悪魔の素顔 |  ライター稼業オフレコトーク

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アイドル記者を皮切りに、心霊関連、医療関連、サプリ関連、
コスメ関連、学校関連、アダルト関連、体験取材など様々な
分野の取材執筆をしてきました。
ここでは当時の面白かった話や貴重な情報、取材で思ったこと、
記事にできなかった裏話などを披露していきます。

 今でもテレビでよく見かけるデーモン小暮閣下。ここまで同キャラで長らえるなど誰が想像しただろう。多くの人が「聖飢魔Ⅱ」はキワモノバンドとして短命で終わると思っていたのではないだろうか。

 私がデーモン小暮閣下に初めてインタビューしたのは、「聖飢魔Ⅱ」のピークが過ぎそろそろ下降線かなという時期だった。それでも閣下自身は個人としてまだまだ人気があり、その時もFM東京でDJをやっていた。

 取材は局内でやることになっていたので、私はカメラマンと共に本番が終わるのを廊下で待っていた。

 本番終了。閣下が廊下に出てきた。私は「今日は宜しくお願いします」と頭を下げた。しかし、閣下は黙って頷くだけで愛想がない。TVで見るキャラクターとまるで変わらなかった。

 

 

 そのまま控え室に入り、レコーダーを回して取材は開始された。やはりキャラどおりの口調で、キャラどおりの返答だった。そして、30分ほどで終了し、「どうもお疲れ様でした」と挨拶をした直後だった。閣下は机の上にあった私のレコーダーを突然いじくりだしたのだ。

「どうしたんですか?」

「いや、その…なんだ…」

 と言いながら、録音中のレコーダーのスイッチを切ってくれたのである。なぜ、わざわざ記者のレコーダーにそのようなことを? …と、その時だった。

 閣下は突然私達に「どうもすいませんねぇ。わざわざここまで来ていただいて」と、普通のあんちゃんのような地の声で、恐縮するように頭を下げてきたのである。態度の急変にびっくりした。

 

 元々は腰の低いお笑い系の人だったので、これが素の姿なのだ。全然威張ることなく、常に低姿勢で感じのいい若者…それがデーモン小暮の素の姿。

 しばらくそんなノリで雑談をして、最後に聞き忘れたファンへのメッセージをしてもらおうと、何気にレコーダーの録音スイッチを入れた時だった。閣下は、すぐさまあの独特の低音に切り替えたのである。

 決して素顔の自分は、写真や音声に残さない…そのタレント根性はアッパレだと思った。

 

[編集後記]

 今でもキャラを変えないところが凄い。礼儀正しさとプロ意識のなせる業か? それもあるだろうが、やっぱ悪魔はしぶといわ。