがないのと同じ。…これは極論か…。
だから、真剣に占ってもらおうなんて思わないほうがいい。絶対に良い結果が出るものだと思っているところが怖い。たいてい女の子の方だけど。
「占いは遊び」というふうに割り切っていても、当の占い師にとってはいい加減なことは言いたくないので、悪い結果が出た時は辛いのだそうだ。カップルで行く人達は、その気持ちを察してあげて欲しい。
いくら遊び感覚でも、『新宿の母』や『大泉の母』みたいにかつて話題になった“確実に当てる人”は絶対に避けた方がいい。「二人の相性は悪い」と言われた暁にはシャレにならない。
その2「占い師と霊能力者」
この美人占い師は、しっかりとタロットの勉強をしているのでいい加減な人ではない。真面目だし、相談にも親身になって応じてくれる。ただし、霊能力者ではない。
私は仕事柄多くの“力”のある人と接してきた。その中でもこの人は本物だと確信している霊能力者が二人いて、今でもプライベートでお付き合いをさせてもらっている。
一人が「企業と占いの奇妙な関係」で紹介した一般主婦の霊能力者。もう一人は「ラップ音」で紹介したタレント性の強い千葉一二三さん。
私がその話をした時、美人占い師は千葉さんに会いたいと頼み込んできた。そして、自分が相談をしたいのだと。
彼女は一般人が行うタロット占いと霊能力のある人の霊視の違いをよく分かっていた。占いはカードから導き出された暗示をアドバイスするだけだが、霊視は核心に触れた確実なアドバイスをしてくれるものだと。そのため霊能力者の存在をしっかり認めており、冷やかしではないということが分かったので引き合わせてあげた。
相談内容は自分の恋愛についてだった。相当納得のいく話ができて満足したと見え、占い師は以後千葉さんのファンになり、たびたび相談に霊視鑑定を受けていた。プロの占い師が霊能力者に視てもらうという奇妙な構図がそこに出来上がっていた。
その3「憑いてます」
街中で2年ぶりにTVディレクターのA氏と偶然再会した。彼は開口一番こう言った。
「先月、某企業の社長を取材した時に、霊感があるという奥さんも同席したんだけど、収録後にその奥さんから“Aさんには平安時代の女の人が憑いていますね”と言われたんだ」
…彼は顔が真っ青だった。そして、私も「やっぱりか!」と思わず声を上げた。
「やっぱりか!」というのには意味がある。というのは、それより以前の5年前に、A氏と一緒に霊能力者の千葉さんが出演する番組を作った時のことだった。
収録後にA氏は、千葉さんから「さっきからAさんの隣に視えている平安ぽい女の人が気になるのよねぇ」と言われていたからだ。
A氏も私もその時は笑って聞き流していたが、5年経って全く接点のない霊感のある人に、同じことを言われたのだからA氏は堪ったものではない。
つまり、霊に取り憑かれている人は、霊能者の誰が視ても同じ霊が視えているということだ。何年経っても同じ霊が視えるということなのだ。…怖いねぇ。
[編集後記]
ちなみにA氏に憑いている女性の霊は害がないそうだ。しかし、そう言われても彼はお祓いに行くべきかどうか悩んでいる…。