仕事上で付き合っている日本語ペラペラのイラン人(推定50歳)がいるのだが、彼はコンビニのおにぎりを絶対食べないし、親しい人にも「食べるべきじゃない!」とムキになって言う。添加物が心配なのか? しかし、それが含まれていることは既に多くの日本人が周知しており、前回のコンビニ弁当同様に“危険がない範囲”だと判断して買っている。それでもなお神経質になるのはなぜなのか?
彼は十代の時、建築関係の仕事をするために来日した。日本での生活で一番驚いたのは、コンビニのおにぎりがいつまでも新鮮で美味しいことだった。「日本の技術力は凄い。どうやって作るんだろう?」と、買ってきたおにぎりをいつも羨望の眼差しで見ながら食べていたという。
そんなある日、仕事でおにぎりを作る工場に行く機会があり、彼は憧れの製造過程を覗き見た。そして大きなショックを受けた。おにぎりに謎の粉末が大量に振りかけられているのを見て…。「あんな化学物質の混ざった物を食べていたのか」と思うと吐き気がしたという。ハーブの国の人だけに相当な衝撃だったらしい。
直接見る機会のない我々一般人には実感がわかないが、現場を見てしまうと二度と食べられなくなるのかもしれない。これは前回紹介した化学調味料会社の元社員と同じ感覚だ。
あれから何十年も経っているので、少しは添加物の内容量が改善されているのではないかと思うのだが…。そうであることを願う。
その話を聞いた翌日の昼、私はコンビニで野菜入りパックを買った。弁当やおにぎりでなければいいだろう思い。しかもヘルシーだし。
しかし、私はまたまた衝撃を受けた。編集部で野菜入りパックを食べている時に、健康食の監修をしているシェフがやってきたのだが、こちらを見るなり顔をしかめたのである。そして、こう言った。
「俺はコンビニの野菜も信じない。サンドイッチもそうだけど、なかなか色が変わらないというのが不自然だ。いつまでも新鮮な色をしているはずがない。着色してるんじゃないのか?」
いつも新鮮な野菜で調理をしているシェフだけに説得力があった。
[編集後記]
かなり前に、「資生堂の社長は自分の娘に自社の商品を使わせない」という噂を聞いたことがある。その時は都市伝説だと思い笑って聞いていたのだが…。
眼科医を取材した時に聞いた話。眼球を水で洗ってスッキリさせる商品があるが、それを売っている営業マンは「自分は絶対使わない」と眼科医に言っていたそうだ。それが本当は目に良くないということを知っているからだという。
世の中には、まだまだ恐ろしい物が出回っているに違いない…。